高温ガス炉
実証炉開発の中核企業として、水素製造技術の実証も含め、研究開発・設計を推進。超高温(約900°C)の熱利用により大量かつ安定的に水素を製造。
「日本の熱ソリューションを変える高温ガス炉」動画
三菱重工の高温ガス炉開発
高温ガス炉は、炉心・燃料の構成材に耐熱性の高い黒鉛(減速材)やSiCのセラミック材料(燃料被覆)を、核熱を取り出す冷却材に化学的に安定なヘリウムガスを用いることにより、軽水炉(300℃程度)に比べてはるかに高温(約900℃)の熱を取り出すことが可能な原子炉です。
これら特徴に加えて炉心の出力密度が低い(出力当たりの原子炉サイズが大きい)ことにより、万一の事故時にも炉心内の熱を原子炉外表面から自然に放熱・除去でき、炉心溶融を起こさない”固有の安全性”を有する安全性に優れた原子炉です。
三菱重工は、大量かつ安定的な水素製造を可能とする高温ガス炉プラントを開発し、産業界の脱炭素化に貢献していきます。
高温ガス炉の主な特徴
900度を超える高温熱と大量の水素生成
高温ガス炉は、原子炉自体に耐熱性の高い材料を使うことで900度レベルの熱エネルギーが生み出せます。その高温熱を活用することで、効率的に大量の水素を生成することができます。
メルトダウンしない3つの安全
高温ガス炉は、冷却機能を失ってもメルトダウンに至らず停止できる、3つの特性を持っています。
1つめは、燃料をセラミックスで覆うことで、1600度を超える高温でも被覆が破損しにくく、放射性物質を閉じ込められることです。2つめは黒鉛を使った炉心構造です。熱容量が大きく、熱伝導性も高いため、自然放熱で温度を下げられます。3つめはヘリウムガスを冷却材に用いる点。相変化(そうへんか)がなく、化学反応もほとんど起こさないので、高温熱を安定して取り出せます。
HTTRの取組み
日本では、核熱の多目的利用を目的に、国立研究開発法人 日本原子力研究開発機構殿(旧 日本原子力研究所)において昭和44年より研究・開発が進められ、高温工学試験研究炉(High Temperature Engineering Test Reactor:HTTR)が建設されました。現在、開発の最終段階である実証炉の開発がすすめられており、三菱重工は2023年度に実証炉開発の中核企業に選定されました。