廃止措置
福島第一原子力発電所の早期安定化に向けた燃料デブリ試験的取出しの完遂。
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燃料デブリ取出し装置の開発
当社は、福島第一原子力発電所事故の直後より、早期安定化に向けて東京電力ホールディングス株式会社の対応に協力してきました。現在、福島では、早期安定化に向けて燃料取出しや汚染水処理等様々なプロジェクトが進行していますが、早期安定化の根幹は、原子燃料や炉内構造物が溶融し、冷却されて固まった"燃料デブリ"の取出しで、非常に難易度の高い技術が必要となります。
燃料デブリ取出しに向けて
溶融した原子燃料は、圧力容器(RPV)の底を貫通し、格納容器(PCV)内のペデスタル(圧力容器を支える基礎構造物)底部で構造物と共に冷却され固化し燃料デブリになっています。燃料デブリの取出しに際しては、ペデスタル底部までロボットをアクセスするルートとして、ペデスタルの開口まで直線で効率よくアクセスできるPCV貫通口(X-6ペネ)を活用しました。
このアクセスルートの確保も難易度の高い作業でした。X-6ペネに収納されていたケーブル等は、事故の影響により熱で被覆が溶融し、ケーブルが複雑に絡まり、容易には撤去が難しい状態で残留していたので、新たに堆積物を除去する装置を開発し、これらの堆積物を取り除きました。
燃料デブリの試験的取出し
X-6ペネ内の堆積物除去が完了しアクセスルートが構築されたことを受け、燃料デブリの試験的取出し作業に着手しました。試験的デブリ取出しの目的は、PCV内の本格的な内部調査に先立ち、燃料デブリの性状を早期に把握することです。当社は、燃料デブリの試験的取出しを行う装置として、以下の特徴を有する“テレスコピック式装置”を開発しました。
- 構造を極力シンプルにするため,伸縮部にテレスコピックの構造を採用
- X-6ペネ内を通過できるよう装置サイズを最小化(横390×縦210mm)
- 装置のペデスタル内位置決めを目視で実施できるよう、4個の耐放射線性カメラを設置
- 万一の装置故障時に装置をPCVから搬出できるよう、非常脱出用ワイヤーを設置
そして、2025年11月に、このテレスコピック式装置を用いて、震災後初となる燃料デブリの取出しに成功しました。続く2025年4月には、同装置を用いた2回目の燃料デブリ取出しにも成功しています。
これからも、福島第一原子力発電所の早期安定化に向け、当社の経験・技術を活かしながら、多様な支援を行っていきます。