DIA-SOx®とは
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船舶燃料油の硫黄分濃度規制

これまで船舶で使用されてきた重油燃料には硫黄分が最大3.5%含まれているため、ディーゼル機関から排出される排ガスには大気汚染や酸性雨の原因物質であると指摘されている硫黄酸化物(SOx)が含まれています。
MARPOL条約(International Convention for the Prevention of Pollution from Ships:海洋汚染防止条約)附属書Ⅵ第14規則では、このSOx低減の為、燃料油中の硫黄分濃度を段階的に低減していくことが約定されています。

燃料油の硫黄分規制

規制の概要

以前より、欧州の北海およびバルト海や北米沿岸海域などSOxの放出規制海域(ECA:Emission Control Area)では硫黄分が0.1%を超えない燃料油の使用が強制化されていますが、ECA以外の一般海域においても2020年1月1日以降は硫黄分が0.5%を超えない燃料油を使用することが強制化されました。

  • MARPOL73/78 附属書VI第14規則
    船舶で使用される燃料油中の硫黄分濃度に対しての段階的規制t

Regulation 14. 1 General Requirements(一般海域)
一般海域(ECA以外)を航行する船舶で使用される燃料油の硫黄分は以下を超過しないこと。

  1. 4.50% m/m(2012年1月1日まで)
  2. 3.50% m/m(2012年1月1日以降)
  3. 0.50% m/m(2020年1月1日以降)

Regulation 14. 4 Requirements within emission control areas(SOx放出規制海域:ECA)
ECAを航行する船舶で使用される燃料油の硫黄分は以下を超過しないこと。

  1. 1.50% m/m(2010年7月1日まで)
  2. 1.00% m/m(2010年7月1日以降)
  3. 0.10% m/m(2015年1月1日以降)

排ガス浄化装置(EGCS)の要件

MARPOL条約附属書Ⅵ第4規則では、排気ガス中のSOxを規制値以下に低減できる排ガス浄化装置(EGCS:Exhaust Gas Cleaning System)を搭載することにより、従来の重油燃料の使用が認められます。
この排ガス浄化装置がスクラバーシステムであり、これにより廉価で品質の安定した従来の重油燃料を継続使用することができます

排気ガス中のSOx濃度

低硫黄燃料を使用したことと同等と見なされるために、規定のSO2/CO2比を満たす必要があります。
硫黄分0.5%の燃料油と同等であれば SO2/CO2=21.7以下、硫黄分0.1%と同等であれば SO2/CO2=4.3 以下とする必要があります。

スクラバーのSOx除去率

一般的な重油燃料である3.5%S分の燃料油を使用した場合、
硫黄分0.5%の燃料油と同等であれば 除去率 85.7%(=(151.7-21.7)/151.7)
硫黄分0.1%の燃料油と同等であれば 除去率 97.2%(=(151.7-4.3)/151.7)
を達成する必要があります。

燃料油中の硫黄分濃度
(% m/m)
SO₂/CO₂の排出比
(ppm)/(% v/v)
4.50 195.0
3.50 151.7
1.50 65.0
1.00 43.3
0.50 21.7
0.10 4.3

スクラバーの排水

水素イオン濃度(pH)、多環芳香族炭化水素(PAH)、濁度/浮遊粒子状物質(SPM)について、常時監視・記録する必要があります。
硝酸塩については、初回および更新検査時(注)に、排出に関する分析データーを提出する必要があります。

  • 更新検査の3ヵ月前までに、排水サンプルを採取し分析を行う
排水規制値
pH 排水口から4m先の排水噴流断面中のpHが6.5以上
PAH 排水・取水のPAH濃度差が、洗浄水流量45t/MWhにおいて50ug/L PAHpheを超えない
(洗浄水流量が増減する場合には、流量x濃度が45t/MWh x 50ug/L PAHpheを超えない)
SPM 排水の最大連続濁度は、取水の濁度と比較して25FNUまたは25NTUを超えない
硝酸塩 排ガス中のNOx放出量の12%、または45t/MWhの換算洗浄水量の硝酸塩濃度60mg/Lのいずれか大きい方を超えない
(洗浄水流量が増減する場合には、流量x濃度が45t/MWh x 60mg/Lを超えない)

"DIA-SOx®"とは

三菱造船の持つ船舶設計・建造の経験と、三菱日立パワーシステムズ・三菱化工機の持つ脱硫技術を融合させ誕生したスクラバー、それが "DIA-SOx®" です。

DIA-SOx

“FULL STEAM AHEAD FOR CLEANER OCEANS”

私たち三菱造船はこの言葉を胸に“DIA-SOx®”をはじめとする
マリンソリューションの開発・普及に邁進することで、海上物流の一層の発展と地球規模で拡大している環境負荷の低減に貢献していきます。

"DIA-SOx®" 製品ラインアップ

DIA-SOx® スクラバーのタワーは2種類。幅広い機関出力に対応します。

三菱造船の役割

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設計インパクトが大きいSOxスクラバー

船舶に搭載される主機関や発電機関の排ガスから硫黄酸化物(SOx)を取り除く装置がSOxスクラバーシステムです。 船舶の機関室配置設計は機関の電子制御化、局所消火装置やバラスト水処理装置の設置義務化など時代と共に様変わりしてきましたが、SOxスクラバーシステムはこの20年間で最もインパクトのある搭載補機の一つです。 またスクラバー搭載は機関室だけの変更にとどまらず、船舶の外観、復原性、縦強度、艤装数など船全体の基本計画に大きく影響します。

SOxスクラバー適用でとても大事なこと

スクラバーシステムはそれ単独では機能せず、例えばスクラバータワー自体は機関排ガス管系統に組み込まれ、スクラバー用のポンプは海水系統に、スクラバー監視記録システムはGPSやエンジンコントロールシステムに接続され、関連する信号を受け取って使用します。
したがってこのシステムは他の舶用補機とは異なり、従来の配管系統や電気システムと調和を取りながら船内に搭載する綿密な準備が必要になります。

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三菱造船の役割

三菱造船の役割は、三菱日立パワーシステムズ及び三菱化工機との共同開発を通して、高い安全性と信頼性を備えかつ既存の機関プラントに適用しやすいスクラバーシステムを製品化するとともに、お客様である船主や造船所により早く、より簡単に、より確実にこのシステムを搭載するためのさまざまなサービスを提供することです。

DIA-SOx® バリューチェーン

開発パートナーがもつ優れた技術は、厳格な舶用化検証過程を経て、
高い安全性と信頼性を備えかつ既存の機関プラントに適用しやすい舶用SOxスクラバーとして生まれ変わりました。

三菱重工グループのグローバルサプライチェーンを活用して
品質確保はもちろんのこと短納期・複数ロットのご要望にもお応えします。

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企画
お客様の声、実船運転データや各船種搭載検討結果などを踏まえ、システム要求事項や設計コンセプトを立案します。
開発
要求事項やコンセプトを基に各パートナーがそれぞれ培ってきた知見を活かしてスクラバーシステムを具現化していきます。
レビュー
スクラバーシステムの搭載設計・工事を実際に行う造船所の視点で開発機をレビューします。
船級や条約要件はもちろんのこと、陸用機器の舶用化(マリナイズ)や搭載容易性を高める仕組みなど細かな点まで改善を進めていきます。
このマリナイズレビューで「DREaM PaC」や「ACTIVE FUNNEL」のコンセプトも生まれました。
生産
共通部品に関しては共同購買でコストダウンを図るとともに、海外生産に関しても現地サプライチェーンを整備し、製品の安定供給体制を構築しています。
販売
計画船に最適なシステムをご提案します。
レトロフィットの場合は搭載エンジニアリング、当社ドックでの搭載工事なども含めた一括発注のご要望にも応えます。海外ヤードなどで搭載工事を実施する場合のS/V派遣などのご要望も承ります。
  • 三菱化工機(株)とは共同開発した技術を共有し各々独自ブランドで生産・販売します

三菱重工グループの実績