主な製品における安全・品質の取り組み

【原子力】「三菱原子力安全・保全推進委員会ステアリングコミッティ(注)」で原子力安全確保の取り組みを継続

関西電力美浜発電所3号機で2004年8月に発生した二次系配管損傷事故を受けて、社長をトップとする「原子力社内改革委員会」を設置し、活動を推進してまいりました。2013年度からはさらに高い原子力安全の実現を目指して、「原子力安全推進委員会ステアリングコミッティ」として継続しています。
2020年度のステアリングコミッティでは、事故を経験していない若い世代にも事故の重大性や責任の重さを伝え、“原子力安全最優先”を浸透させる取り組みや、原子力事業の確実な推進が、原子力の信頼回復とさらなる原子力利用による社会への貢献に繋がるとの認識のもと、原子力安全意識向上とプラントの安全・安定運転に向けた取り組みを報告しました。引き続き次世代へ事故の教訓を伝えていくことを当社の課題と捉えること、原子力事業推進には地域の方や国民のコンセンサスが必要不可欠であり、日々のコミュニケーションやエンジニアとして真摯な対応を積み上げるとともに、決して独善的にならないよう、つねに問いかける姿勢で取り組むことなどが確認されました。

  • 2020年度より「三菱原子力安全・保全推進委員会ステアリングコミッティ」に改称

国内原子力プラントの安全性向上対策への取り組み

当社は東日本大震災発生後直ちに対策本部をタスクフォースとして立ち上げ、続いて2011年8月に専門組織として設置した「安全高度化対策推進室(現在は、安全高度化対策推進部)」の下、東京電力福島第一原子力発電所で起きた全交流電源喪失事故を踏まえた安全性向上対策を納入先の国内PWRプラントへ展開しています。また、2012年9月に発足した「原子力規制委員会」において検討された「新規制基準」が、2013年7月に施行され、2015年8月に新規制基準を満たしたPWRプラントが再稼働を果たし、現在も既設PWRプラントで順次再稼働および再稼働に向けた安全審査が進められています。当社では、これら国内PWRプラントに加え、現在は当社が納入するタイプとは異なるBWRプラントも含めた国内原子力プラントの早期の再稼働に向け電力会社への技術支援を実施しています。さらに、中長期的な安全性・信頼性向上のための対策(特定重大事故等対処施設など)についても電力会社をバックアップして進めています。
今後ともこれらに迅速に対応することにより、原子力発電所の安全性・信頼性をさらに向上させ、電力の安定供給に貢献していきたいと考えています。

【船舶】製品事故の未然防止を図り、QMS活動を高度化

三菱造船(株)と三菱重工海洋鉄構(株)では、横浜、下関、長崎の3拠点で多様な船舶・海洋製品の製造とエンジニアリング事業を行っています。全社一体となって、品質指標、不適合処理システム、安全・品質教育、内部監査などの共通化や、業務プロセスと品質管理体制の改善、安全・品質マインドの醸成によって、QMSの高度化に取り組んでいます。また、ISO9001に基づく外部審査を通じて、QMS活動に対する客観的な審査を受けることで、お客さまの期待に応える製品・サービスの提供に取り組んでいます。

【航空機】教育・研修、QMS関連活動の推進で飛行安全意識を醸成

航空機製造事業では、「飛行安全の理念」に基づき、航空機の飛行安全の確保を最重要課題として取り組んでいます。航空機製造関連作業・管理に従事する者全員が航空事故の重大さを認識し、飛行安全意識の徹底を目指す教育の一環として、主に管理職を中心に1985年の日本航空123便事故について日本航空安全啓発センター見学および御巣鷹の尾根への慰霊登山を通じて学ぶ研修、2000年のMH2000ヘリコプターの不時着事故、および2007年のF-2戦闘機の落下・炎上事故から得られた教訓(新作業指示書/自主確認プログラム適用)を伝える研修会、異物残置防止の取り組み、パイロットとのワイガヤなどを通じて学ぶ研修等を、実施しています。また、JIS Q 9100に基づいたQMS関連活動を通じ、品質の継続的改善に取り組んでいます。

【交通システム】品質マネジメントシステムに基づき交通システムの安全性を確保

三菱重工エンジニアリング(株)では、国内・海外の空港や都市部向けの全自動無人運転車両や次世代型路面電車などの新交通システムをはじめ、公共性の高い各種交通システム事業を数多く手がけています。こうした交通システムに求められる高い安全性を確保するために、設計から調達、製造、据付、試運転、メンテナンスまでの各工程において、独自に策定した品質方針とISO9001に基づいた品質マネジメントシステムを運用しています。さらに毎年、事業部門のトップと関係者で活動成果をレビューするとともに、品質マネジメントシステムの有効性についても評価・改善しています。また、鉄道関連法規や規格の改正情報などを関係者間で共有するための講習会を開催しているほか、国内外の各プロジェクトでは、各国の安全基準やお客さまの要求を設計初期段階より確実に反映させるための仕組みを構築しています。これらの取り組みに加え、過去のプロジェクトにおける教訓の共有化を図るシステムを用意。過去のプロジェクト従事者が実体験で得た教訓などを登録することにより、技術伝承とノウハウの蓄積を図るとともに、次のプロジェクトに取り組む者がそのノウハウを共用することで、製品安全に対する意識のさらなる向上にも努めています。

【エアコン】「設計業務管理要領」に基づく安全性設計と検証、顧客の安全を最優先としたリスクマネジメントの実施

冷熱事業(注)では、1994年にISO9001認証を取得し、品質マネジメントシステムに基づいた品質方針のもと、製品の設計・開発においては、「設計業務管理要領」を制定し、エアコン製品の安全確保に努めています。製品開発時には、この標準で規定する品質チェックシートなどを用いて、開発から使用、廃棄に至る製品のライフサイクルのすべての段階において火災や爆発、有害物質などによって製品が人や財産に危害を及ぼすことがないことはもとより製品安全に関わるあらゆる検証を行っています。
万が一、市場にて重大製品事故が発生した場合には、直ちにお客さまの安全を確保するための措置をとり、速やかに事実確認と原因分析、究明を行い、是正処置を実施し、あわせて関係官庁への報告とユーザや市場への情報開示を行います。
上述の製品安全方針に基づき、2018年1月には、ビーバーエアコンのご愛用のお客さまへ無償点検・改修のお願いをさせていただきました。この教訓を海外含めた社内に展開し、再発防止と製品安全を第一とする風土の醸成に努めます。

  • 三菱重工の冷熱事業は、2016年10月に営業を開始した三菱重工サーマルシステムズ(株)に継承されています。

防衛生産・技術基盤の維持・強化

国の安全・安心に技術で貢献

当社は、「最先端技術を活用して、国の安全・安心の確保に貢献」するという基本姿勢のもと、日本の防衛産業のトップメーカーとして防衛生産・技術基盤の維持・強化を図り、国の要請に基づいて戦闘機やヘリコプター、ミサイル、艦艇、戦車など、数多くの防衛装備品の開発・生産・運用支援に携わっています。近年、我が国の防衛を取り巻く環境は激しく変化しており、国の厳しい財政事情、急速に進む技術進歩のなかでも、国の要請に応えていくためには、従来以上に生産・技術基盤を維持・強化することが必要となっています。当社は将来の安全保障環境を見据えて、次期戦闘機に適用するステルス技術、アビオニクス、構造軽量化技術の研究や、海上での高速航行を実現する水陸両用車の要素技術の研究など、国の要請に応えて各種技術開発に取り組んでいます。また、当社がこれまで防衛・宇宙分野で培ってきたコア技術を活用して、サイバーセキュリティ、無人機利用、衛星データ分析などのデュアルユース事業に取り組んでいます。防衛分野の最先端技術は裾野が広く、素材・部品・加工技術等の分野で民生品など他産業への波及が期待でき、我が国の長期的技術発展にも寄与できるものであり、国家の戦略産業として発展が期待されます。

原子力PA活動(注)を推進

写真:神戸造船所見学会の様子
神戸造船所見学会の様子(注)
  • 写真は新型コロナウイルス流行前のもの

当社では、原子力発電プラントの製造工場がある神戸造船所への見学者を受け入れて、原子力発電の必要性や安全性への理解を深めていただく原子力PA活動を推進しており、毎年多くの方々に訪問していただいています。
今後も、原子力発電の信頼を回復するために見学会や情報提供などのPA活動を継続していきます。

  • 原子力PA(Public Acceptance)活動: 原子力について皆さまに知っていただくための活動