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◆ 低GWP冷媒の採用で環境負荷を低減、省エネ・省スペースのほか、従来製品からのスムーズな更新も実現
◆ 国内初5,400冷凍トンまでの製品化で、大規模施設における多様なニーズに対応

表彰式の様子
三菱重工グループの三菱重工サーマルシステムズ株式会社(社長:伊藤 喜啓、本社:東京都千代田区、以下、三菱重工サーマルシステムズ)は、同社のターボ冷凍機「JHT-Y/JHT-YIシリーズ」で、公益社団法人日本冷凍空調学会が主催する第52回(2024年度)日本冷凍空調学会賞の「技術賞」(注1)を受賞しました。本受賞は「低GWP(注2)のHFO-1234yfを採用した大容量ターボ冷凍機の開発」が高い評価を得たもので、5月15日に都内で表彰式が行われました。
日本冷凍空調学会の技術賞は、冷凍空調技術の発展に大きく貢献する優れた技術業績に授与されるもので、その対象は冷凍・空調分野ならびに食品冷凍・低温生物分野・医療分野における新技術です。当社グループのターボ冷凍機に対する同賞の受賞は、2002年度の「高効率ターボ冷凍機NARTシリーズ」、2015年度の「高効率ターボ冷凍機GART、GART-Iシリーズ」に次いで3度目となり、JHT-Y/JHT-YIシリーズとしては、環境省主催の「令和6年度気候変動アクション環境大臣表彰」に続く受賞となります(注3)。
JHT-Y(固定速機)/JHT-YI(インバータ機)は、GWPが1未満の環境負荷が極めて低い冷媒HFO-1234yfを採用し、2022年6月に発売した大容量ターボ冷凍機の新シリーズです。固定速機、インバータ機ともに300~5,400冷凍トン(注4)の容量まで対応し、需要の急拡大が見込まれる大規模データセンターの要求容量帯(2,500~3,000冷凍トン)にも対応可能です。本シリーズは新規に設計した圧縮機の採用により、定格COP(注5)は最大6.4、インバータ機のIPLV(注6)は8.8、部分負荷での最高COPは24.9と高効率を実現しました。圧縮機を小型化して、ターボ冷凍機の構造を工夫することで、省スペース性にも配慮。従来製品からのスムーズな更新も可能です。固定速機、インバータ機ともに、空調用途に加えて暖房用途や飲料工場の低温加熱など、幅広い用途に対応できます。また、GWPの高いHFC(代替フロン)を採用した従来製品からJHT-YIシリーズに更新した場合、電力消費量とCO2排出量を年間約65%(注7)削減でき、環境負荷の低減にも大きく貢献します。
カーエアコンや自動販売機の冷媒としても使われているHFO-1234yf冷媒は、GWPが1未満かつODP(注8)がゼロで、日本国内ではノンフロン扱いのため、大気中への排出や使用後の回収・破壊といった面でフロン排出抑制法(注9)の適用を受けません。一方、同法の施行前に広く使われていた「HFC-134a」などの高GWP冷媒を採用する機器は、地球温暖化への影響が大きいことを考慮し、生産量・消費量の削減義務が課されています。2025年以降、高GWP冷媒を採用した機器の市場投入に関する規制がさらに強化されることもあり、低GWP冷媒機器への早期転換が求められています。
三菱重工サーマルシステムズは、工場空調、地域冷暖房向けなどに多数のターボ冷凍機を供給し、国内トップシェアを占めています。低GWP冷媒を採用したターボ冷凍機は、小、中容量クラスのETI-Zシリーズと併せ、150~5,400冷凍トンをカバー。今後も低GWP冷媒を使った高性能製品の開発に注力し、地球規模での環境保全に貢献していきます。
- 1第1回(1973年)から第7回(1979年)までは「日本冷凍協会賞」の名称で、第8回(1980年)以降は「学術賞」と分かれて今日に至っています。
- 2Global Warming Potentialの略。CO2を1とした地球温暖化係数で、値が小さいほど温室効果が低く環境性に優れます。
- 3「令和6年度気候変動アクション環境大臣表彰」の受賞について、詳しくは以下のプレスリリースをご覧ください。
https://www.mhi.com/jp/news/241203.html - 41冷凍トンは約3.516 kW。2,700冷凍トン以上は、パラレル(圧縮機2台)対応となります。
- 5Coefficient Of Performanceの略。JIS規格に基づき算出する成績係数で、値が大きいほど省エネ性に優れます。
- 6Integrated Part Load Valueの略。空調機器の部分負荷運転時の効率を示す指標で、値が大きいほどエネルギー効率性に優れます。
- 7同社20年前の従来製品との比較。
- 8Ozone Depletion Potential(オゾン層破壊係数)の略。かつて冷媒として広く用いられたCFC-11(トリクロロフルオロメタン)を1.0とした場合の相対値として表す係数で、値が小さいほどオゾン層に与える破壊効果が少なくなります。
- 9フロン回収・破壊法の改正により、フロン排出抑制法(フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律)が、2015年4月1日に施行されました。
三菱重工グループについて
三菱重工グループは、エンジニアリングとものづくりのグローバルリーダーとして、 1884年の創立以来、 社会課題に真摯に向き合い、人々の暮らしを支えてきました。
長い歴史の中で培われた高い技術力に最先端の知見を取り入れ、カーボンニュートラル社会の実現 に向けたエナジートランジション、 社会インフラのスマート化、サイバー・セキュリティ分野 の発展に取り組み、 人々の豊かな暮らしを実現します。
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