MHI 打上げ輸送サービス: 打上げ輸送サービスとは

「打上げ輸送サービスとは」

「打上げ輸送サービス」とは、お客様のペイロード(人工衛星や探査機)を「決められた日時に」「ご指定の軌道に」「確実に」届けるための一連のサービスです。
三菱重工の打上げ輸送サービスの特徴は、ロケットの製造から、ロケットと人工衛星間のインターフェース調整、プログラムのマネージメント、そして打上げまで「一貫したサービス」を提供できる点です。
ロケットを熟知したエンジニアが、お客様である衛星製造企業や衛星ユーザーの皆様の対応にあたります。そのため、サービス全行程において首尾一貫した適正な判断が可能です。
今後もお客様に寄り添った「確実で」「使いやすい」打上げ輸送サービスを提供します。

打上げ輸送サービスの3つの目標と実績

打ち上げイメージ
提供:JAXA

3つの目標

1. お客様視点にたった「使いやすさ」
ロケット開発や打上げ業務に携わった経験を豊かな専門スタッフが、ロケットの製造、ロケット・衛星間のインターフェース調整、射場での衛星準備支援、打上げ業務まで一貫したサービス提供を努めます。
打上げ輸送サービス全般のプログラム管理、調整を行う「プロジェクトマネージャー」のもと、お客様の衛星ごとに「ミッションマネージャー」と呼ばれるコンタクトパーソンを配置。ミッションマネージャーは契約からサービスの履行、個々のプログラム・スケジュール管理に責任を持つと共に、ロケット製造チームや打上げ作業チームと密に連携をとり、製造から打上げまでの様々な課題を速やかに解決し、確実な打上げを実現してまいります。 当社の知識、経験、チームワークをフルに活用した体制により、お客様にきめ細かなサービスをご提供いたします。
2.「ご指定の場所に、確実に届ける」信頼性の高い打上げ
人工衛星が飛ぶ道筋を「軌道」と呼びます。軌道は人工衛星の目的によって異なります。
ロケットの役割は、できる限り少ない誤差で衛星を目的の軌道に投入することです。
H-IIA やH-IIBロケットの信頼性を引き継いだH3ロケットは軌道投入の精度が非常に高く、打上げを続けています。
3.「決められた日に届ける」確実な打上げ
打上げ作業に入ってから延期が無く打ち上がった場合を、「定刻打上げ(オンタイム打上げ)」と呼んでいます。
人工衛星を投入する軌道によって、打上げ可能な時間帯(ロンチウィンドウ)は異なります。
ロンチウィンドウが数時間あるケースもあれば、数分のケース、または1秒の狂いも許されないケースなど様々です。
当社はそのような厳しい打上げ条件もクリアして、確実な打上げを実績として積み重ねています。

サービス内容

お客様とのご契約前の調整から、ご契約後の打上げまで、簡潔で万全な一貫したサービスをご提供するため、お客様から見たコンタクトポイントは当社のみです。打上げ輸送サービスを行うにあたり関連する宇宙関連メーカー、保険会社、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)、関連省庁等との調整は当社にて行います。

サブコンポーネントは宇宙関連メーカーに協力いただき、打上げ輸送サービスに関する保険はお客様のご要望に応じて保険会社と調整いたします。また電波や危険物などを扱うために必要な法手続きは、関連省庁への承認作業を進め、安全監理業務、ダウンレンジ業務、打上げ射点設備の維持等についてはJAXAに協力を仰ぎながら、確実で信頼性の高い打上げを実施します。

サービス内容

三菱重工の主なサービス内容

プログラム・マネジメント
ご契約後、お客様の人工衛星からのご要求と打上げ時期にあわせてロケットを準備し、確実な打上げの履行のために、スケジュールおよびプログラムの管理など一連の作業を総合的に管理し、柔軟に対応します。
またJAXA種子島宇宙センターにお客様の人工衛星が搬入された後は、衛星側作業のサポート、衛星とロケットとのインターフェースの調整、さらに必要な場合には会議や通訳のアレンジまで、きめ細かく対応します。
ミッション・インテグレーション
お客様の条件やご要望に応じ、そのニーズに合うようロケットのハードウェア、ソフトウェアを含めた仕様を検討し、技術的調整を取りまとめます。
ロケット製造
ミッション・インテグレーションで検討した要求に沿うロケットを製造します。製造過程では厳しい審査を設け、品質維持を徹底します。
ミッション・モディフィケーション
個々の人工衛星に合わせて衛星アダプタと衛星フェアリングを用意する作業がミッション・モディフィケーションです。衛星フェアリング、衛星アダプタともに、衛星の大きさ・仕様を合わせて複数準備しています。
打上げ業務
打上執行責任者としてロケットの打上げを行います。人工衛星の状態、ロケットの状態、気象条件、JAXAが実施する追跡管制および安全監理の準備/実施状況といった全ての状況を把握し、最終的に打上げを行うかどうかの判断を行います。

打上げまでの流れ

工場作業

三菱重工の各工場や宇宙関連メーカーで作られた部品やサブコンポーネントは、愛知県にある飛島工場に集められ、コア機体として組み立てられます。エンジンは、同じく愛知県にある小牧北工場で製造され、燃焼試験を経て飛島工場へ搬入されたあと、コア機体に結合されます。組み立てられたコア機体は各種機能試験を行ったあと、種子島宇宙センターに向けて出荷されます。

射場作業

コア機体は打上げ射場に到着後、ロケット組立棟にて1段機体と2段機体を結合し、更に固体ロケットブースター(SRB-3)を結合します。総合システム点検を行ったロケット機体は最終審査を受けます。一方、人工衛星は宇宙センター内の衛星組立棟に運ばれ、衛星単独で点検作業を行います。準備を終えた衛星は当社へ引き渡され、衛星分離部への結合、衛星フェアリングへ格納されたのちロケット組立棟に搬入されます。その後衛星はロケット機体と結合し、ロケットとしての姿が完成します。

射場作業
提供:JAXA
射場作業
提供:JAXA