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三菱重工エンジニアリング、ノルウェーの世界最大級CO2回収実験施設で実証試験
TCMと合意、新吸収液KS-21TMの商用化に向け検証

三菱重工エンジニアリング株式会社
Technology Centre Mongstad
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◆ MHIENGと関西電力株式会社が共同開発したKS-21TMで、2021年5月から試験を開始
◆ TCMは、本試験において最先端の設備と専門知識を提供
◆ MHIENGはKS-21TMの商用化を加速させ、英国・欧州市場においてCO2回収事業の受注拡大を目指す

Technology Centre Mongstad located at the west coast of Norway

ノルウェーの西海岸に位置するモングスタッドCO2 回収技術センター(TCM)

三菱重工グループの三菱重工エンジニアリング株式会社(MHIENG、社長:寺沢 賢二、本社:横浜市西区)ならびにノルウェーのモングスタッド(Mongstad)で世界最大級の二酸化炭素(CO2)回収実験施設を運営するモングスタッドCO2 回収技術センター(TCM:Technology Centre Mongstad)(注)は、同施設でMHIENG独自のCO2吸収液を使った実証試験を2021年5月から開始することで合意しました。

本試験は、MHIENGが関西電力株式会社(KEPCO)と新たに共同開発した「Advanced KM CDR ProcessTM」に使われるアミン吸収液「KS-21TM」の長期使用実証を、CO2回収の環境規制の枠組みにおいて最も先進的な国の一つであるノルウェーで行うもので、2021年中の商用化を目指します。KS-21TMは、これまでMHIENGが納入した13基の商業プラントで採用されている従来のKS-1TMと比較し、さらに揮発性が低く、劣化に対する安定性が高いといった特徴を有しており、運用コストの削減など経済性の向上が期待できるものです。

英国・欧州においてCO2回収のニーズが高まるなか、MHIENGは最先端の設備と専門知識を有するTCMにおいて、KS-21TMの長期耐久性の確認や環境影響の評価、業界標準に比べ大幅に高いCO2回収率における各種技術データを取得します。本試験により、KS-21TMの商用化の目途付けを行うことで、英国・欧州市場での受注を拡大させることを目指します。

TCMは、2012年の設立以降、運用されてきた世界最大級のCO2回収実験施設および、排出ガス微量成分に関する深い見識、オンライン分析、高度な分析技術を提供します。これまでの試験でTCMが蓄積した1000種類以上のデータは、吸収液の商用化に大きく寄与します。

今回の合意に際し、MHIENGの寺沢 賢二社長は、次のように述べています。「三菱重工グループは、世界規模でのカーボンニュートラル実現に貢献するため、エナジートランジション(低環境負荷エネルギーへの転換)分野の取り組みを強化しています。当社は長年、最先端の技術を駆使して排ガスからのCO2排出量の最小化に取り組んできました。当社は、30年以上にわたる研究開発活動と、世界各国へ納入した商業プラントの実績に裏打ちされた信頼性と優れた経済性を有しています。TCMが長年にわたって培った環境影響評価に関する豊富な知識・経験と先進的で最適な実験環境が、当社のCO2回収技術を更に向上させ、当社にとっての重要市場である英国・欧州での事業拡大を加速させ、未来のカーボンニュートラル実現に貢献することを期待します」。

一方、TCMの代表取締役(Managing Director)であるErnst Petter Axelsen(アーンスト・ペッター・アクセルセン)氏は、次のように述べています。「CO2回収技術のトップランナーであるMHIENGがTCMを選んだことは、非常に喜ばしいことです。TCMのスタッフは、試験を効果的に実施し試験期間中に専門的なアドバイスを提供する準備ができています」。

MHIENGおよびTCMは、環境意識の高い欧州で日本発の高性能なCO2回収の吸収技術実証に取り組むことにより、温室効果ガスの効果的削減という地球規模の課題解決に向けて貢献していきます。

KM CDR ProcessTMとAdvanced KM CDR ProcessTMについて

MHIENG(当時、三菱重工)は、1990年から関西電力と共同でCO2回収技術「KM CDR ProcessTM」の開発に取り組んでいます。2021年2月現在、KM CDR ProcessTMを用いたプラントを13基納入しており、現在、さらに2基建設中です。MHIENGは、この分野における世界のリーディングカンパニーです。
KS-1TMは現在、KM CDR ProcessTMを使用するすべての商業プラントで使用されており、競争力があり信頼性の高い吸収液として選ばれています。一方KS-21TMは、MHIENGと関西電力が共同でKM CDR ProcessTMの改良を続け、新たに開発したものです(Advanced KM CDR ProcessTM)。KS-21TMは、KS-1TMと比べ、さらに揮発性が低く、劣化に対する安定性が高いといった特徴を有しており、今後の展開に向けて運用コストの削減など経済性の向上が期待できるものです。2021年中の商用化を目指しています。 詳しくは、以下のURLおよびYouTube動画をご覧ください。

TCM の試験施設について

TCMのCO2回収試験施設は、アミンプラント、チルドアンモニアプラントおよびモジュール式回収技術のエリアで構成されています。アミンプラントとチルドアンモニアプラントでは、水とアミンまたはアンモニアをベースとした化学吸収液によってCO2を回収します。モジュール式回収技術エリアは、2021年から膜や吸着剤(CO2と結合する固体物質)などの試験のために使用される予定です。
TCMは、モングスタッドにあるエクイノール社(Equinor Energy AS)の石油精製工場から供給される、CO2含有量の異なる2種類の煙道ガス(流動接触分解装置および天然ガス焚きガスタービンコンバインドサイクル発電設備)をCO2回収に利用しています。
アミンプラントは、化学吸収法によるCO2回収技術の実証装置として開発された汎用性の高いユニットです。このユニットは、これまでに5社の技術ライセンサーによって利用されており、また、世界的なCO2回収コミュニティーの発展を助けるために、非独占的溶媒(モノエタノールアミンおよびCESAR 1)を用いた科学的試験も行っています。

 TCM

TCMの試験施設のレイアウト

  • TCMは2012年にCO2回収技術の進歩に貢献するために設立された、世界最大級のCO2回収実験施設の名称であり、運営社名でもあります。隣接する石油精製工場、ガス火力発電所から年間で合計約10万tのCO2を回収する能力を持ち、費用対効果の高い産業規模のCO2回収の実証試験を行うことが可能です。ノルウェーの国有企業であるガスノバ(Gassnova)社、およびエネルギー企業3社(Equinor、Shell、Total)が共同運営しています。詳しくは、以下のURLをご覧ください。

Tags: エナジートランジション,脱炭素,CCS