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南フランス・ITER向けTFコイル計4基が完成
2025年の運転開始目指し、核融合実験炉に順次据え付け

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◆ 三菱重工受注のTFコイル全5基中、予備を除く計4基を現地へ向け順次積み出し
◆ TFコイルの構造物・巻線製作でも高い技術力を発揮、核融合技術の開発に貢献

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今回完成した4号機

三菱重工業は、南フランスのサン・ポール・レ・デュランス市で建設が進められている核融合実験炉イーター(以下、ITER)向けに国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構(量研)から受注した、世界最大規模の超伝導コイルであるトロイダル磁場コイル(以下、TFコイル)全5基について、このほど予備1基を除く計4基を完成させました。完成したTFコイルは、神戸港から南フランスに向けて順次積み出された後、2025年のITERの運転開始に向け、ITER機構による現地での据え付け作業が進められる予定です。

当社は、2020年1月に世界初となるITER用TFコイル初号機を完成させ、当社二見工場において完成披露式典を開催しています。この初号機と2020年3月に完成した2号機は、現在南フランスの現地において実験炉への設置作業が進められており、2020年11月に完成した3号機も同じく現地での受け入れ試験が完了したところです。

炉内で核融合反応を起こすためには、高温・高密度状態(プラズマ状態)になった重水素と三重水素の燃料を磁場で閉じ込める必要があるため、ITERの中枢機器であるTFコイルには、プラズマを高精度に保持するための高い製作精度と数万トンの強い磁場力に耐え得る肉厚構造が必要となります。当社は今回、ITER向けTFコイル全19基のうち5基の最終組み立て工程を担っているほか、TFコイルに用いられる構造物や巻線を製作しており、高さ16.5m、幅9m、総重量300トンの巨大な超伝導コイルに対して1万分の1以下の精度を実現しています。

三菱重工は、今回のITER向けTFコイル4基の完成に続き、ダイバータ(注1)や水平ランチャー(注2)といった他の主要機器製作にも取り組みます。これまで培った知見から高難度製作物の量産化技術を提供し、世界の持続的発展のため非常に重要な技術開発に取り組むITER計画を積極的に支援することで、核融合技術の信頼性向上に引き続き貢献していきます。

  • 1炉心プラズマ中の不純物を除去し、高熱負荷・粒子負荷を除去する機器です。
  • 2高周波を入射してプラズマを加熱する機器です。
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初号機完成式典の様子

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現地で組立作業中の初号機(奥)と2号機(手前)

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現地に到着した3号機

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<参考資料>

【研究の背景】
ITER計画は、核融合エネルギー(注3)の実現に向け、科学的・技術的な実証を行うことを目的とした大型国際プロジェクトです。日本・欧州・米国・ロシア・韓国・中国・インドの7極が参加しており、2025年の運転開始を目標に、ITERの建設をフランスのサン・ポール・レ・デュランス市で進めています。日本はTFコイルをはじめ、ITERにおける主要機器の開発・組み立てなどの重要な役割を担っており、量研はITER計画の日本国内機関として機器等の調達活動を推進しています。           ITERのTFコイルは、高さ約16.5m、幅約9m、重量約300トンのD型の超伝導コイルであり、18基が真空容器を取り囲むように放射状に並び、高温かつ高密度のプラズマを閉じ込めるための最大12テスラの強力な磁場を発生させます。ITERでは、TFコイルを19基(予備1基を含む)製作し、そのうち9基(予備1基を含む)を日本、10基を欧州が分担して製作します。TFコイルの内側構造物は、全19基分を三菱重工の二見工場で製作。今回の4基を含む5基分については、巻線部を三菱電機が製作し、外側構造物は韓国で製作して、二見工場で一体化することにより完成体にします。

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【今回の成果】
ITERのプラズマ閉じ込めのために、高精度で高い磁場(12テスラ)が必要で、このためニオブ・スズ超伝導体を用いた従来にない大きさの超伝導コイルの開発が求められていました。また、超伝導状態を維持するにはマイナス269度の極低温状態で稼働する必要があるため、極低温に耐えうる特殊ステンレス鋼の構造材料とその製作技術の開発もあわせて求められていました。ITERのTFコイルはこれまでにない世界最大のニオブ・スズ超伝導コイルで、その寸法に対し、1万分の1以下の精度でコイルを巻線・製作することが必要でした。量研は、2005年からTFコイルの製作技術の研究開発を進め、三菱重工は、2012年よりTFコイル製作に参加しました。両者で協力し、ニオブ・スズ超伝導体を高精度で巻線する技術を開発し、また構造材料に極低温で高い強度を有する特殊ステンレスを使用することにより、極低温での耐久性の課題を克服しました。さらに、溶接による変形を抑制する条件を見出し、要素試験、小規模試験体および実規模試験体による検証を行い、材料特性に適した高度な溶接技術および加工技術などの基盤技術を確立しました。これにより、ITERで要求される高い精度での製作に成功しました。

 

【今後の予定】
三菱重工が受注したTFコイル全5基の内、残る予備1基は2022年に完成予定です。

  • 3核融合とは… 核融合は太陽が輝き続けられるエネルギー源であり、地上での核融合の実現を目指して、重水素や三重水素などの軽い原子核がプラズマ状態で融合し、ヘリウムなどのより重い原子核になる核融合反応を利用します。燃料となる重水素、三重水素の原料であるリチウム資源は海水中に無尽蔵にあり、核融合エネルギーはCO2を発生しません。そのため、エネルギーおよび環境問題を根本的に解決すると期待されています。

Tags: ITER,核融合エネルギー