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ブルガリアでの風力発電事業に伴う排出権を日本へ移転

発行 第 4962号
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 三菱重工業がブルガリアで展開している風力発電事業により得られた排出権がこのたび、初めて日本へ移転された。風力発電所が既存の電力を代替することで実現した温暖化ガス削減分をクレジットとして取得・売却したもので、排出権は2009年12月分までの削減CO2約12万トン分。同事業は2008年7月の商業運転開始以来順調に運営されており、今後も、同国における再生可能エネルギーの利用促進と、わが国の排出権獲得に貢献していくこととなる。

 この風力発電事業は、当社が現地の建設会社であるイノス社(INOS-1 Ltd.:ソフィア市)と共同で出資した事業会社、カリアクラ・ウィンドパワー社(Kaliakra Wind Power AD:KWP)を通じて行っているもので、日本・ブルガリア両国の温暖化ガス削減共同実施(JI※)案件となっている。黒海沿岸のカリアクラ岬にあるウインドファームは、当社の定格出力1,000kW風力発電設備(MWT-1000A)35基により構成され、総発電容量3万5,000kWから発生する電力はすべて同国の国営電力会社(NEK)に販売されている。

 KWP社が運営する風力発電事業の温暖化ガス削減量は年間7~8万トン規模。京都議定書の第一約束期間である2012年度まで、累計35万トンを上限に日本カーボンファイナンス株式会社(Japan Carbon Finance, Ltd.:JCF)が排出権を購入する契約となっており、それを超える部分は当社が購入する。

 KWP社の資本金は約17億円で、出資比率は当社70%、イノス社30%。ブルガリアは2007年の欧州連合(EU)加盟を受け、2020年までに国内エネルギー消費量の16%を再生可能エネルギーで賄うことを目指しているが、同社はこの国策の一端を支える役割を担った功績が高く評価され、2008年12月、ブルガリア政府から海外優良投資案件に贈られる「インベスター・オブ・ザ・イヤー」のエネルギー部門賞を受賞している。

 JCFは、排出権の購入や、京都議定書で規定された温暖化ガス削減事業の支援を目的に、わが国民間企業や国際協力銀行(JBIC)、日本政策投資銀行(DBJ)などが出資し2004年に設立された会社。

 ブルガリアでの風力発電事業は、当社が出資する海外発電事業としては、スペインのガスタービン・コンバインドサイクル(GTCC)発電事業会社であるAESカルタヘナS.R.L.への投資(2003年契約、2006年営業開始)に次ぐもの。
 当社はこれらの実績と経験を足掛かりとして、発電設備の営業活動をより活発化するとともに、発電事業への参画拡大や、排出権創出を念頭に置いた事業スキームの形成など新たなビジネス領域の開拓に一層積極的に取り組んでいく。

※共同実施(Joint Implementation)= 先進国同士が協力して、温室効果ガス排出量の削減に資する事業を実施し、その排出削減量をクレジットとして得る仕組み。ブルガリアは、ロシア、ウクライナ、チェコに次いで多い、27件のJIプロジェクトを実施している(2010年6月末現在)。

 


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