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東京都から大規模PCB土壌浄化事業を受注
高濃度PCBを分離

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 三菱重工業は、東京都よりPCB(ポリ塩化ビフェニール)汚染土壌からPCBを分離する土壌浄化事業を受注し、このたび浄化設備の建設に着手した。受注金額は約7億円。ダイオキシン類の一種である高濃度のコプラナーPCB※1を汚染土壌から分離抽出するもので、自治体が実施する大規模なPCB土壌浄化事業は今回が初めて。浄化実施期間は2005年4月から11月まで。

PCB土壌浄化施設完成予想図
 工事の対象となるのは、東京都大田区東海二丁目に保管されている約1,000m3(ドラム缶約6,700本分)のPCB汚染土壌。2000年2月に大田区大森南で見つかった汚染土壌を掘削除去し一時保管しているもので、汚染区域はダイオキシン類対策特別措置法に基づく対策地域に全国で初めて指定された。当社は、汚染土壌保管施設に隣接した土地で、「溶剤抽出法」を適用し、常温・常圧下で汚染土壌から安全にPCBを分離抽出して浄化を行う。

 溶剤抽出法は、当社が有機溶剤ガス回収装置で培った技術と、米国テラクリーン社※2から導入した技術を組み合わせ、日本の土質に合わせると同時に、環境規制や安全法規などの法規制にも対応する独自の処理システムとして2001年に完成したもの(2004年度日本産業機械工業会優秀環境装置会長賞受賞)。この溶剤抽出法の特徴は、汚染土壌に加熱や加圧を行わず、排ガスも発生しないことから、環境への影響を最小限に抑えることができる。そのため、従来の熱処理技術では成し得なかった市街地におけるPCB汚染土壌処理に道を拓くものといえる。

 当社は2002年度に、神戸市、国立環境研究所と共に、この技術を利用したPCB汚染土壌処理の実証に国内で初めて成功。2003年には、民間企業からPCB汚染土壌処理を受注、本年3月に無事完工させている。これらの処理実績で示された高い技術力と安全性などが評価されて今回の受注となった。

 当社は、初の大規模PCB土壌処理となる今回の事業を受注できたことから、さらに本格的に土壌浄化ビジネスと取り組み、3年後には30~50億円規模の事業に育ててい。

※1 コプラナーPCB= PCBの中で特に毒性が強く、ダイオキシン類と似た作用を示す物質。ダイオキシン類と同様に廃棄物の焼却によっても生成される本物質は、ダイオキシン類特別措置法ではダイオキシン類として定義され、厳しい規制を受けている。 コプラナーPCBの一部は、カネミ油症の原因とされるカネクロールなどのPCB製品中に0.1~0.8%含まれていることが報告されている。
※2 テラクリーン社= 1993年設立、米国・カリフォルニア州の環境ベンチャー企業。 米国を中心に、カナダ、オーストラリアなどで溶剤抽出法を用いたPCBやダイオキシン類などの土壌汚染処理事業を展開している。

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