重要課題(マテリアリティ)

三菱重工グループのマテリアリティ

三菱重工グループでは、社会課題の解決を通じて企業価値を向上させ中長期的に成長していくために、2020年度に当社グループが取り組んでいくべき重要課題(マテリアリティ)の特定を行いました。

近年、SDGs(国連「持続可能な開発目標」)採択やESG(環境・社会・ガバナンス)投資の拡大、EUタクソノミー等、国際的な規範やガイドラインにおいてもサステナビリティの重要性が高まり、当社グループに影響を及ぼす可能性のあるメガトレンドも変化してきていることから、2015年に策定したマテリアリティを2020年に見直し、以下の通り、新たに5つのマテリアリティを特定しました。2022年度には、各マテリアリティの進捗モニタリング指標(KPI:下段参照)を設定しましたので、今後はKPIにて進捗を管理し、着実なPDCAを実践していきます。

マテリアリティに取り組む活動は、サステナビリティ経営を事業面で具現化するものであり、実効性をもたせるために、各マテリアリティに責任者と取り纏め部門を持つ分科会を設置し、具体的な施策やロードマップを検討しました。また、2021年10月より社長を議長とする「マテリアリティ推進会議」を新設し、マテリアリティの目標実現に向けた事業活動をフォローするとともに、事業部門へ必要な対応を指示する体制を構築しました。活動の内容はサステナビリティ経営における重要テーマとして、定期的に取締役会にも報告します。

マテリアリティと課題認識・全社目標・進捗モニタリング指標(KPI)

脱炭素社会に向けたエネルギー課題の解決 【責任者:CSO・成長推進室長】

脱炭素社会に向けたエネルギー課題の解決

気候変動の影響の深刻化に伴い、近年では“脱炭素社会”の実現が切望されています。今後エネルギーインフラは、各国の特性に応じた「3E+S(注)」を目指して再構築されるとともに、エネルギー需要側においても資源循環や脱炭素化が進展する見込みです。このような社会基盤の変革を早期に実現するために、三菱重工グループでは、エネルギー利用効率の大幅な改善やCO2回収・固定化などによる既存設備の継続利用および炭素循環の推進、カーボンフリー燃料の導入、世界最⾼⽔準の安全基準に適合した原子力や再生可能エネルギー利用拡大に努めていきます。

  • 安全性(Safety)を前提とした上で、安定供給(Energy Security)、経済効率性(Economic Efficiency)、環境適合(Environment)を追求

全社目標

  • 2021年10月発表の「カーボンニュートラル宣言」にあわせて目標を更新
  • 三菱重工グループのCO2排出削減
    Scope1・2を、2040年 Net Zero
  • 2040年までにバリューチェーン全体を通じた社会への貢献
    Scope3+CCUS削減貢献を、2040年 Net Zero

AI・デジタル化による社会の変革 【責任者:成長推進室長】

AI・デジタル化による社会の変革

「AIの活用」「デジタル化」が急速に進む現代では、人間の価値観や活動、暮らしも大きく変化しています。気候変動や少子高齢化、貧富格差拡大、そして新型コロナウイルスへの対応などさまざまな社会不安を抱える中で、いかに皆が便利で快適な生活を分け隔てなく共有し、サステナブルに過ごすかが重要なテーマとなっています。三菱重工グループは、固定観念からの脱却とAI・デジタル化の最大限の活用を通じて、経済発展と社会的課題の解決を両立する社会(Society5.0)を実現させ、「『人が豊かに生活する』とはどういうことなのか」を追求していきます。

全社目標

  • 顧客や利用者に寄り添った便利でサステナブルなAI・デジタル製品の拡充
  • AI・デジタル化により適切かつ効率的に電力需給を管理する未来型エネルギーマネジメントで、持続可能な社会へ貢献
  • クリエイティブな製品を生み出すための環境づくり

安全・安心な社会の構築 【責任者:CTO】

安全・安心な社会の構築

豊かな暮らしの実現には、安全・安心に過ごせる社会の構築が欠かせません。近年では自然災害やパンデミック、労働力減少およびサイバー空間を含めた安全保障環境の変化といったさまざまなリスクが顕在化していますが、当社グループには創業以来、重要インフラの構築や、宇宙・深海といった未知の世界への挑戦など、社会の発展に寄与してきた実績と、数多くの知見があります。これらを結集し、応用することで柔軟かつ強靭、そして省人化にも優れたシステムを構築し、より安全・安心な社会の実現に寄与します。

全社目標

  • 製品・事業/インフラのレジリエント化
  • 製品・事業/インフラの無人化・省人化
  • 三菱重工全製品の継続的なサイバーセキュリティ対策の深化

ダイバーシティ推進とエンゲージメントの向上 【責任者:HR担当役員】

ダイバーシティ推進とエンゲージメントの向上

ビジネスのグローバル化に伴い、近年では、サプライチェーンを俯瞰した人権意識をしっかりと持ち、グローバルに活躍する人材の育成が急務となっています。また、多様な発想に基づいて新たな価値を生み続けるには、一人ひとりが尊重され能力を高め・発揮し、主体性をもっていきいきと働く風土を構築することで、生産性向上や安全確保を実現することが欠かせません。そこで、当社グループでは、ダイバーシティと健康経営の推進を通じて、持続的な事業を支える“人材”の成長と健康維持を支援。在職中はもちろん、退職後も、活力にあふれ社会に貢献できる人材づくりを進めていきます。

全社目標

  • 多様な人材による新たな価値創出
  • 安全で快適な職場の確保
  • 社員を活かす環境づくりと健やかで活力にあふれ、社会に貢献できる人材づくり

コーポレートガバナンスの高度化 【責任者:GC】

コーポレートガバナンスの高度化

企業が社会に価値を提供し続けるには、グローバル社会の課題・要請に真摯に向き合い、健全な組織風土を形成することが重要です。特に多様な事業を持つ当社グループにとって、グループ全体のガバナンス体制を強化することは必須と言えます。当社グループは、コンプライアンス経営の推進や内部統制の強化により、法令遵守や誠実・公平・公正な事業慣行を徹底。組織にとっての機会・リスクを迅速に把握し、適切に対処していきます。また、社会から信頼される企業グループであるために、経営に関する適時適切な情報開示を実施し、公平性・透明性の担保も同時に展開していきます。

全社目標

  • 取締役会審議のさらなる充実
  • 法令遵守と誠実・公平・公正な事業慣行の推進
  • CSR調達のグローバルサプライチェーンへのさらなる浸透
  • 非財務情報の説明機会創出

マテリアリティの特定プロセス

マテリアリティの特定にあたっては、まずは当社グループの事業を棚卸し、SDGsやGRI(グローバル・レポーティング・イニシアチブ)スタンダード、ISO26000、SASBスタンダード、EUタクソノミー等の国際的な枠組みを整理した社会課題リストと紐づけを行いました。
その上で、社会に対する影響度と自社における重要度の視点の双方を考慮し、マッピングを行いました。さらにCSR委員会を中心に検討を重ね、外部有識者との意見交換会で頂いたご意見を反映し、経営会議・取締役会での承認を経て策定しています。
今後は、責任者・取り纏め部門を中心に事業部門・関係部門と連携して活動を推進し、「マテリアリティ推進会議」にて進捗をモニタリングしてPDCAサイクルを回すことで、サステナビリティ経営を推進していきます。

Step1 社会課題の整理
当社の事業・取組を棚卸し、SDGsやGRIスタンダード、ISO26000、SASBスタンダード、EUタクソノミー等の国際的な枠組みを整理した社会課題リストとの紐づけを行い、当社グループと関係のある37の社会課題テーマを特定
Step2 マテリアリティマップの作成
  • 社会課題の重要度を2軸で評価、マッピングを実施
    (縦軸: 社会に対する影響度、横軸: 自社における重要度 下図「マテリアリティ特定の考え方」参照)
  • マテリアリティマップをもとに、9項目のマテリアリティを仮定
Step3 妥当性の検証
  • マテリアリティ検討会議(CSR委員会メンバー)で議論を行い、6項目のマテリアリティに絞り込みを実施
  • 外部有識者3名との意見交換会(詳細は、ESG DATABOOK 2020 p.10)を実施
    【外部有識者氏名】
    立教大学21世紀社会デザイン研究科 特任教授 河口 眞理子 様
    特定非営利活動法人サステナビリティ日本フォーラム 代表理事 後藤 敏彦 様
    東京大学大学院 工学系研究科 副学長・経営企画室長 教授 坂田 一郎 様
  • 所属・役職は2020年9月時点
Step4 マテリアリティ特定
CSR委員会にてさらに5項目のマテリアリティに絞り込み、2020年9月の経営会議・取締役会を経て正式決定
Step5 全社目標/進捗モニタリング指標設定
マテリアリティの全社目標/進捗モニタリング指標を検討し、設定
2022年6月に進捗モニタリング指標(KPI)を当社ウェブサイトで開示

マテリアリティ特定の考え方

マテリアリティ特定の考え方

マテリアリティの特定について社外取締役との懇談会を開催

マテリアリティ特定プロセスのStep5「全社目標/進捗モニタリング指標設定」においては、将来の当社グループを担う若手・中堅社員で構成されたタスクフォースチームが中心となって検討しました。
2021年5月に、当社の社外取締役とマテリアリティ特定時のタスクフォースチームのアンカー役5名がマテリアリティ特定に関する懇談会を開催し、社外取締役より、マテリアリティの活動を更に発展させて欲しい旨、力強いエールを頂きました。

社外取締役との懇談会

第三者保証(AA1000AS)

2020年に特定した「三菱重工グループのマテリアリティ」に関する開示情報について、独立した第三者から、AA1000ASの保証を取得しました。(詳細はESGDATABOOK2021 p.85-86をご覧ください)