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世界シェア30%超を目指してGTCC事業の未来を担う基幹工場完成 世界シェア30%超を目指してGTCC事業の未来を担う基幹工場完成

三菱重工グラフ(2013年10月発行)に掲載

製品力[ 物流・産業 ]

世界シェア30%超を目指してGTCC事業の未来を担う基幹工場完成

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ガスタービンの需要高まる米国において、現地サバンナ工場での一貫生産を開始

47万平方メートルの敷地の中にガスタービンの燃焼器やローターの製造ライン、また組立工場やメンテナンス工場もあり、ガスタービンの一貫生産ができます。

米国市場での事業拡大を目指す基幹拠点が本格始動

2013年8月、三菱重工が米国・ジョージア州サバンナ工場内において建設を進めていたガスタービンのローター加工ラインが稼働を始めました。
サバンナ工場は、米国におけるガスタービンの一貫生産体制の確立を目指して建設。約47万平方メートルを誇る敷地内には、すでにガスタービンの燃焼器を製造するラインやガスタービンの本体を組み立てるライン、メンテナンスを手がける部門があります。今回新たにガスタービンの中核部品であるローター(注1)の加工ラインが加わることで、ガスタービン本体の製造や組み立てはもちろん、ローターや燃焼器などの部品まで一貫して製造できるようになりました。これにより為替変動のリスクを回避しつつ、北米市場により多くのガスタービンを供給することが可能となります。
サバンナ工場には、2012年米国大手エネルギー企業・ドミニオン社へのガスタービン納入などの実績があります。当時は日本で製作されたローターなどの部品を同工場で組み立てて納入。しかし、今回のローター加工ラインの完成により、2013年に受注したポートランド・ジェネラル・エレクトリック(PGE)社のGTCC発電設備向けガスタービン(2016年運転開始)は、ローターを含めサバンナ工場で生産されます。

  • 1複数のリング状のパーツからなる回転部品。ローター加工ラインではここにタービン翼を植えて組立ラインへ送り出す。
日本の拠点と同様のラインを備え、効率のよい組立ステーションにてガスタービン本体を組み立てる。
ドミニオン社に納入するため、サバンナ工場から出荷されたガスタービンの初号機。

石炭火力発電からGTCC発電へ

現在米国では、それまで電力供給を支えてきた石炭焚き火力発電所が、老朽化により廃止されつつあります。また、EPA(Environmental Protection Agency:米環境保護庁)による厳しい規制も、その動きに拍車をかけているため、これに代わる新たな電力供給源として注目されているのが、ガスタービン・コンバインドサイクル(GTCC)発電です。
これはガスタービンでの発電に加え、そこで生じた高温の排ガスを利用して蒸気タービンでも発電を行う高効率な複合発電システム。熱効率が高く、環境負荷の低減に貢献する発電方式です。
石炭焚き火力に代わる発電方式にはさまざまなものがありますが、特にGTCCに注目が集まっているのには訳があり、ひとつは米国内に大量にあるシェールガス(注2)の存在です。これまでシェールガスは、存在こそ確認されていたものの採掘が困難なため、有効活用されてきませんでした。しかし、水圧破砕法(注3)などの採掘技術が向上し、採掘量が飛躍的に増加。天然ガスの価格が下がり、石炭に取って代わる新たなエネルギー資源になりました。
もうひとつは、米国で進む再生可能エネルギーの導入が挙げられます。自然エネルギーを利用する風力発電や太陽光発電は、天候など自然環境の影響を受けるため不安定にならざるを得ません。それらを補完する存在として、安定的に稼働するGTCCに期待が寄せられています。
GTCCは米国において大きく発展する可能性を秘めています。そうなればGTCCの中核を担うガスタービンの市場も拡大するでしょう。
それをにらみ建設されたサバンナ工場では、日本国内のガスタービン主力製造拠点と同じ生産ラインを採用。すでに改善を重ねてきたラインを採用することで効率的に製造することができます。さらに万一、不具合が生じた場合にも日本からのサポート体制があることで迅速に対応でき、その生産能力は年間12基に達します。
これによりサバンナ工場では、ガスタービンや蒸気タービンの製造、メンテナンスなどのサービスまで幅広く対応できる体制を確立。今後はアメリカのガスタービン市場を拡大するための基幹拠点として、重要な役割を担っていきます。

  • 2シェールと呼ばれる硬い頁岩(けつがん)の地層の隙間に閉じ込められている天然ガス
  • 3石油やガスが存在する地層に化学物質を含む大量の水を高圧で流し込み、岩石を破砕して割れ目を作る。その割れ目に支持材を充填することで通り道をつくり、採掘する方法。

ガスタービン

タービン翼のあるローターなど、いくつもの機器を組み合わせて構成される。

ローター

リング状のパーツが積み重なって構成される回転部品。タービン翼が取り付けられる。

世界シェア30パーセント超を実現する日米二極の生産体制

三菱重工では、ガスタービンの世界シェア30パーセント超を目指し、2010年からグローバルな生産体制を推し進めてきました。その一環として建設してきたサバンナ工場でのローター加工ラインの完成により、ガスタービンの現地生産が実現し、日米二極の生産拠点体制が確立。これにより、三菱重工としてのガスタービンの生産能力は、日本の拠点と合わせて年間約50基に達する見込みです。 現在、三菱重工は17万キロワット以上の大型ガスタービンの市場において、世界3位のシェアを誇り、その割合は2010年に16パーセント、翌2011年には20パーセントと拡大傾向にあります。今回の日米での拠点確立による生産能力の拡大が、この流れをより推し進め、世界シェア30パーセント超を実現する大きな要因になるでしょう。 三菱重工は今後、これらの取り組みを土台として、拡大するアメリカ市場はもちろん、海底油田の開発でGTCC市場の発展が見込まれるブラジルなどの中南米地域、堅調な経済成長を続けているアジア地域など、全世界で受注活動に邁進いたします。

担当者の一言

Mitsubishi Power Systems Americas, Inc.
サバンナ工場 工場長
Sam Suttle

最先端の工場であり続けることが目標

2013年8月より稼働を始めたガスタービンのローター加工ラインは、全面的に稼働すると、大型ガスタービンや蒸気タービンの一貫した製造が行えるようになります。
このローター加工ラインを含む工場の製造設備には、最新鋭の高効率、高精度な工作機器を導入しましたが、これらは米国市場において高い評価を獲得する大きな要因となりました。さらに視察に訪れた顧客に、サバンナ工場が最先端の工場であることを理解してもらう決め手にもなります。
実際、ガスタービンを納入したドミニオン社からは初号機ということで当初は不安もあったが、製造作業に対する取り組みや品質は、日本の拠点と変わらない素晴らしいものだったとの評価をいただきました。それは全従業員が、顧客の期待にお応えすべく尽力した結果です。同時に工場で働くスタッフに大きな自信と達成感を与え、当社にとっても大きなマイルストーンになりました。
いよいよ全面稼働を開始するサバンナ工場。その目標は、優れた製造設備を備えた最先端の工場であり続けることです。私は工場長としてサバンナ工場を、アメリカのみならず世界でも最高の製造拠点とすることが重要な使命だと考えています。

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