

三菱重工グラフ(2015年7月発行)に掲載
世界に満ちる灯りを
火力発電開始までを一手に担うEPC事業
各国の発電インフラを支える
私たちの暮らしや経済活動を日々支えている電気エネルギー。水力や風力、太陽光などさまざまな発電方式の中でも、最も多く使われている火力発電は、世界の発電量のうち約68パーセントを担っています。三菱重工グループの三菱日立パワーシステムズ(以下、MHPS(注1))は、機器の設計(Engineering)から調達(Procurement)、発電所の建設(Construction)までを一貫して担う「火力発電EPC事業」を展開。お客さまの要望にお応えしながら長期間にわたりプロジェクトを進め、世界各国の発電インフラを支えています。
- 1三菱重工と日立製作所の火力発電システム事業を統合して2014年2月に誕生した三菱重工グループの事業会社です。
巨大プロジェクトを着実にゴールへ導く、豊富な実績に基づくマネジメント
近年、発電プラント市場では、機器単体ではなく発電設備全体を納めるEPC契約のニーズが高まっています。特に、発電インフラの整備が急務で、建設経験が少ない発電事業者には、納入後すぐに稼働できる「フルターンキー(注2)」での提供が求められています。そして、EPC事業の計画を着実に遂行するために、とりわけ重要となるのがプロジェクトマネジメントです。プロジェクトマネージャーが中心となり、お客さまの要望やパートナー企業を一手に取りまとめ、リスクを回避し、コストやスケジュールをコントロール。そこではプロジェクトを取りまく、刻々と変化する状況へ適切に対応する、きめ細かなマネジメントが求められます。MHPSではEPC事業の豊富な経験に基づく高度なプロジェクトマネジメントによって、着実にプロジェクトを遂行。その一方でICT(情報通信技術)を活用した情報の一元化などにより、プロジェクトのさらなる効率化を推進しています。また、MHPSでは発電設備の主要機器の製造部門を自社内に持つことで、発電所の運用ニーズに応じた機器の製造をスムーズに実施し、優れたプロジェクト運営を支えています。これらすべてが行えるのは世界でも数社に限られており、国内では他に類を見ないプロジェクト展開を実現しています。
- 2「鍵を回せばすぐに使える」という意味で、設計・建設・試運転に関わる一切を引き受け、完全に稼働可能な状態で引き渡しを行う契約方式。





安全に建設現場へ輸送するのも調達の業務です。コスト面も考慮しながら最適な輸送手段を検討し、計画どおりにお届けします。

世界中の人々へ、その国のニーズにお応えした発電設備をご提供
多様化する発電設備のニーズにお応えするために。MHPSは、幅広い製品ラインアップと高度なマネジメント力により、各国の燃料事情や電力需要に応じた最新鋭の発電所建設に貢献しています。たとえば中欧の国・ポーランドでは、石炭産出国のため電力の8割以上を石炭火力で賄っていますが、発電所の老朽化や厳しくなる環境規制への対応など、発電設備の更新期を迎えています。そのポーランドで進行中(注3)なのが、同国最大級の石炭火力発電所、コジェニッチェ火力発電所の蒸気タービンをはじめとした主要機器や、排煙脱硫装置などの環境装置を含めたEPC事業です。この発電所ですでに稼働していた排煙脱硫装置の安定性能が評価され、2012年、11号機の新設プロジェクトを受注。高性能な超々臨界圧発電(注4)設備に加え、石炭の燃焼時に発生するNOx(窒素酸化物)の排出量を80パーセント以上削減する排煙脱硝装置やSO2(二酸化硫黄)を取り除く排煙脱硫装置など、最先端のクリーンコールテクノロジーが導入されています。
MHPSでは幅広い製品群と、設計・調達・建設をカバーする高度なプロジェクトマネジメント力によって、国ごとに違う燃料事情や電力需要に応じた発電プラントをご提供。より効率的で環境に優しいエネルギーを世界中の人々に届け、その国の暮らしと経済発展を支えています。
- 32015年7月現在。
- 4ボイラー内部を大気圧の約250倍以上、蒸気温度を593℃以上にすることで高効率に発電する方式です。



石炭を貯蔵しておく発電所内の貯炭場。ここから発電設備までの運搬設備の据付もEPC事業の一環となります。
MHPSが納入した既設の排煙脱硫装置。安定した稼働実績が評価されて、新設11号機では蒸気タービンやボイラーなどの機器も手がけることとなりました。


排煙脱硫装置の内部。この施設で排気から酸性雨などへの影響が懸念される硫化物を取り除き、クリーンな水蒸気にして大気へ放出します。
現地で産出される低品位炭も効率よく燃焼させるタワーボイラー。このボイラーを手がけられるのはMHPSを含め世界で2社だけです。

人と地球の未来を見据えて、エネルギーの安定供給と環境問題の解決に貢献
新興国の経済成長に伴い電力への需要が拡大する一方で、発電時のCO2排出量など、環境問題への関心も高まっています。持続可能な社会を支える発電として再生可能エネルギーの開発とともに、石炭や天然ガスによる火力発電においても、燃料効率の向上や環境負荷の低減が求められています。
そのような中、2014年2月に三菱重工と日立製作所の火力発電システム事業を統合して、MHPSが誕生しました。火力発電システムに長く携わり、アジアや中南米で多数の実績を持つ三菱重工と、ヨーロッパやアフリカ、北米などで数々の事業展開をしてきた日立。両社は、マネジメント経験豊富な人材や、それぞれが技術を追求してきた高性能なガス・蒸気タービン、環境装置などの幅広い製品ラインアップを有しています。これら両社の強みを融合してEPC事業を拡充し、安定した発電インフラの整備を心待ちにする世界の国々へ着実に発電設備を提供。そして、変化する世界各地の発電ニーズにお応えしながら、エネルギーの安定供給と環境問題の解決に貢献し、持続可能な社会の発展を支えていきます。