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大宙(おおぞら)へ運ぶたしかな未来 大宙(おおぞら)へ運ぶたしかな未来

三菱重工グラフ(2014年12月発行)に掲載

技術力[ 陸・海・空、宇宙開発 ]

大宙(おおぞら)へ運ぶたしかな未来

―打上げ輸送サービス―

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ロケットのものづくり技術をもとに宇宙利用の発展をサポート

宇宙空間を利用した技術は、いまや日々の暮らしの中に息づいています。たとえば、気象や地球環境を観測するための衛星の他、ISS(国際宇宙ステーション)へ物資を届ける無人補給機HTV(注1)などが宇宙へ送られ活用されることで、私たちは多くの恩恵を受けています。その重要な輸送を担う三菱重工は、ロケットの製造から打上げまでトータルに手がける世界でも数少ない企業です。宇宙空間の指定された場所へ、決められた時間に、確実に届ける打上げ輸送の今をご案内いたします。

  • 1国際宇宙ステーションへ荷物を運ぶために日本が独自に開発した無人補給機。通称「こうのとり」。H-IIBロケットに搭載して打ち上げられます。
  • 上部写真:打ち上げられたH-IIA25号機。鹿児島県・種子島宇宙センター

製造から打上げまでを一貫して担い、円滑で安定した打上げサービスを実現

日本の宇宙開発の初期から40年以上にわたり、三菱重工はロケット製造の中心的役割を担ってきました。2007年、JAXA(宇宙航空研究開発機構)よりロケット打上げが民間に移管され、三菱重工はロケットの製造から打上げまでを一貫して担う世界でも数少ない「打上げ輸送サービス」を開始。製造責任を一元化し、効率的に運営することで日本の打上げ輸送の国際競争力を高める契機になりました。
このサービスはまず、JAXAや衛星事業などから依頼を受け、運ぶものに合わせてロケットを設計。製造工程では液体ロケットの要である第1段・第2段ロケットエンジンと燃料タンクなど、機体の大部分を三菱重工が担当しています。一つひとつ手作業で正確に製造し、過去の打上げ実績による膨大なデータと照らし合わせた厳しい試験と検証を何度も繰り返すことで、2007年の初打上げから現在まで成功を継続。ロケット打上げの業務を一手に担うことで、コストを抑えながらスムーズかつ確実に宇宙空間へ物資をお届けしています。

図:三菱重工打上げ輸送サービス
エンジンや燃料タンクなど主要部品の製造を担当
複数のロケットエンジンや燃料タンクが並ぶ工場内。艤装を担う飛島工場では、年間4~5機の生産能力があります。
HIIA
写真:第1段の燃料タンクとエンジンをつなぐ部分
第1段の燃料タンクとエンジンをつなぐ部分。何万箇所も手作業で穴をあけ、鋲を打つ作業が繰り返されます。
写真:エンジンの性能確認として田代試験場(秋田県)で燃焼試験が行われる。
第1段エンジン(LE-7A)
エンジンの性能確認として田代試験場(秋田県)で燃焼試験が行われます。エンジンから噴出される炎の温度は3,000℃にも達します。
写真:第1段の主エンジンである高性能エンジン「LE-7A」。
第1段の主エンジンである高性能エンジン「LE-7A」。試験を経て打上げの約1年半前には完成。工場内で機体へ取り付けられます。

決められた時間に、目的の場所へ、プロジェクト成功に向けてパートナー企業をリード

ロケットの機体は、工場から種子島宇宙センターの射場へと運ばれ、三菱重工主導のもと打上げまでの作業が行われます。ロケットはひとつの機体に組み上げられ、最終点検を行い発射点へと移動、カウントダウン準備作業へ。三菱重工は気象条件などを判断し、打上げを執行、ロケットの打上げから衛星の分離までデータを監視します。
このような膨大な工程と複数のパートナー企業において、三菱重工は大型プロジェクトを数多く担ってきた管理能力をもとにプロジェクトをまとめ上げ、成功へとリード。打上げ輸送サービス開始以降、天候の急変を除いて定刻打上げを継続しています。
「確実に」「決められた日時に」「決められた場所へ」、高い精度で荷物を送り続け、宇宙産業のライフラインとして活躍しています。

写真:専用の輸送コンテナに積み込まれて種子島へと到着したロケットのコンポーネント
専用の輸送コンテナに積み込まれて種子島へと到着したロケットのコンポーネント。組立棟にてはじめて垂直に立てられ、固体ロケットブースタなどが取り付けられます。
写真:ひとつになった技術と思いを載せ、ロケットは宇宙を目指す
組み立て後、ロケット専用運搬台車「ドーリー」で発射点まで慎重に運ばれるH-IIA23号機。気象などさまざまな条件をクリアしたうえで、多くの人が見守る中、発射の時を迎えます。

未来に応える新型ロケットの開発、
それは、開発の歴史の転換期

1994年、純国産の大型ロケットH-IIの打上げにより、日本のロケット開発は世界と肩を並べました。その後さまざまな改良を続け、今、日本のロケット開発は大きな転機を迎えようとしています。多様化する宇宙輸送のニーズに応えるためにH-IIAの高度化を推進し、さらに国内だけでなく世界の幅広い需要に応えるべく、2020年にはH-II以来約30年ぶりとなる新型ロケットH3の打上げを予定。多様なニーズにお応えし、コスト競争力のある新型ロケットの早期開発という重要なプロジェクトに取り組んでいます。これにより国際競争力を高め、海外の需要にもお応えしていきます。

H3までの歩み

1994 初の純国産ロケット H-IIの開発

100パーセント国産技術で開発された2段式ロケットで、第1段に水素を燃料とする高性能エンジンを搭載。計7機が打ち上げられました。 全長 約50メートル/打上げ能力(注2) 約4トン

  • 2静止遷移軌道への打上げ能力。(以下同じ)
2001 主力機のひとつ H-IIAの開発

H-IIの技術を引き継いだ日本の主力ロケット。2006年には打上げ能力を6トンまで向上。2007年の13号機から三菱重工が打上げ輸送サービスを実施しています。

図:全長約53メートル 打上げ能力(注)約4~6トン
2009 ISSへ大切な物資を届ける H-IIBの開発

HTVによりISSへ物資を運ぶためにH-IIAの能力を向上させたロケット。高い打上げ能力で幅広いニーズに対応できます。

写真:HTV「こうのとり」
HTV「こうのとり」
図:全長約57メートル 打上げ能力(注)約8トン
2015 衛星をよりやさしく運ぶ H-IIAの高度化

拡大する商業衛星市場に対応するためにH-IIAを改良。静止軌道により近い軌道への投入が可能になり、衛星の長寿命化に貢献。衛星の設計の幅も広がりました。
全長 約53メートル/打上げ能力(注2) 約4~6トン

2020(予定) 次世代の世界標準に対応するH3新型ロケット開発へ

性能向上とコスト競争力の強化を目指し、H3の開発を開始。新型ロケットの開発は約30年ぶりです。固体ロケットブースタの本数を変えることで多様なニーズにお応えできます。

図:全長約60メートル 打上げ能力(注)約2~6.5トン

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