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MRJ尾翼向けCFRP成形法(A-VaRTM)開発

製造

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由井 裕一

由井 裕一

総合研究所

2010年入社
地球惑星科学専攻 修了

技術紹介

MRJ尾翼の開発において、どのようなタスクを担っていますか?

MRJ尾翼の複合材(CFRP)成形プロセス開発です。

航空機設計は、(1)どのような形状に作るか(図面)、(2)何で作るか(材料)、(3)どうやって作るか(プロセス)の大きく3つの技術要素に分類され、私の所属するチームでは、主に(3)プロセスの開発を行っています。そして我々は、材料とプロセスの専門家として、通称M&P(Material & Process)と呼ばれています。

MRJ尾翼では、航空機構造部品としては新プロセスにチャレンジしており、そのプロセスを私の所属するチームで開発しました。多くの航空機用複合材(FRP)部品の成形は、炭素繊維にあらかじめ樹脂を含浸させたシート(プリプレグ)を、高温高圧下で焼き固めるオートクレイブ法により成形しますが、MRJプロジェクトでは、部品形状に積層した炭素繊維織物に真空圧を用いて樹脂を含浸させ、高温で焼き固めるVaRTM(Vacuum assisted Resin Transfer Molding)法と呼ばれるプロセスを尾翼部品に採用しています。
VaRTMは、高効率複合材成形法として、風力発電用風車等の製造に適用されることが多いのですが、我々は、航空機構造部品グレードの品質を実現できるプロセスを目標とし、MRJ尾翼部品の製造に適用可能なA-VaRTM(Advanced VaRTM)の開発に貢献してきました。

プロセス開発にあたり、どのような試験をしていますか?

部門間を越えた協力体制で実大サイズの試験をしています。

試験室で複合材パネルを製作し実施するクーポンレベルの試験から、実大サイズの供試体を用いる試験まで、様々な試験を実施しています。

試験室では、プロセス開発の初期において、複合材の成形条件を定めるために、材料の物理特性や化学特性の取得、成形品質確認や強度データの取得を行っています。

実大サイズの供試体を用いる試験では、製品と同じサイズ・形状・設備・環境・プロセス条件で供試体を製作し、あらゆる断面を割断することで、内部品質の健全性の最終確認を行っています。この試験は、安全な飛行機を提供するための非常に重要な試験であり、設計部門、工作部門、品証部門、そして研究部門が一丸となって取り組む試験ですが、複合材の内部品質は、製造プロセスに大きく依存するため、プロセス開発部門である研究部門の力が大いに期待される試験となります。そして、この試験を突破することで、初めて、尾翼部品の製造を開始することができます。

CG:MRJ
写真:試験室

プロセス開発試験において、重要なことは何ですか?

自らの手で材料を触り、理解することです。

自分自身で材料を触り、物を作ることで、材料の取り扱い性や硬さなど、感覚的にその材料の特性を理解することは重要であり、プロセス開発をする上で、強力な力となります。

自らの手で複合材パネルを成形し、成功と失敗を繰り返すことです。

自分自身で複合材パネルを成形し、試験をしていると、想定していなかった問題にぶつかり、思わぬところで失敗することがあります。試験を失敗したこと自体は反省すべきですが、失敗の原因究明や対策に尽力した経験は、M&Pとして何事にも変えがたい経験として蓄積されると確信しています。
そして、失敗を乗り越え、目標とするプロセスを設定できたときの達成感は、ひとしおです。

写真:研究所で仕事をしている様子

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