総合研究所
2007年入社 |
航空宇宙工学専攻 修了 |
ガスタービンとは主に火力発電所で利用されている発電用エンジンです。高温・高圧のガスでタービン(羽根車)を回転させ、この動力で発電機を回して発電しています。
ガスタービンは効率向上のために高温化・高圧力比化が進められており、これに伴ってタービンの空力負荷は増大しています。従って、従来の技術レベルで設計していたのでは、タービンの空力性能や信頼性が低下してしまう可能性があります。このため、従来よりも高負荷な条件でタービンの性能・信頼性を向上させる空力技術が必要とされており、CFD(Computaional Fluid Dynamics:数値流体力学)を駆使した技術開発や試験での検証に取り組んでいます。
CFD解析によりタービン内部の流れをシミュレーションして損失・損傷の発生源とメカニズムを分析し、タービンの性能向上・信頼性向上のための改良技術を検討しています。解析技術の進歩と共に、より精緻に実機をモデル化した大規模解析や非定常解析の利用頻度が増えており、それまで評価の難しかった細部にまで検討範囲が拡大しています。
複雑で非定常なタービン内部流れをCFD解析で精度良く予測するには技術的に困難な課題も残っており、必要に応じて試験を実施し、CFDの予測精度を検証したり、考案した空力技術を検証したりしています。
回転するタービン動翼は、上流に配置されている静翼によって周期的な圧力に曝されており、時として、過大な振動応力が発生して損傷に至る場合があります。このような問題を回避するため、CFD解析を用いてタービン内部の非定常流れを事前に予測し、振動応力評価・安全設計に活用しています。
前述のように、タービン内部の非定常な流れをCFD解析で精度良く予測するには技術的に課題の残る面もあり、タービン試験によりCFD予測精度の検証・改良にも取り組み、タービンの更なる信頼性向上を図っています。