2021年度の種子島アカウミガメ保全調査を実施
産卵目的の回帰周期などをデータ化し、生態の解明につなげる

◆ 8日間で26頭の親ガメと接触し計20回の産卵を確認、2015年から通算177頭を識別調査
◆ 新たにドローンを活用、砂浜の状況や産卵位置を上空から把握することにより調査を効率化

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産卵のための穴を掘るアカウミガメ

三菱重工グループは、2015年度からNPO法人アースウォッチ・ジャパン(東京都文京区)を通じ、鹿児島県種子島におけるアカウミガメ保全調査(注1)を支援しています。本調査は、絶滅が危惧されるアカウミガメが過去に産卵を目的に種子島へ来たことがあるかといった回帰性のほか、体の大きさや産卵成功率などを明らかにすることで、個体の保全や産卵地の環境健全化をはかることを目的に毎年実施しています。

新型コロナウイルスの感染拡大前は、毎年、数10名の社内・社外ボランティアが参加していましたが、本年度は研究者および現地NPO法人Turtle Crewのスタッフ計6名のみで調査を行いました。島内の長浜海岸北部3エリアを調査対象とし、6月下旬の8日間にわたる夜間調査(注2)で26頭の親ガメと遭遇、計20回の産卵を確認しました。この結果、以前にも増して、産卵のため上陸する個体数が減少していることがわかりました。また、体の大きさから、普段は太平洋でプランクトンを食べて回遊する体長80cm以下のメス個体が減っており、東シナ海を中心とした大陸棚で、海底近くに生息するエビなどの栄養価の高い底生生物を食べている大型個体の割合が多くなっているという実態が明らかになりました。 識別調査した個体数は2015年からの通算で177頭に上り、アカウミガメの生態に関する有益なデータとして活用されています。

また、今年度の調査から新たにドローンを導入。調査前の砂浜の状況を上空から事前に把握するとともに、機器のGPS機能を活用して産卵位置を把握し、夜間に実施する現地調査との整合性を取るのに役立てました。来年度以降、砂浜に加えて海上も撮影し、夜の産卵を控えて海面近くで待機するカメを視認することも検討しています。

プロジェクトの主任研究者である日本ウミガメ協議会の松沢 慶将会長は「今年は天候に恵まれ、少ない人員でも効果的に調査を行うことができた。ただ、国内の他の地域も含めて産卵個体数は減少し続けており、早急に原因を究明する必要がある。新型コロナウイルスの影響で調査を中断している浜もあるため、来年はボランティアの力を借りた例年規模の調査を再開して有意義なデータを取得し、アカウミガメの生態解明につなげたい」と話しています。

三菱重工グループは、これからも地球環境および生物多様性の保全活動に継続して取り組み、持続可能な社会の実現に貢献していきます。

  • 1三菱重工グループが支援する「種子島のアカウミガメ保全調査」について、詳しくは以下のURLをご参照ください。
  • 2アカウミガメは夜間に砂浜へ上陸して産卵するため、これに合わせて調査を行います。本年度は午後9時~翌午前2時にかけて、産卵確認のほか、個体識別用標識の装着や甲羅の計測作業を実施しました。

【関連リンク】

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夜間調査前に打合せを行う研究者とTurtle Crewスタッフ

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産卵中のアカウミガメ

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産卵後、速やかに海へ向かう

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ドローンを操作するTurtle Crewスタッフ

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ドローンで上空からウミガメの足跡を調査(矢印)

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産卵があった場所に目印をつけておく