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南フランス・核融合実験炉イーター向けダイバータ外側垂直ターゲット20基を新たに受注

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◆ ダイバータ全58基のうち、製作中の18基に続き、新たに20基を連続受注
◆ イーター向け主要機器の製作・納入を通じて、核融合開発の着実な推進に貢献

ITERトカマク本体、ダイバータ、外側垂直ターゲット

三菱重工業はこのほど、南フランスで建設中の核融合実験炉イーター(以下、ITER)(注1、2)に用いられる、ダイバータの重要な構成要素である「外側垂直ターゲット」20基の製作を、国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構(量研)から受注しました。

ITERではダイバータが58基設置される計画で、その外側垂直ターゲットは全58基を日本が製作することになっています。外側垂直ターゲット全58基のうち、これまでに初回製作分6基(初号機~6号機)、第2回製作分12基(7号機~18号機)を当社が受注しています。今回新たに第3回製作分20基の受注が決定し、発注済みの38基全ての製作を当社が担うことになりました。

2024年に完成したプロトタイプ製作、および現在進めている実機製作を通じて培った当社の高難度製品の製作技術・量産化技術が評価された結果であり、残る20基の製作も見据えながら、今後もITERプロジェクトの実現に向け、取り組んでいきます。

写真 外側垂直ターゲット プロトタイプ

ダイバータは、トカマク型装置を採用する核融合炉の最重要機器の一つです。プラズマを安定的に閉じ込めるために、核融合反応で生成される炉心プラズマ中のヘリウム(He)などの燃え残った燃料や不純物を排出する役割を担います。

ダイバータの熱負荷は、最大で20MW/m²に達します。これは、小惑星探査機が大気圏突入の際に受ける表面熱負荷に匹敵し、スペースシャトルが受ける表面熱負荷の約30倍に当たります。構造上、プラズマに直面する外側垂直ターゲットは、プラズマからの熱負荷や粒子負荷などに晒される厳しい環境で使用されることから、その構造体は非常に複雑な形状で、高精度の製作・加工技術が要求されます。

三菱重工は、ITER向けの主要機器であるトロイダル磁場コイル(TFコイル)について、全19基中5基の製作を受注し、2023年までに全基を出荷済み(注3)であり、後続のダイバータや水平ランチャー(注4)といった主要機器の製作にも継続して取り組んでいきます。また、ITER計画に続き建設が計画されている核融合原型炉についても、設計および開発を積極的に支援することで、核融合エネルギーの実現に貢献していきます。

  • 1核融合は太陽が輝き続けられるエネルギー源であり、地上での核融合の実現を目指して、重水素や三重水素などの軽い原子核がプラズマ状態で融合し、ヘリウムなどのより重い原子核になる核融合反応を利用します。燃料となる重水素、三重水素の原料であるリチウム資源は海水中に無尽蔵にあり、核融合エネルギーはCO2を発生しません。そのため、エネルギーおよび環境問題を根本的に解決すると期待されています。
  • 2ITER計画は、核融合エネルギーの実現に向け、科学的・技術的な実証を行うことを目的とした大型国際プロジェクトです。日本・欧州・米国・ロシア・韓国・中国・インドの7極が参加しており、2035年の核融合燃焼による本格運転開始を目標に、ITERの建設をフランスのサン・ポール・レ・デュランス市で進めています。日本はダイバータやTFコイルをはじめ、ITERにおける主要機器の開発・製作などの重要な役割を担っており、量研がITER計画の日本国内機関として機器などの調達活動を推進しています。
  • 3当社が量研から受注したITER向けTFコイルについて、詳しくは以下のプレスリリースをご覧ください。
    https://www.mhi.com/jp/news/210524.html
  • 4高周波を入射してプラズマを加熱する機器です。

Tags: 核融合
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