Press Information

アルセロール・ミタルのゲント製鉄所における高炉ガスからのCO₂回収実証試験が完了
鉄鋼業界の脱炭素化への取り組みを促進

ArcelorMittal
BHP
Mitsubishi Development Pty Ltd
三菱重工業株式会社
Print
アルセロール・ミタルのゲント製鉄所

アルセロール・ミタルのゲント製鉄所

アルセロール・ミタル(ArcelorMittal)と三菱重工業株式会社(以下、三菱重工)、BHP、Mitsubishi Development Pty Ltd(MDP)は、アルセロール・ミタルがベルギーのゲントに保有する製鉄所において、高炉ガスからCO2を回収する実証試験を完了しました。三菱重工が関西電力株式会社と共同開発したCO2回収技術「Advanced KM CDR Process™」を適用した、実証試験の第1フェーズとなります。

本実証試験において、CO2回収率90%以上を達成するとともに、ゲント製鉄所の高炉ガスへのCO2回収技術の適用について、商用規模への展開を見据えた設備の設計や導入評価に資する運転・設計データを取得しました。実証試験の結果に基づく技術評価では、本技術を燃焼前の高炉ガスに商用規模で適用した場合、ゲント製鉄所におけるCO2排出原単位を最大24%削減(注1)できる可能性が示されました。また、本技術を製鉄所内の複数の排出源に適用することで、CO2排出原単位を実質ゼロへと近づけることができます(注2)。

実証試験の第2フェーズでは、圧延再加熱炉から発生する燃焼後ガスを対象としたCO2回収技術の試験を含め、製鉄プロセスにおける複数の排出源へのCO2回収技術の適用拡大を目指します。
圧延再加熱炉は副生ガスなどを燃料として使用し、鋼片(厚い板状の鋼材)を薄板へ圧延するために必要な温度まで加熱する設備です。

第1フェーズ:高炉ガスからのCO2回収実証試験
第1フェーズでは、高炉ガスに含まれるCO2回収に焦点を当て、累計4,500時間を超える運転試験を実施しました。
今回の高炉ガス試験では、副生ガスである未燃焼のプロセスガス中に含まれる粉じん、硫黄化合物やその他の不純物が存在するアルセロール・ミタル ゲント製鉄所の厳しい環境下においても、三菱重工のCO2回収技術が適用可能であることを実証しました。これにより、本技術の鉄鋼業界への適用に対する期待がさらに高まりました。
高炉ガスには、CO2に加え、CO(一酸化炭素)も高濃度で含まれます。本実証試験の対象であるCO2回収が行われた後の高炉ガスに残存するCOは、製鉄所内の別の設備において発電や熱供給のためのエネルギー源として利用され、その燃焼により最終的にCO2として排出されます。

第2フェーズ:圧延再加熱炉からの排ガスを対象とした試験へ移行
本実証試験は段階的なアプローチに基づいて進められており、製鉄所内の他の排出源についてもCO2回収技術の適用可能性を評価します。第1フェーズで得られた成果を踏まえ、第2フェーズでは圧延再加熱炉から排出される燃焼後ガスを対象としたCO2回収実証試験を行います。
圧延再加熱炉は、コークス炉ガス、高炉ガス、転炉ガスなどの製鉄プロセス由来の副生ガスと天然ガスを燃料としており、製鉄所における主要なCO2排出源の一つです。
第2フェーズでは、より変動の大きい排ガス組成条件下で三菱重工のCO2回収技術の性能を評価します。

製鉄所内の複数のプロセスにCO2回収技術を適用することで、高炉法による製鉄プロセスにおけるCO2排出量を実質ゼロへと近づけることができます。本試験の成果は、将来の商用規模への導入に向けた技術評価および導入評価に活用されます。
第1フェーズと同様に、アルセロール・ミタルと三菱重工は、製鉄プラントへのCO2回収技術適用の有効性を実証し、実装に向けての最適化設計を検討します。また、BHPとMDPはアルセロール・ミタルの欧州事業向けに高品質な製鉄原料を供給する主要サプライヤーとして、本実証試験に資金を提供します。

アルセロール・ミタル ベルギーのCEOであるFrederik Van De Veldeは、以下のように述べています。
「我々はパートナー企業とともに、CO2回収技術を既存の製鉄所へどのように導入できるかについて理解を深めることを目指してきました。この重要なCO2回収実証試験の第1フェーズがゲント製鉄所で成功裏に完了したことを大変嬉しく思います。脱炭素化に必要な技術を大規模に展開することは、我々の取り組みにおける次の重要なステップです。今回の高炉ガス試験は、その実現に向けた重要なデータを提供してくれました。本実証試験の成功に貢献いただいたパートナー各社およびアルセロール・ミタルの関係者の皆さまに感謝するとともに、圧延再加熱炉におけるCO2回収技術適用の成果を期待しています。」

三菱重工のプラント・インフラドメインCCUS事業責任者である長安 立人(ながやす・たつと)は、以下のように述べています。
「4,500時間を超える運転実績を達成し、高炉ガスから90%超のCO2回収の実現可能性を評価できたことは、鉄鋼業界における当社のCO2回収技術の適用に向けた重要な節目となります。今回の実証では、高炉ガスに粉じんや硫黄化合物やその他の不純物が含まれる厳しい条件下においても、Advanced KM CDR Process™が適用可能であることを示すとともに、商用規模の設備の設計に必要なデータを取得することができました。圧延再加熱炉を対象とした次のフェーズを通じて、製鉄所における複数の排出源へのCO2回収技術の適用に関する理解をさらに深めていきます。本実証試験は、当社が培ってきたCO2回収に関する技術・知見が、世界でも特に難易度の高い産業分野の脱炭素化に貢献できることを示すものです。」

BHPのマーケティング・サステナビリティ担当副社長であるDr. Ben Ellisは、以下のように述べています。
「今回の試験結果は非常に有望であり、高炉および一貫製鉄プロセスにおける排出削減ポテンシャルを示すものです。本パートナーシップを通じて、私たちは短期的に着実な排出削減を実現し得る手段、そして長期的には高炉製鉄におけるニアゼロ排出を実現するための有力な選択肢となり得るアプローチを検証しました。
現在、世界の鉄鋼生産の約70%は高炉製鉄によるものであり、今後数十年にわたり主要な製鉄プロセスであり続けると見込まれています。そのため、代替となる製鉄技術の開発を進める一方で、高炉プロセスからの排出削減にも取り組むことが極めて重要です。」

MDPのCEOである水野 禎(みずの・ただし)は、以下のように述べています。
「第1フェーズの試験で得られた結果を受け、高炉ガスへのCO2回収技術の適用が鉄鋼業界のCO2排出削減に向けた有効な選択肢となり得るという確信が深まりました。エネルギー効率改善や高品位原料の活用は、今後も短中期的な排出削減に重要な役割を果たし続けますが、CCUS(CO2回収・利用・貯留)のような技術は、鉄鋼業界の長期的な脱炭素化に大きく貢献する可能性を有しています。」

  • 1原料採掘から製品出荷までのライフサイクルにおけるCO2排出削減効果は、世界鉄鋼協会(World Steel Association)のLife Cycle Inventory(LCI)手法に準拠し、熱延鋼材製品について、ライフサイクルを対象に算定しています。これらの数値は、高炉ガスに含まれる炭素分のおよそ半分を構成するCO2の回収を前提としています。残りの炭素分(CO:一酸化炭素)は、製鉄所内において発電および熱供給のために当該ガスが燃焼される際に、CO2として排出されます。
  • 2国際エネルギー機関(International Energy Agency)が定義し、Responsible Steel International Standard V2.0で採用されている基準では、鉄鉱石100%由来(スクラップ不使用)の粗鋼生産における「ニアゼロ」の閾値(Performance Level 4)は、粗鋼1トン当たりCO2換算排出量0.40トンとされています。
ゲント製鉄所の実証試験用CO2回収装置

ゲント製鉄所の実証試験用CO2回収装置

ArcelorMittalについて
アルセロール・ミタルは、世界60カ国に拠点を置き、14カ国に製鉄事業を展開する世界有数の鉄鋼・鉱業会社です。欧州・米州最大の製鉄事業者であり、合弁会社のAM/NS Indiaを通じてアジアでのプレゼンスも高めています。アルセロール・ミタルは、自動車、エンジニアリング、建設、機械業界を含む多様な顧客に製品を供給しており、2025年の売上高は614億ドル、粗鋼生産量は5,560万トン、鉄鉱石生産量は4,880万トンに達しました。アルセロール・ミタルの目的は、人と地球に有益な、よりスマートな鉄鋼を生産することです。エネルギー使用量の少ない革新的なプロセスで作られた鉄は、CO2排出量が大幅に少なく、コストを削減できます。よりクリーンで強く、再利用可能な鉄。今世紀の社会変革を支える再生可能エネルギーインフラ向けの鉄。私たちは、鉄を中核とし、独創的な人々と起業家文化を心に持ち、世界がその変化を起こすことを支援します。アルセロール・ミタルはニューヨーク(MT)、アムステルダム(MT)、パリ(MT)、ルクセンブルク(MT)の各証券取引所とバルセロナ、ビルバオ、マドリード、バレンシアの各スペイン証券取引所(MTS)に上場しています。

詳細は以下をご覧ください。
www.arcelormittal.com

BHPについて
BHPは世界有数の資源企業です。8万人を超える従業員および契約社員を擁し、世界90カ所以上で製品を販売しています。BHPは、世界の成長と脱炭素化に不可欠な資源の供給に注力しています。人口増加、都市化、生活水準の向上は、当社が生産する資源に対する力強い需要を支える世界的な潮流です。また、世界的なデジタル化と脱炭素化の進展に伴い、こうした重要資源に対する需要は今後さらに増加すると見込まれています。BHPは、開発プロジェクトのパイプラインと既存事業における継続的な改善への取り組みにより、今後数十年にわたり、銅、カリウム、鉄鉱石および製鉄用原料炭の4つの中核資源分野で成長を実現できる体制を整えています。
気候変動への取り組みの詳細は以下をご覧ください。
www.bhp.com/climate

MDPについて
Mitsubishi Development Pty Ltdは、金属資源事業への参画を通じて約60年にわたり世界の産業の発展に貢献してきました。MDPは、グローバルネットワークを通じて幅広い産業分野で事業を開発・運営する三菱商事株式会社の100%子会社です。
詳細は以下をご覧ください。
www.mdp.com.au

三菱重工グループについて
三菱重工グループは、エンジニアリングとものづくりのグローバルリーダーとして、1884年の創立以来、社会課題に真摯に向き合い、人々の暮らしを支えてきました。長い歴史の中で培われた高い技術力に最先端の知見を取り入れ、社会課題の解決に取り組み、安心で豊かな暮らしの実現に貢献していきます。
詳細は、三菱重工グループのウェブサイト(www.mhi.com/jp)をご覧ください。


Tags: エナジー・環境,サステナビリティ

三菱重工グループについて

三菱重工グループは、エンジニアリングとものづくりのグローバルリーダーとして、 1884年の創立以来、 社会課題に真摯に向き合い、人々の暮らしを支えてきました。
長い歴史の中で培われた高い技術力に最先端の知見を取り入れ、カーボンニュートラル社会の実現 に向けたエナジートランジション、 社会インフラのスマート化、サイバー・セキュリティ分野 の発展に取り組み、 人々の豊かな暮らしを実現します。

詳しくは: