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中国から高炉ガス焚き中小型M100S形ガスタービンの初号機を受注
江蘇沙鋼集団の江蘇利淮鋼鉄(淮鋼)向け

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◆ 10万kW級高効率GTCC発電設備で製鉄所の省エネ・低炭素化に貢献
◆ ボイラー蒸気タービン発電設備(BTG)に代わる新たな選択肢へ

契約調印式の様子

契約調印式の様子

三菱重工業は、中国の大手製鉄企業グループである江蘇沙鋼集団有限公司の傘下にある江蘇利淮鋼鉄有限公司(略称:淮鋼)向けに、新開発の高炉ガス焚き中小型M100S形ガスタービンを中核とする10万kW級のガスタービン・コンバインドサイクル(GTCC)発電設備を、当社の現地法人を通じて受注しました。M100S形は、中国製鉄業界で活発化する省エネルギー化および低・脱炭素化の動きに対応して、同業界で普及している従来の小型ボイラー蒸気タービン発電設備(BTG)を代替する製鉄所副生ガス焚き発電設備用に、当社最先端の大型ガスタービン技術を結集して開発してきたもの。今回が初受注となります。淮鋼向け初号機の受注を弾みとして、中国製鉄業界における老巧化した小型BTGの置換需要に先行して応えることを目指します。

M100S形ガスタービンは、豊富な運用実績のある高炉ガス焚きの大型ガスタービン技術と高い性能および信頼性を誇る最新鋭の天然ガス焚きJAC形ガスタービン技術を組み合わせて開発されました。コンバインドサイクル出力が10万kW級の発電設備であり、従来製品に比べ小型化と高効率化の両立を実現したものです。高炉に加えコークス炉や転炉といった製鉄所設備から副生する多様なガスの混焼に対応、ガス量の変動に応じた柔軟な運転や製鉄所内の負荷変動への迅速な対応が可能です。高炉ガス焚きGTCCは、製鉄所副生ガスの効率的な活用により、環境負荷を低減して大気規制に対応するだけでなく、エネルギーの有効利用にも大きく貢献します。

淮鋼の製鉄所は、江蘇省淮安市に位置し、GTCC発電設備は2027年の運転開始を予定しています。淮鋼からは、南京市に本拠を置く当社法人の三菱動力燃汽輪機工程技術(南京)有限公司が受注。M100S形ガスタービン本体および関連機器は当社高砂製作所(兵庫県高砂市)で製作・供給し、その他機器は東方タービン(東方汽輪機有限公司)など当社のライセンス供与先である東方電気集団のグループ企業を含めた中国現地で調達します。燃料には、高炉、コークス炉、および転炉からの副生ガスを使用。据え付けや試運転では、現地に指導員を派遣します。

中国の製鉄業界では、省エネおよび低・脱炭素化の流れに対応して、発電容量が小さく低効率の既設BTGから、高効率機への置換需要が拡大。本需要の主流は出力10万kW級の機種です。従来、この出力領域における高炉ガスの発電利用はBTGに限られていたため、中国では非常に多くのBTGが稼働中です。今回、当社が従来の小型BTGより高効率なM100S形を投入したことは、製鉄業界の高炉ガスを有効活用する本発電市場における画期的な取り組みといえます。

淮鋼の親会社である江蘇沙鋼集団は、中国東部の江蘇省を拠点とする、世界有数の鉄鋼メーカーです。江蘇沙鋼集団は、すでに当社製のガスタービンを5台採用しており、これまでに納入した当社の機器が高く評価されたことも、M100S形ガスタービンの受注に至った一因といえます。

高炉ガスは天然ガスなどに比べてカロリーが低く、ガスタービンの安定燃焼には高度な技術が必要です。当社グループの高炉ガス焚きガスタービンの世界シェアは6割を超えています。既存のラインアップに加え、今回M100S形を新規投入したのを機に、この分野における先駆者としての存在感をさらに高めることが可能です。

三菱重工グループは、今後もこの分野で先駆的な役割を果たすため、エネルギーの有効利用と環境負荷の低減に貢献する高炉ガス焚きGTCC発電設備の提案によるソリューション活動を積極的に展開していきます。


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三菱重工グループについて

三菱重工グループは、エンジニアリングとものづくりのグローバルリーダーとして、 1884年の創立以来、 社会課題に真摯に向き合い、人々の暮らしを支えてきました。
長い歴史の中で培われた高い技術力に最先端の知見を取り入れ、カーボンニュートラル社会の実現 に向けたエナジートランジション、 社会インフラのスマート化、サイバー・セキュリティ分野 の発展に取り組み、 人々の豊かな暮らしを実現します。

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