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インドに超臨界圧ボイラーの製造・販売会社を設立
建設・エンジニアリング大手、L&Tと合弁で

発行 第 4572号
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 三菱重工業は、インドの建設最大手であるラーセン・アンド・トウブロ(Larsen & Toubro Limited:L&T)と合弁で、火力発電所向け超臨界圧ボイラー※の製造・販売会社「L&T MHIボイラー(L&T MHI Boilers Private Limited)」を設立することで合意し、契約を締結した。経済成長に伴い急拡大を続ける同国の電力需要に対応するもので、新会社は2007年4月に設立、2008年後半から生産を開始する予定。

 合弁新社、L&T MHIボイラーは、本社を首都ニューデリー(予定)に構え、超臨界圧ボイラーの製作・据付けから販売・アフターサービスまでを手掛ける。生産の拠点となる工場も現在、建設サイトを検討中で、3年後約500億円、5年後約800億円の売上げを見込む。そのため、当社は、石炭焚き超臨界圧火力発電設備50万~100万kWの出力レンジをカバーする超臨界圧ボイラーの設計・製造技術をL&T経由で供与する。
 新会社の資本金は約6,800万ドル(約78億円)で、出資比率は当社49%、L&T51%。従業員数は当面約50人体制でスタートするが、生産が軌道に乗った段階で1,250人規模に増員する。

 L&Tは、西海岸の国際都市ムンバイに本社を構え、手広く建設事業を展開するだけでなく、化学プラント機器や圧力容器の製造なども手掛ける総合重機メーカーでもある。資本金は約82億円で年間売上高約3,700億円(2006年度)。従業員数は約2万4,000人。同社は事業拡大のため、大型火力発電設備事業へも乗り出す意向で、当社は昨年10月、同社へ超臨界圧ボイラー技術を供与する契約を締結している。
 今回の合弁新社設立は、成長著しいインド市場への足掛かりが欲しい当社と、最新技術を保有する協業先を必要としていたL&Tの思いが一致したことによる。

 1990年代を通じ平均6%の経済成長を維持していたインドは近年、その勢いをさらに加速、2005年実績で9%、今後は10%前後の成長を続けることを目指している。しかし、その一方で、電力の需給ギャップは一段と深刻となり、今後10年間に1億4,000万kW規模の大型石炭火力発電設備の新設が計画されている。それに伴い、超臨界圧火力発電所建設プロジェクトが目白押しの状態となっている。

 超臨界圧火力発電は、高温・高圧の蒸気を用いることで、従来の亜臨界圧火力発電に比べ、出力当たりの石炭消費量を抑えて、高いエネルギー効率を実現する。また、CO2を2.5%以上減少させるなど環境負荷低減にも貢献する。しかし、そのため、耐熱・耐圧のための機械設計や、高強度材料の機械加工が難しいなど、高い技術が要求されるが、当社は国内外に約70基の設備を納入するなど、この分野で豊富な実績を持っている。

※超臨界圧= 火力発電システムは石炭や天然ガスの化石燃料を燃焼させ、そのエネルギーを動力に変換して電気を生み出すが、システム内の媒体である水・蒸気を高温・高圧化することによって高効率での変換が可能となり、化石燃料の消費量が減るため環境負荷が軽減する。水は通常(大気圧=1気圧)100℃で沸騰するが、圧力を高めて22.12MPa(大気圧の約220倍)、374℃に至ると、沸騰せずに蒸気に連続して変化するようになる。これを臨界点と呼び、それよりも圧力が高い状態を超臨界圧という。具体的には、ボイラー出口にて約25MPa(大気圧の約250倍)で約600℃の温度まで高めた状態で運転する。



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