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原子力災害対応のパワーアシストスーツ(PAS)を開発
日本原子力発電株式会社と共同で

発行 第 5706号
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 三菱重工業は、日本原子力発電株式会社と共同で、原子力災害時などで作業員の力を補助するパワーアシストスーツ(PAS)を開発しました。このPASを装着することで、約40kg分の重さを補助できることが特徴で、ロボットのパワーと人間の能力の両方を相乗的に活かした多様な作業を可能にします。

 なお、三菱重工と日本原電は、PASの開発にあたり、アクティブリンク株式会社(本社: 奈良県奈良市)とも、作業支援機器に関する可能性調査などにおいて協調しています。

パワーアシストスーツ
 原子力災害時には放射線環境下での作業となるため、遠隔ロボットの活用が期待されています。しかし、現実には、ロボット操作開始までの準備作業や、緊急時の迅速かつ柔軟な対応のために、人間による重作業を必要とする状況が発生しかねません。
今回のPASは、そのような状況での作業員の負担軽減を目的に開発し、被ばく低減効果の高い重遮へいスーツを装着しての作業や、遠隔ロボットや非常用電源などの運搬といった重作業を可能としました。

 このPASは、ベースとなる下半身パーツと目的に応じた上半身パーツを組み合わせることで、多様な作業に対応可能です。また、一般に用いられている筋電位などの生体情報を用いたPASに比べ、足裏の力センサ信号を利用したPASの制御および腰部と足部のみで人間とPASを固定する構造を採用することで、重労働でも汗の影響を受けない信頼性と容易な着脱を実現しました。

 このPASは原子力向けロボットに用いる小型・高出力のモータと自社開発による小型基板の採用により、アシスト力と軽量・小型化を両立させました。足裏の力センサは、数・配置を最適化することで、作業員の動作を適切に読み取り、その動作を妨げない優れたアシスト制御を実現しました。

 当社はこのPASのさらなる性能向上をはかるととともに、原子力分野のみならず、原子力分野以外の広範な分野にもこのPASを用いたソリューションを提案していく方針です。
 なお、このPASは12月2日(水)~5日(土)に東京都で開催される「2015国際ロボット展」に出品・展示します。

パワーアシストスーツ(PAS)の主要仕様

外形寸法・質量

全長:399 mm、幅:618 mm、全高:1,498.5 mm 、質量:39.0 kg

アシスト力

装置自重以外に400 N(約40kgf

動力

リチウムイオンバッテリ 連続稼働時間2時間

歩行速度

4.5km/h(無負荷時)、3.0km/h(最大負荷時)


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