Press Information

ブルガリアでの風力発電事業が操業を開始
日本の排出権獲得にも貢献

発行 第 4728号
Print

 三菱重工業は、ブルガリアで風力発電設備を活用した売電事業を開始した。現地の建設会社であるイノス社(inos)と共同で事業運営会社、カリアクラ・ウィンドパワー社(Kaliakra Wind Power AD、略称:KWP)を設立、同国初となるウインドファームを建設して営業運転入りしたもので、電力はすべて同国の国営電力会社(NEK)に販売される。同事業は、日本・ブルガリア両国の温暖化削減共同実施(JI)案件※として進められる計画で、ブルガリアにおける再生可能エネルギーの利用促進と、わが国の排出権獲得に貢献することとなる。

 KWP社が運営するウインドファームは、黒海沿岸のカリアクラ岬に建設された。総発電量は3万5,000kWで、当社長崎造船所および横浜製作所が製作・供給した定格出力1,000kWの風力発電設備(MWT-1000A)35基により構成される。
 当社は、土建・据付工事を担当した出資パートナーであるイノス社と、当社の欧州原動機会社であるMitsubishi Power Systems Europe, Ltd.(MPSE、英国)とともに建設を取りまとめ、操業にも当たっている。

 KWP社は、2005年末に当社70%、イノス社30%の出資で設立した資本金約17億円の合弁企業で、当社の出資と劣後融資は、当社100%出資のオランダ投資会社、MHI Investment International BVを通して行われた。日本企業によるブルガリア発電事業への投資は今回が初めて。
 ブルガリアは2007年1月の欧州連合(EU)加盟を受け、2010年までに総電力消費量の11%を再生可能エネルギーで賄うことを目指している。今回の投資は、同国のEU加盟決定以前から、国際協力銀行(JBIC)の協力を得て進められたもので、同国の再生可能エネルギー投資促進のための環境整備に一役買う結果となっている。
 また、ファイナンスは、同国に対するJBICとみずほコーポレート銀行による初のプロジェクトファイナンスの協調融資(総額約3,700万ユーロ)を利用した。

 今回の風力発電事業が、既存の電力を代替することで削減できるCO2削減量は、年間約8万5,000トン。それに伴う排出権は35万トンまでを、JBICなどが主導して設立した日本カーボンファイナンス(JCF)へ売却し、それを超える部分は当社が購入することが決まっている。

 今回のプロジェクトは、海外発電事業への当社投資案件としては、スペインの売電(IPP)事業会社であるAESカルタヘナ発電会社への投資(2003年契約、2006年営業開始)に次いで2件目。
 当社はこの実績と経験を足掛かりとして、風力発電設備の欧州地域での営業を一層活発化するとともに、自社製機器を利用した発電事業への参画拡大や、排出権創出を念頭に置いた事業スキームの形成に積極的に取り組んでいく。

※共同実施(Joint Implementation)= 先進国同士が協力して、温室効果ガス排出量の削減に資する事業を実施し、その排出削減量をクレジットとして得る仕組み。温室効果ガスの排出量削減に数値目標を負う各国が積極的な活用に向けて取り組んでおり、本プロジェクトがJI案件として承認されれば、京都議定書でわが国に課せられた6%の温室効果ガス削減目標の達成に役立てることができる。

 
【カリアクラウィンドファーム】

 



製品ページ


mission_net_zero

三菱重工グループについて

三菱重工グループは、エンジニアリングとものづくりのグローバルリーダーとして、 1884年の創立以来、 社会課題に真摯に向き合い、人々の暮らしを支えてきました。
長い歴史の中で培われた高い技術力に最先端の知見を取り入れ、カーボンニュートラル社会の実現 に向けたエナジートランジション、 社会インフラのスマート化、サイバー・セキュリティ分野 の発展に取り組み、 人々の豊かな暮らしを実現します。

詳しくは: