総合研究所
2008年入社 |
材料科学専攻 修了 |
コンプレッサは化学プラント、ガスプラントなどで製品の生成に必要な空気、ガスを圧縮するための機械であり、これらのプラントの心臓部ともいえる重要な機器の一つです。
大流量のガスを超高圧に圧縮するため温度及び圧力に加えて環境条件が厳しく、お客様が求める性能とコストを成立させるには、設計、製造、品質管理を含めた一連のものづくり工程で高い技術が必要になります。
各種プラント向けの大型コンプレッサは、車室やダイヤフラム等の鋳物部材の他、ロータやインペラ等の鍛造部材から構成されています。製品は年々大型化の傾向にあり、品質を確保するために素材レベルから完成品検査まで緻密かつ効率的なものづくりに取り組んでいます。
重要な部品の一つである車室は、数十トンの大型鋳造品で、かつ複雑な形状を有するため鋳造欠陥(ガス欠陥、引け巣※)の防止が最大の課題です。これに対し、溶鋼流れ及び凝固シミュレーションを用いて定量的に欠陥の発生を予測する技術を構築し、実機展開中です。
三菱重工の鋳造製品は、これまで現場の様々な改善活動により低コスト・高品質を確保してきましたが、更なる高品質を目指すためには、従来からの蓄積技術に加えて数値解析による凝固シミュレーション、及び溶鋼流れシミュレーションを活用することが重要です。
右図は、車室ノズルの溶鋼流れ及び凝固シミュレーションの結果を示します。溶鋼流れ解析により、鋳込み中のガス発生位置及び発生量を予測し、ガス欠陥を防止する対策を提案しました。また、凝固解析により引け巣の発生場所を予測し、防止するための鋳造方案を提案しました。これにより、管理基準を超える鋳造欠陥を防止することに成功しました。製造業に関わる研究者として、自分の成果が製品に具体的に展開され、ものづくりに貢献できた時の喜びはひとしおです。