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CO2回収・貯留機能を備えた石炭ガス化複合発電(IGCC)設備を建設
ゼロジェン社からフィージビリィティ・スタディ受注

三菱重工業株式会社
三菱商事株式会社
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 三菱重工業と三菱商事は共同で、オーストラリアのゼロジェン社(ZeroGen Pty Ltd)が進める、CO2回収・貯留(CCS)機能を備えた石炭ガス化複合発電(IGCC)設備の建設プロジェクトに参画することで合意し、その一環としてフィージビリティ・スタディ(F/S)を受注した。IGCCの発電出力は53万kWで、CO2回収・貯留機能を備えた商業レベルのIGCC発電所の建設は世界で初めて。2015年の運転開始を目指す。

 今回のZeroGenプロジェクトは、同国で豊富に産出する石炭をガス化して発電する高効率のIGCCと、CO2の回収・地中(深部塩水帯水層)貯留を組み合わせたもので、発電所は同国クィーンズランド州に建設する。このうち、CO2回収・貯留機能を含めたIGCC設備の製作・供給・建設は三菱重工が独占的に行い、三菱商事はプロジェクト全体の調整に当たる。 また、本プロジェクトの実施会社であるゼロジェン社は、IGCC設備の建設地およびCO2輸送・貯留地域の選定、インフラ整備、石炭供給、関係先との折衝、環境関連の研究などを担当する。なお、同社の株式はクィーンズランド州政府が保有。

 今回のF/S受注は、IGCCおよびCO2回収・貯留技術の世界市場投入を進める日本側企業と、同国で産出する石炭の有効利用と地球温暖化ガスの大幅削減を目指すゼロジェン社などオーストラリア関係者の思いが一致したことによる。

 三菱重工は、昨年4月に新設した「エネルギー・環境事業統括戦略室」が窓口となり、製品担当部門の原動機事業本部および機械・鉄構事業本部が一体になって交渉に取り組んだ。同社の担当分については、IGCC設備を原動機事業本部が、また、CO2回収設備を機械・鉄構事業本部がそれぞれ担当する。

 三菱商事は豪州に大規模な石炭権益を保有する一方、豪州連邦政府が設立するCCS商業化支援機関Global CCS Institute(GCCSI)の設立メンバーとして、低環境負荷での石炭資源継続活用の実現に取り組んでいる。本件もGCCSI対象案件として、豪州連邦政府支援の下で推進することを提唱、三菱重工とのプラント供給に加え、石炭やパイプラインの供給や、将来の排出権取引関与も含めた、プロジェクトへの多面的な貢献を目指す。

 IGCCは、ガス化炉内で微粉化した石炭をガス化し、コンバインドサイクル発電(C/C)と組み合わせて発電するシステム。従来の石炭火力に比べ発電効率が高く、CO2はもちろん、SOx、NOx、煤煙などの排出量が低いのが特長。

 三菱重工のIGCCは、発電用として世界最高の送電端効率を実現させる空気吹きガス化技術を確立したもので、電力会社10社の出資によるクリーンコールパワー研究所(福島県いわき市)に納入した勿来実証プラント(出力25万kW)もすでに2,000時間を超える運転を完了、高い信頼性と運用性を実証している。

 また、CO2回収は今回、石炭をガス化後C/Cプロセスへ送る前に回収する手法を用いる。石炭を酸化反応させて一酸化炭素と水素にガス化し、一酸化炭素を蒸気とのシフト反応によりCO2と水素に変換して分離・回収する。

 今回のプロジェクトへの参画は、これら優れた技術と確かな実績が高く評価されたことによる。ゼロジェン社のTony Tarr社長は「IGCCとCCSを組み合わせたこの規模の商業レベルプラントの建設は世界で初めてであり、今回のプロジェクトは今後、地球環境に対応した商用石炭焚き発電施設を世界に普及させていくための重要なステップとなる」としている。

 三菱重工業と三菱商事の両社は今後、ゼロジェン社との協働を軸に、クィーンズランド州政府、オーストラリア石炭協会、連邦政府などとも密接に連携しながら、このZeroGenプロジェクトの実現に向け積極的に取り組んでいく。

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担当窓口:エネルギー・環境事業統括戦略室

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