パワードメイン

セグメント別事業概況

POWER SYSTEMS

パワードメインは、地球に優しいGTCC(ガスタービンコンバインドサイクル)や地熱・風力発電、CO2を排出せずベースロードとして活用できる原子力発電、安定供給と経済性に優れた石炭火力発電など、さまざまなエネルギーソリューションを提供することで世界の電力供給を支えています。また、食糧問題の解決に欠かせない肥料プラント用のコンプレッサや人々の快適な移動をサポートする民間航空機用エンジンなども手がけています。高度化・進化するこれらのコア機器とともに、ソリューション提案やターボマシナリーシナジーによる新製品を提供する“POWER & ENERGY SOLUTION PROVIDER”として、社会の進化と多様なニーズに応えます。

事業環境と社会課題

新興国経済の発展や電気自動車の普及などをはじめとした電化の進展により、今後、電力需要はますます伸びていくものと考えられます。同時に、地球温暖化を契機とした低炭素化・脱炭素化の動きに拍車がかかることが予想されます。

各国・地域の地理的、経済的、社会的状況は異なることから、それぞれのニーズに合った電源を提供していくことが重要です。風力発電などの再生可能エネルギーは継続的に需要が増大しています。同時に発電効率向上および発電単価低減ニーズや、電源の安定性を担保するための負荷調整システムや蓄電システムのニーズも増大しており、一定規模の安定電源が必要となります。

主要事業別売上高

グラフ

業績推移

グラフ

洋上風力発電設備を手がけるMHI Vestas Offshore Wind(MVOW)は持分法対象会社のため、グラフには含まず。

S

強み

  • 火力発電
    • 世界最高水準の高効率・高出力発電システム
    • 中小型から大型までの全出力レンジに対応
    • 最先端の環境対策技術(AQCS※1、IGCC)
  • 原子力発電
    • 世界最高水準の安全技術・製品品質
  • 再生可能エネルギー
    • 洋上風車の豊富な実績(世界シェア2位)と高出力9.5MW機種の投入(MVOW)
  • 航空エンジン
    • 燃焼器・低圧タービンでの長年にわたる製造技術の蓄積
  • コンプレッサ
    • トップシェアを持つ化学プラント分野における実績
  • 舶用機械
    • 柔軟なカスタマイズ、ソリューションの提案力
  • ターボマシナリー
    シナジー
    • 技術、人材、設備の相互活用
    [ガスタービン、航空エンジン、航空エンジン転用型ガスタービン(PWPS※2)、
    コンプレッサ、ポンプ、MET過給機、有機ランキンサイクル(Turboden)]

※1 AQCS: Air Quality Control System

※2 PWPS: PW Power Systems

W

弱み

  • 火力発電
    • サービス事業対象となる納入実績量
  • 原子力発電
    • 海外新設プラント経験
  • 再生可能エネルギー
    • 製品ラインアップ
  • 航空エンジン
    • 欧米エンジンメーカー主導の市場
  • コンプレッサ
    • オイル&ガス市場での実績
  • 舶用機械
    • サービス網のグローバル展開力
O

機会

  • 火力発電
    • 環境規制強化に伴う高効率・クリーン電力ニーズ増大
    • 再生可能エネルギー拡大に伴う負荷調整ニーズの拡大
  • 原子力発電
    • 新興国を中心とした新規原発の導入・増設、脱炭素社会の到来
  • 再生可能エネルギー
    • 洋上風車の需要増大(欧州に加え、米国・台湾・日本市場も拡大傾向)
  • 航空エンジン
    • 航空機市場の継続的成長
  • コンプレッサ
    • オイル&ガス市場の活性化
  • 舶用機械
    • 環境規制強化
T

脅威

  • 火力発電
    • 海外競合先との競争激化
    • 再生可能エネルギーの拡大と石炭火力への逆風
  • 原子力発電
    • 脱原発の潮流
  • 再生可能エネルギー
    • 市場は政策主導で補助金動向等に左右されやすい
  • 航空エンジン
    • 技術革新による航空機ビジネスモデルの変化
  • コンプレッサ
    • オイル&ガス市場回復の遅れ、競争激化
  • 舶用機械
    • 海運・造船業の長期低迷

提供する価値

三菱重工グループはガスや石炭火力、原子力発電といった安定電源と再生可能エネルギーの共存を推進することにより、経済性に優れた安定的な電力の供給と、社会の発展と快適な暮らしを両立するソリューションを提供します。

例えば、より環境負荷の低い水素混焼発電にも取り組んでいます。将来的にはCO2を排出しない水素専焼の発電を目指しており、さらに当社グループで有する多様な技術と組み合わせることで、エネルギーサプライチェーン構築を牽引していきます。

また、石炭からガスを抽出し環境負荷の低い発電を実現するIGCCや、排出されるCO2の約90%を回収する技術を備えた石炭火力発電システムなど、既存の発電分野においてもより環境に優しいソリューションを提供することができます。

「3E+S(Economy, Energy Security and Environmental Protection + Safety)」の基本条件を満たし、社会のニーズに合った電力供給システムを提案していきます。

2018事業計画の成長戦略

2018事業計画期間中は、豊富な火力発電システムの既受注工事を着実に遂行し、収益確保を目指します。これと並行して2021事業計画も見据えた以下の成長戦略を推進していきます。

火力発電システムでは新設だけでなく、既存発電設備の低炭素化・高効率化のための改造工事やデジタル最新技術を活用したサービス事業の拡大などにより、収益性の改善を図ります。

原子力事業においては、国内新規制基準対応および特定重大事故等対処施設工事の安全・確実な推進に注力するとともに、再稼働後の各種保全工事に取り組みます。また、東京電力(株)福島第一原子力発電所への支援を継続します。

航空エンジンでは、旺盛な民間航空機需要に対応すべくリソース拡大を図り、エンジンのオーバーホール・部品修理事業にも注力します。

再生可能エネルギーについては、洋上風車市場の拡大に対応すべく、量産体制を強化し世界最大出力機を市場に投入するほか、調整電源(小型ガスタービンなど)やエネルギー貯蔵(蓄電池、Power to Fuelなど)との組み合わせで高付加価値化したソリューションを提案し、競争力強化を図ります。

コンプレッサは従来からの得意分野である石油化学プラント向けの受注を確保するとともに、ターボマシナリーシナジーを発揮し、コンプレッサと中小型ガスタービンを組み合わせたガスタービン駆動LNGコンプレッサトレンなどを擁してオイル&ガス上流市場への事業拡大を図ります。

また、MHPS-TOMONI®やENERGY CLOUD®などのAI/IoT を活用した統合マネージメントシステムを組み込んだパワー&エネルギーソリューションビジネスによる新事業領域の開拓を推進します。

2018事業計画達成のための施策

表

O&M: オペレーション&メンテナンス

売上計画の内訳

グラフ

洋上風力発電設備を手がけるMHI Vestas Offshore Wind(MVOW)は持分法対象会社のため、グラフには含まず。

2018事業計画とその先の未来に向けての活動

EMS:エネルギー・マネジメント・システム

地域社会の一員として

アメリカにおける当社発電システム事業の拠点であるMitsubishi Hitachi Power Systems Americas,Inc. (MHPS Americas)では、毎年フロリダ州にあるオーランドサービスセンターに地元の高校生や大学生を招き、工場見学を行っています。実際にガスタービンのメンテナンス過程を見学し、発電システムへの理解を深めることで、STEM教育(Science,Technology, Engineering & Mathematics)推進や未来を担う人材の創出に貢献していきます。