航空・防衛・宇宙ドメイン

セグメント別事業概況

AIRCRAFT,
DEFENSE & SPACE

航空・防衛・宇宙ドメインは、輸送手段としてますます存在感が高まる民間航空機の構造部位(胴体パネルや主翼)などを手がけ、これに加えて、現在、より環境に優しく、より快適な70~90人乗りのリージョナルジェット、MRJの開発を進めています。三菱重工グループの将来にとって大きな柱となる事業であり、2020年半ばの初号機引渡しを目指して、全力で取り組んでいます。また、防衛装備品の開発や観測衛星などを搭載した宇宙ロケットの打上げなどを通じて、人々の安全・安心な暮らしに貢献しています。

事業環境と社会課題

グローバル化の進展による人々の移動の活発化を受け、民間航空機の運航機数は今後20年間で2倍に増加すると予想されています。将来の環境負荷に対する排出規制や原油価格の変動に対応するため、より燃費効率の良い航空機の開発が求められ、こうした状況を背景に民間航空機事業の伸長が期待されています。

一方、価値観の多様化とともに世界情勢がますます複雑さを増す中、防衛・宇宙分野では、主な顧客である日本政府からの要請に応える形で、安全・安心に暮らせる社会の実現・維持に貢献しています。

主要事業別売上高

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業績推移

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S

強み

民間航空機
  • 顧客との長期にわたる関係、長年にわたる航空機製造に係るノウハウ蓄積、国内の航空機産業基盤に基づく部品サプライヤとの関係構築
  • 大型複合材主翼等の構造部材の設計・製造技術
  • 高性能・高信頼性および優れた運航経済性を備えた完成機(MRJ)
防衛・宇宙
  • 防衛・宇宙製品の開発で培った先端技術
  • 防衛
    • 統合防衛システム提案力、国際共同事業のノウハウとチャネル
  • 宇宙
    • ロケットならびにロケットエンジン開発力、世界最高水準の信頼性
W

弱み

民間航空機
  • 特定顧客への高い依存度
  • 海外顧客中心のため為替変動への感応度が大きい
  • 完成機開発の経験不足
防衛・宇宙
  • 防衛
    • 海外案件の経験が少ない
  • 宇宙
    • 世界市場におけるコスト競争力
O

機会

民間航空機
  • 今後20年間で約34,000機の新規需要
  • 70 ~ 90席機は今後20年間で3,500機程度の新規需要
防衛・宇宙
  • 防衛
    • 防衛装備移転三原則の閣議決定
    • 「中期防衛力整備計画」策定により新たな装備品の開発と調達が加速
  • 宇宙
    • 安全保障分野での宇宙利用を含む衛星利用ニーズの拡大に伴う打上げ市場の拡大
T

脅威

民間航空機
  • 航空機製造におけるグローバライゼーション(先進国と新興国の分業体制進展)
  • 統合による業界再編とそれに伴う競争の激化
防衛・宇宙
  • 防衛
    • 装備品の海外調達増加による国内正面装備費予算の減少
  • 宇宙
    • 海外衛星打上げの米国新興企業参入による価格破壊のおそれ

提供する価値

民間航空機では、ボーイング787において、従来のアルミ合金を複合材へ変更した主翼の製造を担当しています。複合材を採用することで、機体のいっそうの軽量化、燃費改善に寄与しています。また、最先端の流体解析技術などがMRJの機体開発にも応用されています。

防衛・宇宙分野では、最先端技術を活用して、社会の安全・安心に貢献する製品・サービスを提供しています。例えば、観測衛星や通信衛星などの打上げを担う宇宙ロケットは世界有数の成功率(97.4%:H-ⅡA(2018年6月末現在))を誇っており、当社が提供する製品・サービスの品質の高さを証明しています。

この分野で培った最先端技術を他のさまざまな分野で製品の素材、構造、制御などに応用することによって、競合する他社にとっては難しい領域においても、当社は強みを発揮することができます。

このような高度な技術開発能力を通じて、より安全で、安心して人々が暮らせる社会を守るための活動を続けていきます。

2018事業計画の成長戦略

民間航空機分野では、事業構造改革を継続し、自動化設備の導入などを通して生産性向上に努めます。2020年半ばの初号機引渡しを目指し開発中のMRJは、市場から高い評価を得ており、当社の将来の大きな柱になるものと期待しています。さらに、MRJ事業とTier1事業の連携を強化し、装備品などの高付加価値分野や、航空機運航支援などの新事業分野への進出を目指します。

防衛・宇宙分野では、世界水準の製品の提供を通じて安定的な事業運営を続けながら、指揮統制や無人機システムなど新たな事業領域への拡大を図ります。同時に、培ってきた技術等を活用し、MRO等の既存分野の拡大、海外事業の拡大、および、高度セキュリティに係る民生分野への展開を進めていきます。

MRO: Maintenance, Repair and Overhaul

2018事業計画達成のための施策

表

AI/IoT/RPA等情報システム、生産プロセス、調達オペレーション、CAD/NCプログラム等の専門的スキルを修得させる仕組みを導入

表

M&S: Modeling and simulation

売上計画の内訳

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2018事業計画とその先の未来に向けての活動

地域社会の一員として

種子島でのロケット打上げやロケット製造工場の見学を通じて、次世代を担う子どもたちの夢を後押しする特別理科教室「種子島宇宙教室」を継続的に開催しています。同教室では、当社ロケット技術者による教育のほか、自作したペットボトル製ロケットの打上げを行うなどの活動を通じて、子どもたちのものづくりへの興味・関心を高め、未来にはばたく人材を育成しています。