コーポレート・ガバナンス

すべての
ステークホルダーに配慮し、
継続的なコーポレート・ガバナンスの
強化に努めます。

常務執行役員 GC廣江 睦雄

基本的な考え方

三菱重工は、社会の基盤づくりを担う責任ある企業として、すべてのステークホルダーに配慮した経営を行うとともに、当社グループの持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を図るため、継続的なコーポレート・ガバナンスの強化に努めることを基本方針としています。当社は、この基本方針のもと、経営の監督と執行の分離や社外取締役の招へいによる経営監督機能の強化に取り組むなど、経営システムの革新に努め、経営の健全性・透明性の向上および多様性と調和を重視したグローバル経営の構築に取り組んでいます。

GC: General Counsel

コーポレート・ガバナンス改革の歴史

表

内部統制システムを含むコーポレート・ガバナンスの組織と役割

当社は会社法上の機関設計として監査等委員会設置会社制度を採用しており、内部統制システムを含むコーポレート・ガバナンス体制は次の通りです。

図
1

取締役(取締役会)

取締役11名(うち、監査等委員である取締役5名)中5名(うち、監査等委員である取締役3名)を社外から選任しています。また、当社は、定款の定めおよび取締役会の決議に従い、取締役社長への重要な業務執行の決定の委任を進めており、迅速な意思決定と機動的な業務執行を可能にするとともに、取締役会の主眼を業務執行者に対する監督に置くことを可能としています。

2

監査等委員会

監査等委員会の活動の実効性確保のために定款において常勤の監査等委員を選定する旨を定めており、当該規定に従って監査等委員の互選によって常勤の監査等委員を2名選定しています。常勤の監査等委員は経営会議や事業計画会議等の重要会議に出席し、経営執行状況の適時的確な把握と監視に努めるとともに、遵法状況の点検・確認、財務報告に係る内部統制を含めた内部統制システムの整備・運用の状況等の監視・検証を通じて、取締役の職務執行が法令・定款に適合し、会社業務が適正に遂行されているかを監査します。

監査等委員会は、経営監査部および会計監査人と定期的に情報・意見の交換を行うとともに、監査結果の報告を受け、会計監査人の監査への立会いなど緊密な連携を図ります。また、コンプライアンスやリスク管理活動の状況等について内部統制部門あるいは関連部門から定期的または個別に報告を受けます。こうした監査業務をサポートするため、監査等委員会室を設けて専任スタッフ(5名)を配置し、監査等委員会の円滑な職務遂行を支援しています。

3

チーフオフィサー・常設担当役員

CEO※1は当社の全般の業務を総理し、ドメインCEOはグループ全体戦略のもとで各ドメインの事業推進を統括・執行しています。また、CSO※2は全社経営方針の企画に関する業務全般、CFO※3は財務・会計に関する業務全般、CTO※4は技術戦略、製品・新技術の研究・開発、ICT、バリューチェーン、マーケティングおよびイノベーションに関する業務全般をそれぞれ統括・執行しています。さらに、CSO、CFOおよびCTOは、それぞれの所掌機能について全社に対する指揮・命令権をもつとともに、ドメインに対する支援を行う体制としています。また、CEOの職務を補助する常設の担当役員として、GCおよびHR※5担当役員を置いており、GCは経営監査、総務、法務およびグローバル拠点支援に関する業務全般を、HR担当役員は人事および労政に関する業務全般を、それぞれCEOの命を受け統括・執行しています。

※1 CEO:Chief Executive Officer

※2 CSO:Chief Strategy Officer

※3 CFO:Chief Financial Officer

※4 CTO:Chief Technology Officer

※5 HR:Human Resources

東京証券取引所に提出した「コーポレート・ガバナンスに関する報告書」を掲載しています。

取締役会の体制(監督と執行)

取締役会メンバーは、さまざまなバックグラウンドを持った人材で構成されており、業務執行者に対する監督がバランスよく行われる体制としています。

図

取締役・監査役数と社外役員比率の推移

グラフ

社外取締役

当社は、社内の視点に偏らない客観的な立場から当社経営に有益な意見や率直な指摘をいただくことが、当社経営意思決定の健全性・透明性の向上に資することを期待し、企業経営、財政金融、コーポレート・ガバナンス等、さまざまな経験、知識、スキルを持った5名の社外取締役(うち、監査等委員3名)を選任しています。各社外取締役は、当社が定める「社外取締役の独立性基準」を満たしていることから、全員が当社経営陣からの独立性を有していると判断し、(株)東京証券取引所その他の国内金融商品取引所に独立役員として届け出ています。これらの社外取締役はいずれも当社経営陣から独立した立場で、経営の監督あるいは監査を行っており、取締役会においてコンプライアンスやリスク管理等を含む内部統制システムの整備・運用状況および内部監査結果の報告を受け、適宜意見を述べています。

また、社外取締役が過半数を占める監査等委員会は、内部監査部門および会計監査人と連携を取って監査を行っており、加えて、監査等委員でない社外取締役は、監査の状況等について監査等委員会から情報共有を受けています。

「三菱重工コーポレート・ガバナンス・ガイドライン」に掲載しています。

取締役会の実効性評価

当社はコーポレートガバナンス・コードの施行を契機として、取締役会全体が実効的にその役割を果たしているかを検証することにより、取締役会の実効性のいっそうの向上を図るとともに、ステークホルダーに対する説明責任を十分に果たすことを目的として、取締役会全体としての実効性に関する分析・評価を年に1度実施しています。

2017年度は、全取締役に対するアンケートおよび取締役会での討議等を踏まえ、取締役会全体としての実効性は確保されているものと評価しています。

役員報酬の仕組み

取締役(監査等委員および社外取締役を除く)の報酬は、業績の反映および株主との価値共有という観点から、基本報酬、業績連動型報酬および株式報酬から構成しています。業績連動型報酬については、連結業績を踏まえて、取締役の役位および担当事業の業績・成果等も勘案して決定しています。

株式報酬については、役員報酬BIP(Board Incentive Plan)信託の仕組みを用いることとし、ROE等の、当社の中長期的な業績および株価に連動する指標等に応じて付与する株式交付ポイントに基づいて、当社株式の交付および金銭の支給を行っています。

役員の報酬等の額

表

員数には、2017年度中に退任した監査等委員である取締役2人を含みます。

監査等委員でない取締役に対する年度当たりの金銭報酬支給限度額は1,200百万円です。(2015年6月26日第90回定時株主総会決議)

株式報酬の総額は、役員報酬BIP(Board Incentive Plan)信託(監査等委員でない取締役(社外取締役を除く)に対し、各取締役の役位および当社の業績等に応じて付与された株式交付ポイントに基づき、当社株式および当社株式の換価処分金相当額の金銭を交付または支給する株式報酬制度)に関して、当事業年度中に総数234,000ポイント(対応する当社株式数にして23,400株相当)を付与した株式交付ポイントに係る費用計上額です。なお、監査等委員でない取締役(社外取締役を除く)に対して年度当たりに付与する株式交付ポイントの総数の上限は、500,000ポイントです。(2015年6月26日第90回定時株主総会決議)

監査等委員である取締役に対する一事業年度当たりの金銭報酬支給限度額は300百万円です。(2015年6月26日第90回定時株主総会決議)

役員報酬額の推移

グラフ

監査等委員でない取締役(社外取締役を除く)の報酬額

役員指名・報酬諮問会議

社外取締役5名全員と取締役社長のみにより構成されています。取締役候補者の指名、取締役の解任およびCEOその他チーフオフィサー等の選解任に関する事項や報酬等に関する事項について、取締役会における審議に先立って社外取締役の意見・助言を得ることで透明性と公平性をいっそう向上させることを目的としています。2017年度は、役員指名・報酬諮問会議を3回開催しました。

なお、コーポレートガバナンス・コード(改定版)の内容等を踏まえ、手続の客観性・透明性の向上等の観点から、役員人事・役員報酬に係るプロセスの見直しの検討等に取り組んでいきます。

監査等委員である取締役を除く。

図

事業リスクマネジメント

三菱重工グループは、多くの事業分野でさまざまな新しい取り組みや挑戦をする中で、持続的に成長してきましたが、併せて、大規模な損失も経験してきました。また、近年、事業のグローバル化と案件の大型化や技術の発展・複雑化などに伴い、発生するリスクの規模もさらに大きくなってきています。

一方、絶え間なく変化する事業環境の中で、企業が持続的に成長していくためには、既存事業における改善・強化に加え、新分野、新技術および新しい顧客・地域への挑戦も続ける必要があります。このような挑戦に事業上のリスクを伴うことは当然であり、その軽減能力の高さが企業の業績および成長性を大きく左右することになります。

このような挑戦を推進し、次の飛躍に備えるために、過去の経験と反省のうえに、事業リスクマネジメントを確実に遂行できる仕組みを構築するとともに、トップマネジメントの戦略判断を支える高度なインテリジェンス体制やプロセスモニタリングを強化し、事業伸長へのチャレンジを実行できる「コントロールド・リスク・テイキング」を志向していきます。

事業リスクマネジメントに対する考え方

リスクマネジメントはガバナンスの一環であり、「制度・プロセス」「企業文化」「人材」という各要素が全部整って初めて機能するものと考えています。グローバル市場においてより果敢にリスクに挑戦するのと同時に、そのリスクをどのようにマネージできるかが企業価値を継続的に増大させるための両輪であり、その意味で、下図(事業リスクマネジメントのマトリックス)の通り、プロセスからストラテジーまでの幅広いリスクを、実務層から経営層まですべての事業参画者ごとに包括的、網羅的に把握し、コントロールしていくことが非常に大切であると考えています。

事業リスクマネジメントのマトリックス

図

SBU:Strategic Business Unit(戦略的事業評価制度における事業単位)

事業リスクマネジメントの体制

当社グループでは、下記施策により事業リスクマネジメント体制の体系化と経営幹部/事業部門/コーポレート部門の役割明確化を図っています。

1

当社グループの最上位ルールとしての「事業リスクマネジメント憲章」の遵守・実践

→ 事業リスクマネジメント対象の定義等を明確化し、これを遵守・実践

2

CEO主催による「事業リスクマネジメント委員会」の開催

→ トップマネジメントレベルでの重要リスク情報の共有や対応方針協議

図

事業リスクマネジメントの活動内容

当社グループでは、2016年4月以降、CEO直轄の事業リスク総括部を責任部門として、経営者、事業部門、コーポレート部門の三者が一体となって、事業リスクマネジメントに取り組んでいます。

具体的な活動内容としては、下図(事業リスクマネジメントプロセス)の通り、事業リスクの予防と発生頻度の低減・対策に関する制度やプロセス面の強化だけでなく、当社幹部も交えた教育などを通じて、事業リスクマネジメント人材の育成やリスク対応文化の醸成にも取り組んでいます。

事業リスクマネジメントプロセス

図

コンプライアンス

三菱重工グループでは、法令や社会規範を遵守し、公正で誠実な事業活動を推進するために、2001年5月に「コンプライアンス委員会」を設置し、年2回、全社のコンプライアンス推進計画の立案や進捗状況の確認などを行っています。

特に社員一人ひとりのコンプライアンス意識を高めるため、2003年以降、職場で起こりうるコンプライアンス事例をテーマとして職場単位で話し合うディスカッション形式の研修を毎年実施しています。

また、2015年5月には「三菱重工グループ グローバル行動基準」を制定しました。多様な経歴、国籍、文化を持つ数万人の人々からなるグローバル企業である当社グループにとって、こうした多様性は大切な財産であり、さまざまなバックグラウンドを持った社員一人ひとりが一つの共通の企業文化のもとで事業を推進していく必要があります。

この行動基準は、当社グループの社員がどのように行動すべきかというグループ共通の規範を規定したものであり、e-ラーニングや小冊子の配布などを通じて、世界中の当社グループ社員一人ひとりへの浸透を図っています。

また、国内外グループ会社においては、独占禁止法、贈賄防止および輸出関連法規の遵守に関するe-ラーニングや講習会を実施しているほか、当社および国内グループ会社の技能職向けに「コンプライアンスガイドブック」を作成し、各職場での教育を通じて、遵法意識の向上につなげています。

さらに、2017年9月には「コンプライアンス推進グローバルポリシー」を制定し、体制、役割、管理事項等コンプライアンス推進に関してグループ各社が備えるべき基本事項・ルールを明確にしました。「グローバル行動基準」と併せて、当社グループ共通の行動規範や基本事項・ルールを明確化することにより、グループ全体の内部統制ならびにコンプライアンスレベル向上に取り組んでいます。

コンプライアンス 推進研修受講人数

約84,300名 (2017年度)

コンプライアンス推進体制

図