インダストリー&社会基盤ドメイン

セグメント別事業概況

INDUSTRY &
INFRASTRUCTURE

インダストリー&社会基盤ドメインは、その多彩な製品と、環境に優しい方法で、私たちの毎日の暮らしのさまざまな場面を支えています。家庭やオフィスで使われる空調機器、物流で活躍するフォークリフト、モノと人の移動を支える交通システムや船舶、社会インフラの発展を支える製鉄機械、化学プラント、各種産業機械で、快適な暮らしと豊かな社会の実現を目指します。2018年1月、全事業の再編と事業会社化の完成で新体制を構築しました。その新たな成長のステージで、確かな技術と製品で、すべての人の社会基盤の充実と、生活環境の改善をより前へ進めます。

事業環境と社会課題

昨今、経済発展と環境負荷低減の両立が社会的な課題となっています。さまざまな分野で環境規制が強化されていますが、三菱重工グループは、その技術と経験で社会に貢献できる好機と捉えています。例えば、2020年に船舶排ガスの国際規制基準が大幅に強化されることに伴い、環境規制対応装置に対する需要拡大が見込まれています。また、自動車の燃費改善・CO2排出抑制に寄与するターボチャージャや、環境負荷の低い冷媒に適応したターボ冷凍機へのニーズも高まっています。

一方、e-コマースの急速な浸透により、世界の物流市場では人手不足や物流効率化といった課題が顕在化しています。

中長期的には、都市問題としての廃棄物処理や物流、交通システムの電動化・自動化への取り組みがよりいっそう求められると考えています。

主要事業別売上高

グラフ

業績推移

グラフ
S

強み

幅広い製品分野で培ったノウハウとリソースのドメイン内での有効活用
  • 物流機器
    • 世界第3位の事業規模
  • ターボチャージャ
    • 高速回転技術を活かした高性能製品の開発
  • 冷熱・カーエアコン
    • 豊富な製品ラインアップと世界トップレベルのエネルギー環境技術
  • 製鉄機械
    • フルラインアップの体制とグローバル事業展開
  • 交通システム
    • 高度なシステムインテグレーション能力や豊富なAPM※1実績
  • 化学プラント
    • 大型プラント建設実績に基づく、高度なEPC※2遂行力
  • 商船
    • 他社を凌駕する環境・省エネ技術

※1 APM: Automated People Mover(全自動無人運転車両)

※2 EPC: Engineering Procurement Construction

W

弱み

短期的な景気動向に左右される事業が比較的多い
  • 化学プラント・
    交通システム
    • 受注のボラティリティの高さ
  • 商船
    • 同じ仕様で繰り返し建造する船の相対的なコスト競争力
O

機会

  • 物流機器
    • e-コマース拡大に伴う物流ソリューション市場の拡大
  • ターボチャージャ
    • 環境・燃費規制に対応したエンジンのダウンサイズ+ターボ化
  • エンジン
    • 分散型電源の需要増加に伴い、発電用の市場が拡大
  • 冷熱・カーエアコン
    • 環境保全意識の高まり
  • 製鉄機械
    • 省エネ・低環境負荷志向の高まり、高級鋼板等高付加価値製品の需要拡大
  • 交通システム・
    環境設備
    • 新興国の経済発展、都市化に伴う市場拡大
  • 化学プラント
    • 北米等天然ガス産出国の設備投資拡大
  • 商船
    • 海運の環境規制強化
T

脅威

新興国企業の台頭 
世界経済の不透明感
  • 交通システム
    • 競合企業のM&Aによる事業拡大
  • 化学プラント
    • 地政学リスクの増大
  • 商船
    • 新造船需給ギャップ継続に伴う競合激化

提供する価値

私たちは、「快適な暮らし」と「豊かな社会」の実現を理念として、さまざまな価値を提供しています。ターボチャージャでエンジンのダウンサイジングによるCO2排出削減に貢献し、低環境負荷冷媒によるターボ冷凍機で地球温暖化防止に貢献します。同時に、船舶用排ガス浄化装置や世界最大処理能力の実績を持つCO2回収プラントで、気候変動に対してより直接的なソリューションを提供します。また、めざましい変化とともに成長する物流市場向けに、AGF※3(レーザー誘導方式無人フォークリフト)を中心とした物流ソリューションビジネスの取り組みを強化し、「自動化・無人化・省人化」で「安全・安心」と「効率化」へのニーズに応えます。そして、ITS※4(高度道路交通システム)やAPMなどの交通システムを通じて交通渋滞の緩和や人々の快適な移動を実現し、都市ごみ処理施設をはじめとした各種環境設備で環境に優しい都市空間を創ります。さらに、製鉄機械、工作機械で産業の技術革新を支え、持続可能な社会の実現に貢献します。

※3 AGF: Automated Guided Forklift

※4 ITS: Intelligent Transport Systems

2018事業計画の成長戦略

2015事業計画で進めてきたポートフォリオマネジメントの集大成として、事業の再編・集約が完成し、持続的な成長を描ける体制が整いました。物流機器や冷熱・カーエアコンなど、市場が拡大し大きな成長が期待できる事業には積極的に経営資源を投入し、売上規模の拡大と利益率の向上を目指します。ターボチャージャやエンジンは効率化と差別化により収益拡大に貢献し、製鉄機械や商船、エンジニアリング関連事業※5は、収益貢献に向けて体質改善を進めていきます。幅広い事業を手がける機械システムについては、リソースの共有や効率化を通じてドメイン収益のベースロードとしての役割を担い、工作機械では、継続して安定した利益構造の構築を目指します。そしてドメインは、全事業の成長戦略を最大限実現するための技術の高度化と革新のための共通基盤を提供していきます。

※5 化学プラント、交通システム、環境設備

2018事業計画達成のための施策

表

※6 メカトロシステム: 機械装置、鉄構プラント等

売上計画の内訳

グラフ

2018事業計画とその先の未来に向けての活動

 
 

地域社会の一員として

タイにおける空調機事業の拠点であるMitsubishi Heavy Industries-Mahajak Air Conditioners Co., Ltd.(MACO)は、1998年から現地の小学校に校舎や教室などを寄贈しています。MACO設立以来、雇用創出、輸出拡大、技術移転などにより、タイ経済の発展に貢献してきましたが、良き企業市民として、タイ社会が抱える社会問題の解決により直接的に貢献していきたいと、社員が現地の要望をヒアリングして、それに応えるように努めています。

これからも地域とともに、人々の暮らしの質の向上に貢献していきます。