大型施設にかつて無い「感動・驚き・可能性」を!“Moving Technology”最前線

文化・スポーツ・レジャー施設の写真

開閉式ドームも、プールやレジャー施設も、有名劇場の設備まで!

近年の日本は、「モノ」よりも「体験」に価値を見出す時代へと変化している。思い出や体験が生まれる場と言えば、劇場・映画館などの文化施設、ドーム・スタジアム・アリーナといった大規模スポーツ施設、そしてテーマパークなどのレジャー施設だ。実はこうした空間においても、三菱重工機械システム(MHI-MS)の製品が活躍している。

たとえば約52,500人収容の「福岡 ヤフオク!ドーム」の開閉屋根、世界の一流アーティストが公演する「さいたまスーパーアリーナ」の可動床・可動座席、さまざまな水泳競技の会場として有名な、「横浜国際プール」の可動床といったレジャー施設…。

さらに海を越えて、中国やシンガポールなどでもさまざまな可動機構を納入しており、その実績は多岐にわたる。

福岡 ヤフオク!ドームと横浜国際プールの写真

MHIグループがこうした製品分野をてがけるようになったのは、いまから30年以上前のこと。当時の技術者たちは、立体駐車場や橋梁・水圧鉄管といった鉄構構造物で培ったノウハウをベースに、博覧会用の観覧装置や劇場用の舞台装置などを開発。

“動く大型施設”という独自の価値を追求し、さまざまなイノベーションを生み出してきた。

小さな頃からメカに夢中だった、若き女性イノベーター

2016年入社の女性設計者、M.Wは“誰かの役に立つモノづくりがしたい”という一念で入社した、次世代のイノベーター候補だ。

小さな頃から機械に夢中だった。
本人いわく、遊園地でジェットコースターに乗る時も、 「この構造はどうなっているんだろう?これを作った人はすごいなと思ってしまうタイプでした。」と言う。

学生時代は生命医工学を専攻。医療現場の手術用ロボットの研究開発などに取り組み、ミクロの世界の技術研究に明け暮れた。

「その反動もあってか就職活動では、見上げるような大きな機械を扱いたいと考えるように。ですから、三菱重工グループの合同説明会でMHI-MSの製品領域を知ったときには、“自分の手でつくってみたい!”と胸が躍りましたね。」

M.Wの写真
設備インフラ事業本部 特殊設備設計課
M.W

中でも特に魅かれたのが、そこに集う人々の姿が見える「文化・スポーツ・レジャー施設」の製品群だった。ただし製品開発は神戸、その上プロジェクトによっては海外出張も多い。

それでも「仕事をするのに場所は関係ない。」と、まったく気にならなかった。モノづくりへの情熱が大きく勝っていたからだ。

「テニスの聖地」に新たな命を吹き込む挑戦

入社後、最初に携わったのは、遊戯施設の安全装置を改良する研究開発プロジェクトだった。アトラクションの楽しさはそのままに、より安全で、子供から大人まで使いやすい装置とはどのようなものか。2年にわたってその開発に取り組んだ。

その後文化・スポーツ施設を中心に、様々な大型構造物の更新案件に参画。現地に何度も足を運び、実際の工事にも立ち会ってモノづくりの経験値を積んでいった。

そして現在、日本の“テニスの聖地”として名高い、「有明コロシアム」の開閉屋根を動かす走行台車の更新業務に携わっている。

有明コロシアムの写真

開閉屋根は全長約100メートル、重量数千トンと、まさに“見上げるような大きな機械装置”だ。

MHI-MSが有明コロシアムに製品を納入したのはいまから20年以上前、偶然にもM.Wが生まれた年だった。それを最新の設計技術を用いつつ、あらゆる環境条件に耐え、これまで以上に安全かつスムーズに動かす構造を見出す事は、決して容易ではない。

画期的製品のベースは、MHI-MSのコア技術

実際、日々トライアンドエラーの繰り返しだと語る。

「日々、私が作成した設計図を先輩方にレビューしていただくのですが、小さな動力でもフルに活かせる構造や、無駄のない設計手法など教わることが多く、本当に毎日が発見と勉強の連続です。」

一見華やかに見える製品も、開発設計の根底には機械工学・構造力学・材料力学などの専門知識が求められる。それに加えて既存の技術や機器を組み合わせた“最適な仕組み”を編み出す柔軟な発想力も必要だ。

開閉屋根も、ベースとなる技術は天井クレーンだという。

無から有を生み出すのではなく、基盤技術を応用した独自のコア技術で、いかに合理的かつ安全な製品を生み出せるか――。そこにイノベーションのカギがあるのだ。

M.Wの写真

人々の歓声、興奮、涙が、何よりのモチベーションに

次世代のイノベーターを目指す道のりは、決して平坦ではない。挑戦の陰には失敗やトラブルがつきものだが、脈々と培われたその経験が社内の貴重な財産(ケーススタディ)として現場に活かされている。

たとえば5年10年と安定稼働してきた製品が、ある日突然不具合を起こすことも。

「先輩方は、このケーススタディこそ起こるべき不具合を未然に防ぐポイントになると、きめ細かく情報共有してくれます。」とM.Wは語る。

M.Wが仕事をしている様子の写真

こうした試行錯誤の結晶が、様々な施設の “目玉”として活躍し続けている。それが技術者の大きなやりがいと、新たなる革新を目指すモチベーションへと繋がるのだ。

「自分が携わった製品をお客様に喜んでいただくのはもちろん、その先のエンドユーザーの方々にも楽しんでもらいたいと、入社前から思っていました。実際に、私が担当している現場で人々が歓声をあげたり、感動している姿を目の当たりにすると嬉しく、心の中でガッツポーズをしています。」

来たるビッグプロジェクトに向けて、知識と技術を磨く日々

M.Wが担当する有明コロシアムは、名だたるテニスプレーヤーがしのぎを削る聖地。時には世界の注目を浴びる場所にもなる。全ての選手・観客が最高の体験をできるように、より安全で高品質な設備を設計しようと全身全霊を注ぐ。

さらに2020年を契機に、新たなスポーツ施設が誕生する可能性も高まっている。次の時代を彩る夢と感動の舞台。そこには前例の無い、そして革新的な可動装置が求められるはずだ。

「動かす」という言葉をキーワードに、人々のニーズに合わせてこれまでに無い動きを求め、それにこたえた製品を世の中に送り出す。

スポーツ施設の写真

「いつかそんなビッグプロジェクトに挑戦してみたい。」と情熱を込めて語る。

「実際にチャンスが来たらプレッシャーと期待が渦巻いて、きっと平常心ではいられないでしょう。だからこそ今、未来のチャレンジに備えて先輩方が培ってきた知見やノウハウを吸収して、技術者としてステップアップしていきたいと思います。」

MHI-MSは企業風土として、技術者が一つの歯車ではなく担当プロジェクトの計画、設計から製作、現地工事、最後の据付試運転まで、全ての工程に関わることが出来る。
これこそが周囲を巻き込んでプロジェクトを成し遂げる、「エンジニアリング企業」としての強みでもあり、技術者の大きなやりがいと成長にもつながっていく。

技術者紹介

M.Wの写真

設備技術部 特殊設備設計課

M.W

2016年入社

愛読書:
「図書館戦争シリーズ」

愛読書から得たこと:
女性が少ない環境の中で好きな仕事をする主人公の姿に奮起させられる。


イノベーターズ