始まった「田町タワー」の物語。多様な働き方を支え、地域と共に歩んでいく。

田町エリアの新しいビジネス拠点として、2023年9月に竣工した田町タワー。そのプロジェクトに奔走し、現在も運営管理を担う笹川朋希は「このビルの礎を築きたい」と語ります。


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笹川 朋希 SASAGAWA Tomoki

技術統括部 技術二部 1999年入社


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田町タワーはJR田町駅から徒歩2分、都営地下鉄の三田駅に直結し、国道15号線と日比谷通りが交わる交通結節点に立地した地上29階建ての複合ビルです。田町駅周辺の再開発プロジェクトの一環として、当社が所有していた「第一田町ビル」と、隣接する徳栄商事株式会社の「徳栄ビル」を建て替える形で2023年に竣工しました。この建替を遂行するにあたって2019年に「TTMプロジェクト」が発足し、当社内に新設されたプロジェクト室に副室長として着任したのが、私が田町タワーに携わるきっかけです。

TTMとは、徳栄商事・田町ビル・三菱重工業の頭文字を意味し、3社の共同事業で魅力あるオフィスビルの建設を目指しました。設計内容や施工上の課題に対しては3社で協議して決定する形で、各社の担当者や設計者・施工者との調整を行ってきました。プロジェクトを進めているときに感じたのは、これほどの大規模なプロジェクトには、事業者や設計者・施工者だけでなく、本当に多くの人が関わるということです。それを取りまとめて皆が同じ方向を向いて進めていくことの意義と難しさを実感しました。

建設工事が始まった当時はちょうど新型コロナ禍に突入した時期で、一部の建設部材の納期が遅れるなど各方面でさまざまな影響を受けましたが、関係者の皆さんの努力の甲斐あって完成までたどり着きました。プロジェクト室は2025年3月に解散し、新しく立ち上がった技術二部では田町タワーの運営管理を担当しており、現在はテナントの入居時のレイアウト変更、オフィスの改修工事、トラブル対応などの技術的な仕事に携わっています。オフィステナントの皆さんが出社したいと思っていただけることが我々にとって一番うれしいですし、皆さんにより長く快適に過ごしていただけるようにしっかり維持管理していくことがミッションだと思っています。

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グッドデザイン賞を受賞したオフィス環境に加え、近隣の人々にも開放的な空間を提供。

田町タワーは国内外で高い評価を受け、「2024年度グッドデザイン賞」を受賞しました。評価されたポイントの一つが、各オフィスフロアに設けられた半屋外型バルコニー「ウインターガーデン」です。事務所の中で外部の空気を吸える空間として東西南北の4面に整備しており、自然と人が集まってコミュニケーションを誘発するマグネットスペースを創出しました。環境促進の仕掛けでもあるウインターガーデンを高層ビルに導入したのは国内初の事例で、前面のスペースには内階段を設置することもでき、より創造的なオフィス環境へと展開することが可能です。

ほかにも、28階には「ルーフトップテラス」を設けました。外の空気や緑に触れながら、高さ130mからの景観を一望することができ、働く人たちのリラックスや気分転換につながるのではないかと思います。共用部では、敷地内に緑を多く配し、地下鉄の三田駅から地上に上がるルートには、大屋根がかかった開放的な広場空間「サンクンガーデン」として整備しました。ストリートピアノが設置されるなど、近隣の方にも過ごしやすい場所を提供できているのではないかと思います。

田町駅周辺は都心エリアを補完する新たなビジネス拠点としてポテンシャルが高まる一方で、コロナ禍を経て働き方はますます多様化しています。従来のオフィスは、窓も開かないような均質的な空間が多く、基本的に建物の中はどこも同じでした。さまざまな働き方が出てくる中で、それに対応するオフィスの「器」が必要と考え、工夫やアイディアを結集させて、将来にわたって求められる魅力的なワークプレイスを模索したのです。

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オフィスワーカーや地域に愛され、田町エリアの中心を担うビルへの礎を築く。

田町エリアは刻々と変貌しており、現在は田町タワーの西側のビルが建て替え工事中です。これが完成すると、2階のデッキが接続して田町駅へ直結する動線ができるなど、街全体がさらに活性化することが期待されています。田町タワーも地域や環境に良い影響を与えていきたいと考えており、エネルギー効率の高い設備や緑地を設置し、持続可能な街づくりへの貢献を目指しているほか、帰宅困難者を受け入れる協定を自治体と結び、受入訓練も毎年行うなど、災害時の一時避難場所としても貢献したいと考えています。また、かつてこの地には薩摩藩屋敷があって、1868年に西郷隆盛と勝海舟が会見して江戸無血開城を決めた歴史ある地でもあり、それを示す石碑も田町タワーの敷地内に建てられています。

オフィスビルは今後50年、60年、70年と使っていくものです。ビルが少しずつ変化しながら街の中心的な存在に成長し、多くの皆さんに受け入れられるように支えていきたいという想いがあります。そういう意味では、田町タワーの物語はスタートしたばかり。皆さんに末永く愛されるビルに向けて、その礎を築き上げていくことが我々の重要な役割です。

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社員が語る田町ビルの仕事