PRA

PRAとは

PRAでは何を行うのか

PRAとは確率論的リスク評価のことです。

PRAでは評価対象となる施設(原子力プラント、再処理施設など)の安全設計の想定を超えてしまったときのリスクを数値化し、数値の大きさにより、評価対象となる施設の安全の度合いを評価します。

原子力プラントを対象としたPRAは、炉心損傷等の事故に至る最初のきっかけ(起因事象と呼ぶ)の種類の観点で大きく以下の2種類に分類されます。

  • 内的事象PRA
    プラント内部で起こる偶発的な故障(例えば、機器の故障、人的要因)を起因とした事故を評価対象としたPRA
  • 外的事象PRA
    外的な要因(例えば、地震の揺れによる損傷、津波襲来による損傷)を起因とした事故を評価対象としたPRA

また、起因事象が発生したときのプラントの運転状態(出力運転中/停止中)により、PRAの名称を区別することもあります(出力運転時PRA/停止時PRA)。

原子力プラントのPRAで評価するリスクは、炉心損傷、格納容器破損、公衆リスクなどありますが、炉心安全技術の範囲では炉心損傷を対象としています。

  • PRA(確率論的リスク評価:Probabilistic Risk Assessment)

PRAの活用

PRAでは、原子力プラントのリスクに寄与する機器・システムや重大な事故に進展する事故シナリオを抽出することによって、プラントの脆弱点を見出すことができます。脆弱点を検証することで、より信頼度の高いシステムの構築や、より適切な運転・保守管理など安全性向上のための対策を講じるのに役立てることができます。

PRA手法について

事故シナリオ進展とイベントツリー

PRAでは、事故(炉心損傷など)に至るまでの事象進展をシナリオとして検討・整理し、イベントツリーでモデル化します。

炉心損傷頻度の算出

炉心損傷に至るリスクの度合いは、炉心損傷頻度として表します。炉心損傷頻度はイベントツリー解析およびフォールトツリー解析から求めます。

事故シナリオ進展とイベントツリー

事故シナリオの進展はイベントツリーでモデル化します

  • 起因事象を想定します。
    (起因事象:重大な事故(炉心損傷など)に至る事故進展の発生要因になりえる事象)
  • 事故が収束するために必要な緩和システムと、その成功基準を検討します。
  • 緩和システムの「成功」と「失敗」の組合せでどのような事故シナリオが起こりえるか検討します。

緩和システムの「成功」と「失敗」の組合せで、想定される事故シナリオの進展をイベントツリー図でモデル化します。

イベントツリー図の例

事故が収束するための条件

事故が収束するための条件

[(注入システムA)もしくは(注入システムBの成功)]かつ[長期冷却システムCの成功]

シナリオ(2)に至る事象進展のプラント状態図例

シナリオ(2)に至る事象進展のプラント状態図例

炉心損傷頻度の算出

イベントツリー解析

イベントツリー解析では起因事象が発生したときの原子力プラントの炉心損傷頻度を求めます。

  • 炉心損傷に至る各シナリオの炉心損傷頻度を求めます。
  • 各シナリオの炉心損傷頻度は、起因事象の発生頻度と緩和システムの失敗確率から計算されます。

炉心損傷に至る各シナリオの炉心損傷頻度の総和が、想定した起因事象に対する原子力プラントの炉心損傷頻度となります。

想定した起因事象に対する原子力プラントの炉心損傷頻度:2.0×10-9
想定した起因事象に対する原子力プラントの炉心損傷頻度:2.0×10-9

フォールトツリー解析

フォールドツリー解析では緩和システムの失敗確率を評価します。

イベントツリーからフォールトツリー解析への展開

フォールトツリー解析とは

システムが機能喪失する要因をフォールトツリー図で展開し、システム解析を行います。
システムを構成する機器の作動失敗や運転員操作の失敗などを考慮します。
要因の失敗確率を評価し、フォールトツリーを定量化してシステムの失敗確率を求めます。

フォールトツリー図の例

フォールトツリー図の例
  • 人間信頼性解析
  • 共通原因故障解析
  • 故障率データ

などを反映してシステム解析を行います。

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