Non-LOCA安全解析

PWRの「運転時の異常な過渡変化」及び「設計基準事故(LOCAを除く)」時のプラント挙動を評価し、PWRプラントが安全に設計されていることを確認しています。

  • PWR(加圧水型原子炉:Pressurized Water Reactor)
  • LOCA(原子炉冷却材喪失事故:Loss Of Coolant Accident)

運転時の異常な過渡変化

原子炉の通常運転中に、機器の単一の故障もしくは誤動作、あるいは運転員の単一の誤操作等の外乱によって生じる異常な状態のことを言います。安全評価では「運転時の異常な過渡変化」が生じても、炉心が損傷に至ることなく原子炉施設が通常運転に復帰できる状態で事象が収束することを確認します。

「運転時の異常な過渡変化」の一例として「負荷の喪失」を紹介します。

負荷の喪失

この事象は、出力運転中に外部送電系または蒸気タービンの故障等により、蒸気タービンへの蒸気流量が急減し、2次冷却系の冷却能力が低下することを想定しています。本事象が発生した場合、炉心冷却能力の低下により原子炉圧力が上昇し、1次冷却系の設備が損傷する危険があります。

ただし、タービンが自動停止する場合、原子炉は自動停止します。また、タービンが停止しても過剰な蒸気は復水器に導かれ、再び冷却材として利用できます(タービンバイパス系)。従って原子炉の冷却が維持できるため、1次冷却材温度及び原子炉圧力はほとんど上昇せず、事象は安全に収束します。

また、タービンバイパス系が使用できない場合を想定すると、1次冷却材温度及び原子炉圧力の上昇はより厳しくなりますが、その場合は主蒸気安全弁が作動して蒸気を逃し、1次冷却系の冷却を確保します。さらに原子炉は原子炉保護設備により自動停止するため、安全に収束することができます。

このように、安全解析評価では、「原子炉トリップ等の保護設備の設計が妥当でありこのような事象が発生しても安全に収束する」事を確認しています。

負荷の喪失(基図)

設計基準事故(LOCAを除く)

「運転時の異常な過渡変化」を超える異常な状態を指します。安全解析評価では「設計基準事故」が生じても、炉心の溶融及び著しい損傷の恐れがないこと、放射性物質の拡散に対する障壁の設計が妥当であることを確認します。Non-LOCA解析評価では、原子炉冷却材喪失事故(LOCA)以外の全ての設計基準事故を評価します。

「設計基準事故(LOCAを除く)」の例として、「主給水管破断」を紹介します。

主給水管破断

この事象は、出力運転中に主給水管が破断し、破断箇所から2次冷却材が流出し原子炉の冷却能力が急激に低下することを想定しています。本事象が発生した場合、炉心冷却能力の低下により原子炉圧力が上昇し、1次冷却系の設備が損傷する危険があります。

ただし、異常を検知して原子炉は原子炉保護設備により自動停止します。また、補助給水系や加圧器安全弁などの安全保護設備が作動して、原子炉圧力の上昇により1次冷却系の設備が損傷することを防ぎます。

このように、安全解析評価では、「安全保護設備等の設計が妥当であり原子炉圧力の上昇が設計上許容できる範囲で収まること」を確認しています。

主給水管破断

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