私たちの技術
創業以来、私たちは宇宙航空研究開発機構(JAXA)や三菱重工における航空宇宙システムの開発に参画してきました。
それを支えるコア技術が、解析・シミュレーション技術、組込みシステム技術、ミッションシステム技術、情報システム技術、制御システムセキュリティ技術です。
解析・シミュレーション技術
開発プロセスでも触れた通り、ロケットや航空機など、航空宇宙分野の開発にあたって、ミッション達成に必要なオペレーションに基づき、さまざまな解析を行っています。
その分野は、飛行特性、制御特性、飛行経路や安全性評価の他、熱、流体、音、電磁波の影響解析など非常に多岐に亘ります。これらは、個別の解析手法によることもありますが、近年では、解析対象を正確な数値モデルの組み合わせとして表現し、実世界では容易に実現できない様々な事象や状況を模擬/再現/可視化し、その機能・性能などを定量的に評価・検討する、いわゆるモデリング&シミュレーション手法を使うことも多くなってきました。
また、このような大規模シミュレーションでは、CPU、メモリを大量に使うため、これら計算機リソースを効率的に利用する手法や、VR/MRなどの可視化手法の開発にも取り組んでいます。
組込みシステム技術
さまざまな機器に組込まれ、その制御やデータ処理を行うソフトウェアには、PCなどで動く一般的なソフトウェアとは違い、特有の難しい技術が要求されます。
いうまでもなく機器の制御やデータ処理は、現実世界の様々な状況の変化に合わせてリアルタイムに実行しなければなりません。同時に並行して動く複数の処理を組み合わせて、同じデバイスを取り合うような競合状態を避けつつ、必要な時間内に一連の処理が終わるように、CPUや関連するデバイスの動作を注意深く設計(スケジューリング)する必要があります。
また、人工衛星のデータ処理装置に搭載されるソフトウェアのように、厳しい環境の中で動作する機器も多く、CPUやメモリといったリソースの消費を最小限に抑えることも必要になります。
ここでは、機器を構成するそれぞれのハードウェアの知識、機器間の通信プロトコルの知識、実環境における動作状況を模擬して検証を行う技術など、私たちがこれまでの様々な開発で培ってきた知識と経験が活かされています。
ミッションシステム技術
ハードウェアとの関連が強い組込みシステムに対して、ミッションシステムは、オペレータとの関係でその振る舞い(機能・性能)が決められることから、より人間に近いところでミッションを支える機能が必要になってきます。
航空機でいえば、パイロットの操縦や機体のセンサデータに対応して、飛行制御、通信管制、ナビゲーション、フライトマネジメントといったさまざま機能が求められ、そこに用いられるデータ処理、アルゴリズムも多岐に亘ります。これらはバラバラに動くのではなく、システム全体を統合管制するため、センサデータを統合し、オペレータの状況把握・判断を支援する機能も必要で、そこではデータ統合、判断支援などの高度な処理も必要になってきます。さらに、これらシステムを機上或いは遠隔で管制するオペレータの操作性や視認性を確保するため、人間の持つ特性(人間工学)に関する知識も必要になります。
一方で、これら各機能間のインターフェース設計も重要です。従来は、専用の装置で構成しそれをデータバスで連接するのが一般的でしたが、計算機の性能向上とともに機能のソフトウェア化が進み、現在では多数のプロセッサ上に分散配置したタスクやスレッドが相互にデータを受け渡す形となりました。外部とのインターフェースは仮想化が進み、システムのアーキテクチャも階層化されています。これらに伴うオーバーヘッドも考慮しつつシステムの性能目標を達成することも重要な設計要素です。
さらに、これらのすべてを高い信頼性で設計するのは勿論のこと、たとえ故障が起きても重要な機能を喪失しない冗長設計、リカバリーや故障部分の切り離し、代替手段の提供なども忘れてはいけません。
私たちは、長年にわたり航空宇宙分野の難しいミッションを達成するシステム構築の知識と経験を培ってきました。今後、ますます自動化・無人化が進みシステムが複雑化する中で、私たちの技術が活かされる分野は、さらに広がってゆくと考えています。
情報システム技術
情報システム技術について、航空宇宙とは少し離れて、主に地上におけるデータ処理が中心に思われるかもしれません。確かにこれまでは、航空機の整備データなどの分析や補給計画の策定、あるいは航空部品の製造状況を遠隔から監視・計測(センシング)し、製造ラインを最適制御するシステム構築などに取組んできました。
ところが今日、あらゆるものがネットワークに繋がるIoTの時代を迎え、状況は大きく変わろうとしています。
例えば、多数の衛星ネットワーク(コンステレーション)から送られてくる大量の画像データを効率よく処理するためには、情報システム技術が不可欠です。また、画像データから物体を検出・識別するためには、航空宇宙分野のセンサ処理技術が活かされています。
航空機では、大量の飛行データをリアルタイムに収集できるようになり、そのデータ処理にも、情報システム技術が活きてきます。従来は困難だった迅速な異常検知や故障検知を実現し、航空機の可動率向上に役立てることができます。
私たちは、情報システム技術を組込みシステムやミッションシステム技術と組み合わせることで、航空宇宙分野をはじめ、IoT時代におけるさまざまな重要インフラのニーズに応えてゆきます。
制御システムセキュリティ技術
あらゆるものがネットワークに繋がるIoTの時代、サイバー、フィジカルとそれらをつなぐネットワークにおける、さまざまな攻撃に晒されることを想定したシステムの構築が求められます。航空宇宙分野に限らず、重要な社会インフラにおいては、これは特に重要な要件であることは言うまでもありません。
今日の脅威はネットワークに限らず、あらゆる手段を使って、制御システムの中に侵入し、情報を盗み出すだけでなく、機器の制御コマンドやセンサ信号を改ざんして、システムを異常作動させ、時には致命的な損傷を与えることも十分に想定されます。このような兆候を検出してシステムを安全に稼働させるためには、システムの挙動をリアルタイムで監視し、異常があれば即座に対処を行う仕組みを構築する必要があります。
私たちは、これまでに培った、航空宇宙分野におけるさまざまな制御システムの開発経験をもとに、高度な攻撃に耐え、システムを安全に稼働させるセキュリティ技術の開発を行っています。