【GTCC事業部・生産技術】設計図を具現化し脱炭素社会に挑む。世界シェア1位を支えるガスタービン生産技術者
※記載内容は2026年1月時点のものです
世界シェア1位を誇る三菱重工の大型ガスタービン。その製造の最前線で活躍するのが、最後の組立工程を担う小向 琢也と1,650℃の超高温に耐える燃焼器の製造開発を担う芦田 朋也です。設計と現場の架け橋としてコストや品質の鍵を握り、電力の安定供給や脱炭素社会の実現にも貢献する生産技術者の仕事の醍醐味に迫ります。
鉄すら溶かす1,650℃の世界。三菱重工が誇るガスタービンの圧倒的技術とは
まず、お二人が携わっているガスタービンについて教えてください。
小向:発電所にある、発電機を回すための巨大な機械です。圧縮した空気と燃料である天然ガスを混ぜて燃焼させ、生まれた熱エネルギーによってロータ(羽根車)を回し、その動力で発電機を動かし電気を作ります。
芦田:1秒間に25mプール1杯分以上の空気を吸い込みながら、それを連続的に圧縮・燃焼させ発電に必要な巨大なエネルギーを生み出しています。主力製品の「M701JAC形ガスタービン」は、重さ約550t、全長約17m。蒸気タービンと組み合わせたガスタービンコンバインドサイクル(GTCC)発電所1つで約200万世帯の電力をまかなえる能力を持っています。
これほど巨大で高性能なガスタービンを作れる企業は限られているそうですね。
芦田:大型のガスタービンを作れるのは、日本では三菱重工業株式会社(以下、三菱重工)だけで、世界でも実質3社ほど。お客さまから求められる「高効率化」を実現するためには、できるだけ燃焼温度を上げる必要がありますが、私たちは1,650℃という鉄すら溶かすような温度域を扱い、冷却技術などを駆使しながら安定稼働させることができます。これこそが三菱重工の技術です。
小向:2023年にガスタービン世界市場でシェア1位となった背景としては、高砂製作所内に独自の実証発電設備を持っていることが大きいです。実際に発電しながら長期間の検証を行い、徹底的に信頼性を高めてから市場投入してきた実績がお客さまの評価につながっています。
(ガスタービンシェアのプレスリリース:https://www.mhi.com/jp/news/240315.html)
その中で、お二人の業務内容を教えてください。
小向:私はGTCC事業部 高砂タービン製造部の組立課で、製造されたそれぞれの部品を集約し、ガスタービン本体へ組み上げる組立工程全般のエンジニアです。ガスタービンはクレーン等を使いつつも、最終的には人の手で緻密に組み上げます。
芦田:同じくGTCC事業部のブレード・燃焼器製造部で、ガスタービンの性能の鍵を握る「燃焼器」の開発や、お客さまのもとに届く燃焼機器の製造を担う部門のエンジニアを務めています。
設計図を現場でどう具現化するか。コストや納期、品質をも決める生産技術者の手腕
お二人は「生産技術者」職ですが、どのような役割を担っているのでしょうか?
芦田:いわば、設計と製造現場の架け橋です。設計部門は製品の形や性能を決めますが、「それをどう作るか」を考えるのが私たち生産技術者。同じ図面でも、作り方次第でコストや工期は半分にも倍にもなり得ます。製品の市場価値は生産技術者の手腕にかかっているといっても過言ではありません。責任は重大ですが、だからこそおもしろさがあります。
小向:出来上がった図面を精査して「今の構造では難しいが、この構造なら作れます」など現実的に判断を下し、現場で形にしていく。自分たちの考えが、実際の製品の形に反映されるところが醍醐味ですね。
担当の工程で難しさやおもしろさを感じる瞬間を教えてください。
小向:組立課はすべての部品が集まる最終工程なので、ガスタービンの完成を見届けられることはもちろん、各部品の機能や組立方法について幅広い知識が得られます。
芦田:高温に耐える必要がある燃焼器の製造には、特殊な材料を使います。プレスや溶接、機械加工をはじめ、放電加工や熱処理、溶射コーティングといった多様な技術の知見が増えるだけでなく、それらをどう組み合わせるかなど、常に挑戦があります。
近年、脱炭素や電力の安定供給を求められる中で、どのような点にやりがいを感じますか?
小向:電力の安定供給については、私たち組立課もその一端を担っているという使命感があります。最終工程である組立課でリカバーし、納期は絶対守るという現場の心意気とチーム力には誇りを感じています。また、実際に発電所に赴き、定期点検やトラブル対応を行うこともあります。お客さまのお困り事を直接解決できた時は、電力の安定供給への貢献をより肌で感じられますね。
芦田:私は、2023年に世界初の実証運転に成功したプロジェクトが印象に残っています。大型ガスタービンで都市ガスに水素を30% (体積比) 混ぜて燃焼させ、実際に地域の電力網へ送電するという試みでした。大々的なプレスリリースも出て、脱炭素社会に向けた取り組みの最前線にいることを実感しました。
(水素燃料30%混焼実証プレスリリース:https://www.mhi.com/jp/news/23113001.html)
スケールの大きな仕事を求めて三菱重工へ。多様な経験で唯一無二のキャリアを築く
生産技術者として三菱重工に入社した理由を教えてください。
小向:学生時代からものづくりが好きで、現場でモノに触れながら仕事をしたいと思い生産技術者を志望しました。三菱重工を選んだのは、独自の技術力で巨大な製品を生み出していることへの憧れと、エネルギー問題への関心があったからです。
芦田:私も小向さんと同じように、実際にモノが出来上がる過程を見たいということと、多くの人と関わる仕事がしたいという想いで生産技術者を選びました。三菱重工に入社した理由は、やはりスケールの大きなものづくりができること。そして、電力インフラという社会貢献性や大手企業の安定性、また、地元である兵庫県に拠点があることも決め手の1つになりました。
これまで国内でのキャリアに加えて海外駐在も経験していますが、成長を感じた点を教えてください。
小向:2年間アメリカに駐在して大きく視野が広がりました。日本と比べて頼れる人が少ない中で、先を見通して自ら解決していく力がつきました。またアメリカで人を動かすには、明確なエビデンスにもとづき、論理的に伝えることが求められます。相手を納得させるコミュニケーション力も鍛えられたと感じます。
芦田:国内拠点での10年間を通して、要素技術から製品、設備導入、工程管理、コスト管理などあらゆる経験をしてきたので、幅広い知識が付きました。2年間の中国駐在時には、日本とは異なる「結果重視」の文化を肌で感じました。グローバルな仕事をするには現地の考え方を理解しなければならないという学びは、帰国後も海外拠点と連携する上で活きています。
キャリアを重ねて、仕事への向き合い方はどう変わりましたか?
小向:現場での一担当者時代はプロジェクト完遂がやりがいでした。マネージャーになると視点が広がり、部下の成長やチーム全体の成果に、より大きな喜びを感じるようになりましたね。
芦田:私もマネージャーになってからは、市場の需要増に応える設備投資など、長期的な視点で組織の成果を考えるようになりました。年間を通じて結果を出せた時は達成感があります。
部下とは、年に1回のキャリアを相談する面談で、自身が描く将来像を聞き、個人の適性や希望を踏まえ、スペシャリストになるのか、もしくはジェネラリストを目指すのかなどを検討し、柔軟にアサインを行っています。
小向:良い意味で、他の人と同じ道を歩むことはないですね。部内外の異動が伴うこともありますが、その頻度なども個人に合わせて考慮され、それぞれのキャリアを描くことができます。
拡大期の今、働きやすい環境で新たな挑戦を。外からの視点が組織をさらに進化させる
働き方や職場の雰囲気について教えてください。
小向:生産技術職ではフレックス制度が浸透しており、勤務時間の調整はある程度個人の裁量に任されています。
休暇については、通常の有給休暇のほか、「ショートバケーション休暇※」という連休取得を推奨する制度があり、私の係でも多くのメンバーが活用しています。
※長期休暇取得奨励を目的とした、2日以上の年次有給休暇と接続して取得可能な年1日の特別休暇
芦田:子育て中の社員も多く、保育園の送迎でフレックス出勤したり、家庭の事情で在宅勤務にしたりなど柔軟に働いています。祝日や大型連休もカレンダー通り設定されているため、家族との予定も合わせやすいですね。
小向:男性の育休取得も当たり前になっていますよね。そのため、誰かが休んでも業務が回るよう、チームでカバーし合う体制ができています。
チームを率いる立場として、今後の展望を聞かせてください。
小向:休暇取得の推進やモチベーション向上で働きやすい環境づくりに努めるとともに、新しいことにも挑戦して成果を出し、会社に貢献していきます。一方に偏ることなく、両方を高いレベルで達成することをめざしたいですね。
芦田:メンバーが自律的に動ける組織にしたいと考えています。上から言われたことだけをやる仕事はおもしろくないですから。もちろん必要なサポートは行いますが、メンバー自身が「これが必要だ」と考え能動的に動くほうが、満足感ややりがいも大きいはずです。
最後に、キャリア入社を検討している方へメッセージをお願いします。
小向:GTCC事業は拡大期にあり、ものづくりが好きでいろいろな経験をしたい方には最適な環境です。組立課は他部署や他拠点からのメンバーも多く、多様な人材が集まることで新しい視点や考え方が生まれ、私たちにとっても良い刺激になっています。皆さんが相乗効果をもたらしてくれることに期待しています。
芦田:私も同様の考えです。同じメンバーだけでいると、どうしても新しい視点が生まれにくくなりがちです。これまでの皆さんの経験や独自の視点こそが必要ですし、私たちもそれを受け入れる準備はできています。安心して新たな風を吹き込んでください。そして、共に良い組織をつくっていきましょう。