【GTCC事業部・設計】スペシャリストも、ジェネラリストも。技術者が語る、一気通貫した業務を通じて成長できる蒸気タービン技術部の魅力
※記載内容は2025年10月時点のものです
2008年にキャリア入社した道上 慎介。現在はGTCC事業部・蒸気タービン技術部で、新設発電所の蒸気タービンの入札・商談対応や若手育成に取り組んでいます。「蒸気タービンは、技術的に未開の領域がまだまだあります」と話す道上が、蒸気タービン技術の魅力と組織全体で進化するチームワークの在り方を語ります。
社会を支える発電技術。蒸気タービン技術部が挑む一気通貫のものづくり
100年以上におよぶ製品開発・供給の歴史を糧に、ものづくりとエンジニアリングで世界をリードする企業として数々のソリューションを生み出し続ける三菱重工業。その中で、世界最高レベルでクリーンかつ安定した電力供給に貢献している組織がGTCC事業部です。
「GTCCとは、Gas Turbine Combined Cycle(ガスタービン・コンバインドサイクル)の略で、高効率な火力発電方式のことです。空気と燃料を燃焼させて生じた高温・高圧ガスでガスタービンを回転させることで発電し、その排熱を利用して発生させた蒸気で蒸気タービンを回転させることで、さらに発電するシステムです。
2種類のタービンを『コンバインド』、つまり組み合わせることで複合的に高い発電効率を生み出す点が大きな特徴です」
そう語るのは、当事業部の蒸気タービン技術部で主席チーム統括を務める道上。このシステムが社会にもたらすインパクトは非常に大きいと言います。
「GTCC発電所は天然ガスを燃料とするクリーンで高効率な火力発電設備です。従来型の石炭焚き火力発電の効率は約40%でしたが、GTCCでは64%の効率を実現し、CO2排出量を約65%削減できます。
当社が取り扱う最大規模のGTCC発電所は、一般家庭約200万世帯分の電力を1セットで賄うことができ、横浜市の一般家庭全体をカバーできるほどの出力です。
また、蒸気タービンはGTCC発電所以外にも、原子力発電所や地熱発電所、バイオマス発電所など、さまざまな熱源の発電所に使用される重要な製品です」
蒸気タービン技術部は、全国5拠点で、密に連携しながら業務を進めています。
「製造は兵庫県高砂市、茨城県日立市、長崎県長崎市の3拠点。設計は、これに神奈川県横浜市と東京都港区を加えた5拠点で行っています。
大規模な組織のため、各グループ間の連携が非常に重要です。現在、幸いなことに旺盛な受注をいただいているため、業務量に応じて部内の人員配置を調整しています。以前は拠点ごとにやり方が異なる部分もありましたが、近年は共通のやり方に揃えることで技術交流を促進し、効率的な連携を実現しています」
蒸気タービン技術部には数百名が在籍し、商談対応、計画設計、生産設計などを所掌する十数のグループに分かれています。同部は商談の初期対応から製品引き渡しまで一気通貫で担当しており、幅広い業務に対応するため、多くのグループがあるのだと言います。
「案件全体の流れとしては、お客さまから発電所建設の要望をいただいた時点から商談対応が始まります。その後、提案書や見積もりを作成して契約へと進みます。受注後は計画設計グループで蒸気タービンの基本設計を行い、続いて生産設計グループで各部品の図面を作成します。その間、お客さまからの各種問い合わせにも対応します。
設計完了後、製造部で製品の製造が始まってからも、建設時の試運転支援や性能試験など、お客さまへの引き渡しまで担当業務は続きます。さらに、これらの経験を次の新機種や技術開発にフィードバックしています」
お客さまの真のニーズを探る。蒸気タービン商談に求められる技術と調整力
蒸気タービン技術部で主席チーム統括を務める道上は、発電所向けの蒸気タービンに関する商談対応を担当しています。
「蒸気タービンは用途によって大きくカスタマイズされる製品で、高度な専門性が要求されます。蒸気を使ってタービンを回して発電するという基本原理は同じですが、その蒸気を作る熱源によって種類が分かれます。ガス、原子力、地熱、石炭など熱源によって求められる仕様や規格が変わるため、お客さまの要望も多種多様になります。
その中で、お客さまが求めるものを提供するのが大前提ですが、もちろん予算にも限りがあります。要望に応えすぎると予算との折り合いが付かなくなってしまいます。商談を成功に導くためには、技術力だけでなく、お客さまの真のニーズを理解するバランス感覚が欠かせません。要望を的確に汲み取りながら予算との兼ね合いを図り、理想と現実の間を調整していく能力が求められています」
約10名のチームを統括する立場として、道上がとくに意識しているのは若手メンバーの成長支援です。
「設計としてお客さまへ対面で説明すると、多くの気づきがあり良い経験が積むことができます。コロナ禍以前は対面で説明する機会が一定数ありましたが、コロナ禍以降はWeb会議が主流となり、若手が対面で経験を積む場は減ってしまいました。若手に経験の場をどうつくるかが課題となっています。
そのような環境の中で私がリーダーとして心がけているのは、答えを与えるのではなく、メンバー自身が考える力を育てることです。理想は、担当者が自分で解決まで持っていけること。そのため、正解を示すというより、適切なアドバイスを通じて若手の成長を支えることを重視しています」
日々の業務では、チームメンバーとのコミュニケーションをとくに大切にしています。
「当部署は、世界的な電力需要の増加に伴い、ありがたいことに多くの案件があります。そのように忙しい状況だからこそ、チームメンバーには普段から声をかけるようにしています。日常的な声かけを通じて、チーム全体の状況把握と連携強化に努めています」
一つの性能が良ければ売れるわけじゃない。GTCCに必要な“総合力”という視点
道上が三菱重工業に転職したのは2008年。前職での経験を活かした判断でした。
「前職ではガスタービンによる発電所のサービスメンテナンスの仕事をしていたので、まずは発電所に関わる仕事をしたいと思い、転職を考えました。その中で三菱重工業と出会い、長崎にあるサービス部を希望して入社しました」
入社後は長崎でアフターサービスを担当していましたが、1年後に蒸気タービン技術部への異動が決まります。
「当時は蒸気タービンのアフターサービス拡販を担当していたため、まず蒸気タービンのことを学ぼうということで蒸気タービン技術部に移ることになりました。
蒸気タービンはガスタービンと同じタービン(回転機械)でも技術はまったく異なるため、前職で携わってきたガスタービンとまったく関係ない新たな環境でキャリアを積むことになりました」
こうして、現在の蒸気タービン技術部で15年以上にわたり、蒸気タービンの入札対応を中心にキャリアを積んできた道上。中でも最も印象深い経験は、海外でのトラブル対応だと言います。
「海外に納品した蒸気タービンで大きなトラブルが見つかり、お客さまと交渉するために2〜3年ほど現地に通いました。発電所ごとに運転条件が異なるため、お客さま一人ひとりに合わせた対応が求められる大変な業務でしたが、今思うと非常に良い経験になりました。
さまざまな部署で構成されたチームで各地を回りながら、どう説明すれば納得してもらえるか、なぜトラブルが発生したのかを理解してもらうためにはどうすればよいのかを考える。技術的な説明だけでなく、お客さまの立場や状況を理解することの重要性を痛感しました」
道上はこの経験から、技術だけでなくチーム全体の連携と総合力の大切さも学んだと言います。
「GTCCというのは巨大な複合設備であり、関わる組織も大規模です。蒸気タービンの性能が良ければ売れる、悪ければ売れない、という単純なものではなく、ガスタービン、蒸気タービン、発電機がそれぞれバランスよく最高のパフォーマンスを発揮して初めて事業が成り立ちます。
どこかの部署だけが優れていても受注できるわけではなく、チーム一丸となった総合力こそが非常に重要だと考えています」
時代も環境も変わるからこそ生まれ続ける。変化に応じて進化する蒸気タービンの魅力
長い歴史を持つ蒸気タービンの技術について、道上はその魅力を熱く語ります。
「蒸気タービンは、1908年に当社が日本国内で初めて製作して以来、長い歴史を持っています。CO2削減に向けた技術開発には終わりがなく、未踏の領域も多くあります。技術開発を通じて社会に大きく貢献できる点が、この仕事の大きな魅力です。私も、蒸気タービンに関わる前は『洗練された技術』だと感じていましたが、実際に関わるとまったく異なる奥深さに気づかされました。
時代や環境によって求められる要素は変化します。さまざまな発電所があり、世の中でどの技術がより求められるかは簡単に読めません。それでも、そうした変化を読みながら新しい蒸気タービンを開発していく難しさ以上のおもしろさを感じています」
三菱重工の蒸気タービン技術部の強みについても語ります。
「一つの部門でこれほど大きな設備を一気通貫で担当できる環境は少なく、多様な経験を積むことができます。年に1回のキャリアを相談する面談では、自分が描く将来像を伝えると、それに沿った支援を受けられる点も大きな強みです。蒸気タービンの別のフェーズに挑戦することも、他部門で経験を積むことも可能です。逆に、他部門から蒸気タービン技術部に来る方もいます。国内5拠点にメンバーが配置されているため、勤務地の希望が叶いやすい点も特徴です。
スペシャリストとして技術を深めることも、ジェネラリストとして幅を広げることもできる。会社の中で、自分の意思でキャリアを選べることが、この部門の大きな魅力ですね」
チームリーダーとしての今後のビジョンも語ります。
「どの会社でもそうですが、一人でプロジェクトを抱え込む場面は多いものです。抱え込むことで進む方向を間違えるリスクもあります。だからこそ、メンバーの一人ひとりに声をかけ、状況を共有しあえるチームを作っていきたいと思っています」
最後に、転職を検討している人々へのメッセージです。
「転職経験から言うと、まずは飛び込んでみることが大切です。勇気は必要ですが、実際にやってみると思った以上に良い経験が得られます。仕事が合うかどうかは入ってみなければわかりませんが、私は自分に合った仕事に出会えました。
当社であれば、さまざまなキャリアに挑戦できる環境があり、努力する価値は十分にあると思います」