【GTCC事業部・プラント設計】グローバルな電力インフラを支える挑戦者──プラント技術部長が描く三菱重工の未来
※記載内容は2024年11月時点のものです
環境への負荷が少ない火力発電として知られるGTCC。根本 直亮はそのプラント設計を担うプラント技術部長として、300人以上のエンジニアをマネジメントしています。プラント事業に魅せられて、長年設計やマネジメントに携わってきた根本がプラント事業の魅力やグローバルに働くおもしろさについて語ります。
世界の電力需要を支える縁の下の力持ち。三菱重工が描く持続可能な未来への挑戦
三菱重工業株式会社(以下、三菱重工)のエナジードメイン GTCC事業部 プラント技術部。世界の電力需要を支える大規模な発電プラントの設計を手掛ける部署で、根本は部長として8課、300人以上のエンジニアを率いています。
「私たちが手掛けているのは、ガスタービンコンバインドサイクル(GTCC) 発電プラントと呼ばれる火力発電所を建設するプロジェクトです。プラント計画部で受注した案件を引き継ぎ、主機と呼ばれるガスタービン・蒸気タービン・発電機本体を除く、プラント設計のほぼすべてを担当。機械系、電気系、電子系と幅広い分野の設計を一手に引き受けています」
根本は世界におけるGTCC事業の立ち位置についてこう語ります。
「前提として電力需要は世界的に右肩上がりです。とくにAIの進展に伴い、データセンターなど新たな需要も生まれています。
そのような中でGTCCは、非常に重要な役割を担っています。発電にはさまざまな手段がありますが、原子力発電は出力一定運転が基本であり、再生可能エネルギーは天候等に左右されます。その中で、需要に合わせて発電量を容易に調整できるGTCCは電力の安定供給に欠かせない存在なのです」
さらにGTCCは従来の石炭火力と比べて効率がよく、環境への負荷も少ないと言われています。
「今注目されている水素やアンモニアといった脱炭素エネルギーとの親和性も非常に高いです。将来的には再生可能エネルギーで発電した電力で水素やアンモニアを作り、それをGTCCで燃焼させて発電する。そんな使い方も可能です」
世界のインフラを支える重要な役割を果たす一方、事業部の雰囲気は柔らかいと言います。
「三菱重工は古い歴史を持つ会社ですが、GTCC事業はその中では比較的若い事業です。組織もフラットで、上下関係なく活発なコミュニケーションが行われています。役職名をつけずに『〇〇さん』と呼び合う文化も定着していて、私自身、上司や同僚からは『ねもっちゃん』と呼ばれることが多いです(笑)」
ものづくりという共通点でつながる仲間。建築系出身者が語る重工業界での成長と挑戦
建築系の学科を卒業後、多くの同級生がゼネコンに就職する中、根本は異なる道を選びます。
「当時の時勢などもあり、とある重工業系の企業に就職しました。重工業のおもしろさに気づいたのは入社後ですね。いろんな製品を作っている人たちが、ものづくりという共通点でつながっていて、お互いの事業をリスペクトしている姿が素敵で。事業としてもさまざまな製品がある分、それぞれが支え合えるという点がすごくよいと感じました」
中でも根本は、早い段階でプラント分野に魅力を感じたと言います。
「プラントは電気、機械などさまざまな分野の知識が必要な技術の裾野の広い製品で、どちらかというと専門性というよりは広範な知識を要する仕事です。でもその分、いろんなことを知れる、いろんなことを見られるというところが魅力でした。実際に自分のやった仕事の成果を実感できた瞬間が楽しく、のめり込んでいきました」
環境プラントに10年ほど携わった後、より大きな挑戦を求めて三菱重工への転職を決意します。
「環境プラント業界の変化や自身の年齢的な節目も考慮して転職を決意しました。前職では環境プラントで小規模な発電を経験していましたが、三菱重工の発電プラント事業はより規模が大きく、私にとってメジャーリーグのような存在。ダメ元で挑戦してみたところ、運よく受かったというのが正直な感想でした」
2006年、三菱重工に入社。配属されたプラント技術部では、OJTを中心に新しい分野の知識を吸収していきます。
「教育マニュアルというようなものよりは、実際に仕事をやりながら覚えていきました。当時から事業部内の風通しが良かったこともあり、キャリア入社でも壁を感じることなく業務に邁進できましたね。配属された部門がプラント技術部の中でもプロジェクトを牽引するような部門だったので、『発電プラントでプロジェクトマネージャーをやっていきたい』という思いが早くに芽生えました」
入社後すぐに海外案件を任されるなど、新しい環境での挑戦が始まります。
「前職では国内事業しかやっていなかったので語学力に自信がなく、入社当初はお客さまの仕様書を読み込むのにも苦労しました。入社して数カ月で『海外出張に行ってください』と言われたことも驚きましたね。
しかし、海外事業を経験していく中で次第に英語も身につき、今では業務はもちろん、プライベートで海外旅行に行くことも楽しみになりました」
業務に関わる中で社内の雰囲気にも馴染んでいったと言います。
「歴史ある三菱重工ならではの文化もあり、初めは興味深かったです。たとえば当社ではメール等で自分のことを『下名(かめい)』と言ったりするんですが、そんな『三菱用語』にも自然と慣れていき、いつの間にか普通に使うようになっていました」
スペインからエジプト、オランダへ。世界を身近に感じる、エンジニアの越境ストーリー
三菱重工へ入社後、根本が最初に携わったのはスペインのGTCC案件。その後、エジプトとオランダの2つのプロジェクトを経験します。とくにエジプトのプロジェクトでは、入社2年目という早い段階で重要な役割を任されました。
「入社して1年経った頃にプロジェクトエンジニアとして、設計の取りまとめを任されました。しかもプロジェクト開始から1年後、チームを組んでいたプロジェクトマネージャーが引退することになり、私がその役割を引き継ぐことになったのです。
入社2年目でマネージャーを任される重圧もありましたし、とにかく苦労したことを覚えています。現地で次々と問題が発生し、時にはお客さまと口論に近い打ち合わせをしたり、工程が遅れてなかなか帰国できない日々が続いたり。ただ、最終的にはお客さまとも信頼関係を築くことができ、プロジェクトをまとめる感覚を養えた貴重な経験になりました」
その後携わったオランダの超大型プロジェクトでは、再びプロジェクトエンジニアとして設計を担当。ヨーロッパならではの厳しい要求に直面します。
「ヨーロッパは文化的に独特で、いわば完璧主義なんです。それまでは勢いで乗り切れた部分も納得いくまで説明を求められて説明力が身につき、技術面での成長を実感できました。エジプトとオランダ、2つの地域での経験が今の私の土台になっていると感じます」
部署異動や役職の変化を経験しながらも、一貫してGTCC事業に取り組んできた根本がこの仕事のやりがいを語ります。
「1つは発電所という人々の暮らしに欠かせないものを作れることですね。先日若手社員の結婚式に呼ばれて挨拶をしたのですが、『数年後には彼が作ったプラントが皆さんの家庭に電気を届けることになります』と話したら、会場からおおっという反応があって。社会的意義の大きい仕事ができるのは、この仕事の魅力の1つだと思います。
もう1つは、グローバルな活躍ができることです。この仕事を始めるまでは、『海の向こうの世界は遠いもの』と思っていましたが、さまざまな国や地域で仕事をした今では少し世界が小さく、より身近なものに見えるようになってきました」
多様なバックグラウンドが織りなす強さ。キャリア採用が広げる三菱重工の可能性
プラント技術部の部長として数多くのエンジニアをマネジメントする根本。組織づくりにおいて最も重視しているのは、コミュニケーションと協調性です。
「プロジェクトの規模が大きく、小さい案件でも100億円近く、大きい案件だと1000億円を超えるようなプロジェクトになります。そのため、大人数でのチーム運営が必要不可欠です。私の仕事は職場の中の雰囲気を意見の言いやすい、風通しのよい職場にしていくことだと考えています」
その一環として、2023年は40歳以下の全社員と1on1ミーティングを実施。100人以上という大人数でしたが、普段聞けない話を聞くことができ、実りある時間だったと言います。
「1on1を通じて、若手社員のキャリアビジョンが大きく変化していることを実感しました。以前はプロジェクトマネージャーや管理職をめざすことが一般的でしたが、今の若い人たちは必ずしもそうではありません。特定の技術分野を極めたい、あるいはワークライフバランスを重視したいという価値観の人も増えているため、職場の運営もその方向に舵を切っていかなければならないと感じています。
一方で、そういった価値観や属性の多様性を組織の強みにしていきたい気持ちも芽生えました。たとえば女性社員ももっと増やしていきたいですし、キャリア採用を通じてさまざまなバックグラウンドを持った方に来ていただきたい。プロパー社員だけでは作れない強さが、多様な人材によって生まれると感じています」
社員の育成についても、部長としての志を語ります。
「仕事というものはともすればルーティン化しがちですが、私は常に自らの頭で考え、行動できる社員を育てていきたいです。とくにこの高砂製作所は、広大な敷地の中でGTCCに関する開発、設計、製造、検証といった一連のプロセスが完結しているので、新しい知見もどんどん入ってきます。
『今までこうだったから』と決めつけるのではなく、『本当にこれは必要なのか』『もっとよい方法があるのではないか』と常に考え、本質を見極める力を持ってほしいですね」
根本自身も、これまでの経験を活かしながら新たな挑戦を続けていく考えです。
「今は部長職に従事していますが、将来的には再びプロジェクトマネージャーとして、最前線で一つのプロジェクトに専念してみたいとも考えています」
最後に三菱重工に向いている人材について、メッセージを述べます。
「ものづくりが好きな人、社会への貢献を重視する人に非常に向いています。GTCCだけでなく、ロケットや航空機、船舶などさまざまな製品に触れる機会があり、そういった環境を楽しめる人には最適です。
またチームでの協働が重要なので、みんなで仕事をすることを楽しめる人に向いています。出身大学による学閥は一切なく、学歴による差異もありません。多様な業界からの転職者が活躍していますので、臆することなくチャレンジしていただきたいと思います」