立ち上げた事業を「最後まで見届けたい」。新規事業をお客さままで届ける開発者の想い
※記載内容は2025年6月時点のものです
2023年にキャリア採用された奥村 将徳。前職でモーターの開発に携わった経験を活かし、三菱重工の成長推進室で社内製品向けモーターや移動体向け推進機の開発に携わっています。新しい事業を生み出していくことに楽しさと難しさの両方を感じているという奥村が、入社の経緯や仕事のやりがいについて語ります。
小さなチームで大きな未来を描く。移動体向け推進機事業開発に挑む三菱重工の成長推進
三菱重工業株式会社(以下、三菱重工)の成長推進室・電化新事業プロジェクト室で新規事業開発に取り組む奥村。現在は、移動体向け推進機の事業開発を主軸に、複数のプロジェクトを並行して進めています。
「部署名の通り、電化関連で新規事業を立ち上げることが私たちのミッションです。私自身は現在主に移動体向け推進機のプロジェクトを担当していますが、チームとしては船舶向けの電化関連事業なども検討しています。
私の所属するプロジェクトは担当者2人とサポートメンバー1〜2人という小規模なチームで進められています。当社にある総合研究所と連携しており、総合研究所で技術開発を、成長推進室でビジネスモデルや事業体制の検討を行う形で協力してプロジェクトを進めています。
現在は推進機関連技術や、競合他社の製品と比較した際のMHIの強みを検討している段階です。他社製品との技術的な差別化は難しい面がありますが、当社は無人機や機体の開発も行っているため、単なるコンポーネントメーカーと比べて、機体に合わせた設計がしやすいという強みがあります」
奥村自身の業務は1日2〜3時間程度の打ち合わせに加え、その内容へのアクションやビジネスモデルの検討が中心となっています。
「事業化に向けた体制構築やビジネスモデルの考案などを行っています。外部の方との関わりもありますが、現時点では事業化前の段階のため、主に総合研究所の技術検討メンバーとディスカッションレベルでのやり取りが中心です」
このような業務を進める上で、奥村がとくに大切にしていることとは──
「私が取り組むプロジェクトは1人ですべてを進めることは難しく、主に総合研究所のメンバーに協力してもらう必要があります。そのため、プロジェクトに関わるメンバーが皆気持ちよく働ける環境づくりを意識していますね。
たとえば開発にかかる予算は成長推進室側が出すことが多いのですが、だからと言って一方的な指示をするのではなく、相手の意向もしっかりと確認し、双方にとってよい形で進められるようコミュニケーションを取ることを意識しています」
開始から完成まで関われるやりがい。三菱重工で見つけた技術者としての充実感
大学を卒業後、研究開発の道を歩み始めた奥村。前職では、モーターに使用する材料の評価やモーター設計業務に携わりました。
「最初の3〜4年は研究所で基礎的な材料評価を担当していました。新しい材料を使う時にどういう評価をしたらいいのかという検討や、モーターに使う材料の評価が主な仕事でした。
その後、開発部門へ異動し、モーター設計を担当していたのですが、途中から会社の方針に違和感を覚えるようになり、転職を決意。前職ではOEMから仕様が送られてきて、いかにそれにマッチした安価な製品を作るかというところが主な開発の方針でした。
しかし、徐々にシステム全体や完成品、いわゆる母機に関わる部分をやっていきたいと思うようになりました」
さまざまな選択肢がある中で、三菱重工を選んだ理由についてこう語ります。
「自身の専門分野に強い企業に行くのではなく、これからこの分野に力を入れていこうとしている企業に入りたいと思っていました。三菱重工はモーターなどの電気関連に対してまだまだ伸び代がある企業なので、自分の知識や経験を活かしてのびのびと仕事ができるのではないかと思い、入社を決めました」
2023年に入社後、まずは社内製品向けモーターの開発に従事します。
「もともと他社に委託していた分野でしたが、協力会社の撤退に伴い、社内である程度できるようになっていかないといけないということになりました。このプロジェクトでも総合研究所と協力し、設計段階から製造プロセス、品質保証プロセスまで関与。三菱重工の総合研究所で行われている開発の質の高さに驚きました。
2024年度には1台目の評価が完了し、無事社内の事業部へ納入できました。モーターはできあがりましたが、車両としてはまだ組み上がっていないので、実際に動いているところを早く見てみたいですね」
入社後の印象については以下のように語ります。
「電気関係の専門家が少ないので、1つの製品に対して自身の関わる範囲が広く、初めから最後まで関わっていけることに仕事としてのやりがいを感じました。
一方で前職と比較すると、関わる人の数が桁違いに多いので、初めはコミュニケーションの取り方に苦戦しましたね。2年勤めて少しずつわかってきた部分もあれば、余計わからなくなったところもあるなと感じます(笑)。人によって言葉の受け止め方はそれぞれなので、日々工夫しながらコミュニケーションをとっています」
市場がまだ存在しない領域での挑戦。「ワクワク」を原動力にする移動体向け推進機開
社内製品向けモーターの開発と並行して、2024年から現在に至るまで移動体向け推進機の開発にも携わってきた奥村。市場がまだ存在しない領域での新規事業開発には、常に不確実性が付きまといます。
「技術的な検討以前に市場形成の可能性自体を問われることが少なくありません。つまり個別の技術開発を進めても、そもそも市場が来るのか来ないのかという根本的な議論になってしまうことも。『これまでの検討に意味がなくなってしまうかもしれない』という不安は常にあります」
そんな不確実性の中でも、奥村は技術開発への情熱を失っていません。
「それでも、技術的に新しい挑戦がうまく行くとやはりワクワクします。最近では、昨年度検討していたモータータイプでは思ったほど軽くならないことがわかり、新しいタイプの検討を研究所に依頼しました。自分が思った通りの軽量化が実現できそうな見通しが立ち、自分が思い描いていた方向にことが運びそうでうれしく思いました」
また入社から2年を経て、仕事の進め方にも大きな変化が生まれています。
「入社当初は自分でなんでもやってしまおうと思っているところがありました。しかし当社には総合研究所があって、技術的に優れている人がたくさんいます。そこで今は総合研究所のメンバーに任せることも大切だと思えるようになりました。
実際、1人の限られた経験や知識だけでなく、複数のメンバーの多様な視点を活用できるようになったことで、アイデアの幅も広がっています。自分だけの経験や知識だけでなく、いろいろな人の見方を交えることでより多様な発想に結びつくことを楽しく感じています」
加えて仕事の性質にも変化が見られ、おもしろさを感じる瞬間があると言います。
「前職ではお客さまの要望通りに製品を作ることがほとんどでしたが、現在は自分で『こういう時代が来るのではないか』『こういうものを作ったら売れるのではないか』とゼロから考えて形にしていく仕事が多く、これまでとは違った刺激を受けています。
もちろん自分が考えた提案が通らず悔しい思いをすることもありますが、大きなお金が動くことなのである程度覚悟はしています。とはいえ、もう少しだけ通してもらってもいいのではないかと思うこともあります(笑)」
「自分で考えて動ける」人材が活躍できる環境──新規事業開発に必要な資質とは
三菱重工の成長推進室で働く奥村にとって、自社の大きな魅力は製造現場の近さにあります。
「前職はファブレスで国内に工場がなかったのですが、三菱重工では工場が近くにあり、自分が開発したものを実物として見ることができます。これは大きな魅力だと感じています。
また成長推進室ならではのおもしろさもあります。当部署は三菱重工の中でも特殊で、工場や事業部に直結せず、スタートアップのように暗中模索の中走り続けるような雰囲気です。そのためお客さまや上司から明確な指示があるわけではなく、プロジェクトをすべて手探りの状態で進めなければなりません。
これは当部署の『おもしろさ』とも言えますし、一方で『難しさ』でもあります。私自身、アイデアが湧かない時は別の作業をするなど、考えが整理できるまで置いておくようにしています」
おもしろさと難しさの狭間で業務に邁進する奥村。今後の展望について、事業開発に対する強い思いを持っています。
「移り変わりの早い成長推進室に2年も勤めていると、部署内ではだいぶ古株になっていきます。入社当初は社内製品向けモーター一筋でやってきましたが、今は移動体向け推進機開発以外にも、電力変換器や半導体関連などさまざまなプロジェクトを任されるようになり、より多くのことを期待されているなと実感しています。
そんな中で私がめざすのは、いずれかのプロジェクトで新規事業を立ち上げ、その事業が成り立っていく姿を最後まで見届けること。新規事業を立ち上げたら、また次の新規事業に移るというやり方もありますが、私自身は立ち上げた事業を形にして量産し、たくさんのお客さまに届けるなど、自分が立ち上げた事業を大きくしていく過程にも関わっていきたいと思います」
最後に成長推進室で活躍できる人材像について、奥村が思いの丈を語ります。
「当部署には定型業務があるわけではないので、まずは自分で考えて動けることが一番重要だと思っています。また大きなプロジェクトに関わる分、ほとんどの業務が1人では完結できません。
そのため他者としっかりコミュニケーションをとり、協力し合って働ける方なら、きっと活躍できると思います」