歴史と革新が織りなす三菱重工の挑戦。成長推進室で輝くロケットエンジニアの世界
※記載内容は2024年12月時点のものです
三菱重工業株式会社(以下、三菱重工)を代表する製品の1つであるロケット。その設計に長年携わった経験を糧に、現在成長推進室で活躍しているのが青山 太一です。「自らのチャレンジする姿で周囲を活気づけたい」と語る青山に、これまでの歩みや成長推進室の環境について聞きました。
ロケット開発で培った総合力を未来へ──三菱重工の宇宙事業における新たな挑戦
三菱重工の成長推進室 事業開発部 モビリティ・インフラグループに所属する青山。宇宙事業における新規事業開発に取り組んでいます。
「私たちは、当社グループが持っている多様な事業・技術基盤を活用し、市場全体を見渡して調査・分析を行い、新しい事業の芽を見出し育てていく役割を担っています。
インターネットでの情報収集はもちろん、社内やメーカー・社外専門家との対話やカンファレンスへの参加を通じて、三菱重工として何をすべきかを考えています」
3人という少数精鋭のチームで、毎朝ミーティングを実施。市場調査や分析を分担しながら、活発な議論を重ねています。
「三菱重工の強みは、総合システムの構築力と大規模プロジェクトの遂行力。ロケットも1社だけでは実現できません。コンセプトを作るところからミッション成功の瞬間を迎えるまで、多くの関係者との議論や調整を積み重ね、確かな技術力と成功させたい想い・実行力を結集することによってようやく1つのものが完成します。この総合システムインテグレーションが、私たちの強みと考えています。
その強みをどう活かすか、私のチームでは、現在、第二の宇宙事業を検討しています。新たな製品・サービスのアイデアを事業として立案し、軌道に乗せるためにはさまざまな工夫が必要ですが、機会を逃さないよう、スピード感を持って進めることを大切にしています」
社内外のステークホルダーと協力して新たな事業を作るにあたって、青山は以下の価値観を大切にしています。
「意思決定のプロセスと決定権者を重視しています。社内外の誰と協力するべきか、いつ、誰が、何の情報に基づいて何を意思決定するのかを意識し、着実に物事を進められるようフローを組み立てていますね。
また、長年ロケットの設計部門に所属していたこともあり、データをよく見ることには気をつけています。ロケットは打上げ後には実物を確認できないですし、打上げ前の地上にいる時ですら近づけないことが多々あり、データに基づく考察が重要であると教わってきました。
今の職場でも、できる限り多くの情報を集めつつも、文字通り『穴が開くほど』データを見つめて、物事の本質を捉えていくことを心がけています」
学生から一流のロケットエンジニアへ。三菱重工が教えてくれた技術者の成長と喜び
学生時代から漠然と「ロケットを作りたい」と思っていた青山。就職活動では、他の企業には目もくれず三菱重工だけを希望しました。
「もしも不採用だったら大学院に進もうと腹を括って、三菱重工だけに応募しました。会社説明会で、実際に働いている人の『ロケットの打上げ成功の瞬間の喜びは何にも変えられません』という言葉を耳にし、『ここに入るしかない!』と確信したことを今でも覚えています」
その強い思いが通じたのか、2005年に晴れて入社、当時の「宇宙機器技術部」に配属されます。当時はH-IIAロケットの運用とH-IIBロケットの開発が同時進行していた時期。青山は推進系システムの担当として、開発業務に携わることになります。
「燃料タンクとエンジンを結ぶ配管やバルブなどのコンポーネント開発を担当しました。またそれらのコンポーネントをどのように配置するかのシステム設計を行い、飛島工場や種子島でのロケットの整備作業における技術評価も担当していました。
入社当初は先輩方に圧倒されました。何かトラブルが起きた時も、すぐに集まってあっという間に解決策を見出していて。知らない単語が飛び交う中、『学生と社会人ってまったく違うんだな』とギャップを感じました。
大学では機械工学を勉強していましたが、ロケットについての専門的な知識はありませんでした。そのため、経験するすべてが新鮮でおもしろかったです。これだけ大規模な製品でありながら、こんなに細かい部分まで気を配って作らなければならないのかと。とても大きな精密機械を作っている感覚でしたね」
宇宙機器の開発に携わることは、苦労と喜びの連続だったと語ります。
「種子島に新しい設備を作るプロジェクトでは、予算もスケジュールも厳しい中、協力会社の方と共に休日返上で取り組んだことを覚えています。作業期間中は緊張感漂う雰囲気になったり先が見えずに途方に暮れたりした時期もありましたが作業が終わった時に『青山さんと一緒に仕事ができてよかった』と言っていただけたことが、すごくうれしかったですね。
また会社説明会で聞いた通り、ロケット開発に携わる者にとって、打上げ成功は本当に最高の瞬間です。一つひとつの打上げに思い入れがあるので、成功するたびに嬉しいですし、関わった方々と共に喜べることが何よりの励みになりました」
幅広い経験を求めて飛び込んだ新天地
40歳という節目を迎えた青山。17年間のキャリアを振り返る中で、新たな思いが芽生えます。
「入社以来、同じ部署で同じようなことをやってきて、ある程度全体が見えてきた時期でした。社会人生活も折り返しに近づき、今の仕事を続けていくのが正解なのか、と悩むようになりました。小学生になった自分の子どもたちにも、ロケット以外の世界も教えられたら良いなとも。
ちょうどその頃、成長推進室への社内異動の話があり、新しい事業を考え育てる、という活動を通じて、幅広い目線、経験を積むことができると考え、異動を決断しました」
2024年10月に成長推進室に異動して、早2カ月。大きな環境の変化を経験し、学びの連続だと語ります。
「これまでと違って実際の製品を目の前で扱わないため、『図面に触れない』『現場がない』という点で、物理的に手足の動かし方が変わりました。
また、成長推進室は副社長直轄の部署ということもあり、経営層と直接話す機会が多いことも大きな環境変化です。私自身、異動して数カ月ですが、早速、事業案を経営層に向けて説明する機会があり、経営層が何をどう考えているのか、三菱重工が何をやるべきか、を直に知る機会が増えて新鮮です。
加えて刺激的なのは、同僚の多様性。成長推進室にはさまざまな部署出身の人やキャリア採用者が集まっています。考え方も仕事の進め方も違いますし、これまでの経験や知識など、いろいろな引き出しを持った方々と関われるので、日々学びがあります」
歴史と革新が共存する組織の姿。新規事業開発への挑戦を経て、さらなる高みをめざす
長年、三菱重工で働いてきた青山があらためて当社の魅力を語ります。
「一番はコミュニケーションが活発なことですね。非常に大きなものを作っているので、1つの製品を作るために社内外のさまざまな人が関わります。ゴールをめざして、自分の持ち場で責任を果たすことはもちろん、相手の領域にも一歩踏み込んで仕事をしていく。その環境が自然と創り出せているので、よい製品が生み出せるのだと思います。
また、多様な人がいるところも当社の魅力の1つですね。たとえば、前述の通り、私はスピード感を持って物事を進めていくことを大切にしています。ある程度仕上げたら前に進み、進んだ方向性がよくなかった時はすぐに引き返す。
一方で、社内には慎重に物事を考える人もいれば、違った側面から意見を出す人もいて。いざという時は誰かが止めてくれるので、ある意味安心して挑戦できるというか、そんなところも当社の魅力だと思っています」
また、働く環境についてもこう言います。
「私が経験した部署はどちらもデスクワークだったので、比較的柔軟に在宅勤務制度やフレックス制度を活用できました。同じチームのメンバーには、育児のために時差出勤する人や、中抜けする人もいました。
そのため、Web会議や社内SNSの活用など、オンラインでのコミュニケーションもフルに活用しているところが特徴です」
その自走力で成長推進室でも活躍を見せる青山が語る、今後の展望とは。
「常に新しいことに挑戦し、周囲に活力を与えられる存在でありたいですね。会社としてもこれまでの歴史を大切にしつつ、新しいことにも挑戦している会社なのだと思っていただけたらうれしいです。
また入社当初から『いつかロケットの打上げ執行責任者になりたい』という夢を抱えています。もし今後、前の部署に戻ることがあれば任せていただけるよう、今は幅広く経験を積んでいきたいです」