全社一丸となって「エナジートランジション」時代に挑む──船舶設計者の新たな挑戦
※記載内容は2025年11月時点のものです
船舶を通じて世界のエナジートランジションに貢献したいと考え、2024年にキャリア採用で入社した伊藤 祥大。入社当初は三菱造船のダイナミックでありながら計画的で緻密な仕事の進め方に大きな感銘を受けたと語ります。周囲の力も借りながら、入社早々活躍を見せる伊藤に三菱造船で働く魅力や今後の展望について話を聞きました。
温室効果ガス排出量ゼロの船造りにかける想い。三菱造船の環境対応型船舶の未来図
三菱造船株式会社(以下、三菱造船)マリンエンジニアリングセンター船舶技術部で船舶の基本設計とコンセプト設計を担当する伊藤。10人弱の機装チームで、アンモニア・メタノール燃料船やLPG運搬船といった代替燃料船を含む各種船舶 の設計業務に取り組んでいます。
「船舶の基本設計やコンセプト設計を行っています。お客さまから『こういう船を作りたい』というご要望をいただいた際に、その実現可能性を検討するコンセプト設計や、自社や他社の造船所で建造する船舶の基本設計を行っています。
船舶業界では、環境への配慮により従来の重油からLNG(液化天然ガス)への燃料転換が進んでいます。しかし重油からLNGへの燃料転換だけでは数十%のCO2削減にしかならず、各造船所で代替燃料船の設計を進めています。
三菱造船では、数多くのガス運搬船を建造してきた造船所としての設計全体を俯瞰した知見と燃料供給装置のメーカーとしての詳細な技術を組み合わせて、より安全で高効率な代替燃料船を設計することを目指しています。
私は機装チームの主担当として、メインエンジンとそれを動かすために必要な補機の性能設計を担当しています。1つのプロジェクトの期間は数カ月~半年程度であり、同時に複数の案件に携わることも少なくないため、1つのプロジェクトで得た経験を他のプロジェクトにフィードバックすることができています」
三菱造船の強みは、長年にわたる設計・建造の経験にあります。伊藤はその豊富な知見を活かしながら、日々の業務に取り組んでいます。
「三菱造船はガス運搬船のみならず、海洋調査船のような特殊船から客船・大型フェリーのような高密度艤装船までたくさんの種類の船舶を建造してきた経験があり、その経験や就航後のお客さまからのフィードバックが現在の強みになっています。
私自身はキャリア採用者なのでまだまだ豊富な経験はありませんが、上司や先輩方から引き継がれてきた知識を得て、設計に活かすことができています。とくに機装チームでは、チーム長や定年退職後のメンバーが技術リーダーやアドバイザーとして関わってくれており、わからないところはすぐに相談できる体制が整っているのでありがたいです」
仕事を進める上で大切にしているのは、わからないことを早めに相談することだと言います。
「自分ではわからないことやできないことは早めに把握して、周りに相談することを心掛けています。正直に伝えれば、どうしたらいいのかを上司が一緒に考えてくれるので心強いです。
もちろん自分自身で考えたり、行動したりすることも大切にしていますが、いざという時はすぐに相談して、周囲に協力を得る方が効率的に知識を得られることも多々あります」
洋上プラントから船舶設計へ──「大きいものを作る」夢を追い続けたキャリア
前職では海底油田から原油を汲み上げ、陸地で使える形に精製する浮体式プラントの設計・建造を行ってきた伊藤。大きいものを作る仕事に関わりたいとの思いで入社しました。
「前職では材料・腐食エンジニアとして、配管や機器の材料選定、配管・機器および浮体の防食・塗装の設計などを担当していました。仕事を通じて海の上にあんなに大きくて重いものが浮かんでいることに感動し、船舶への興味も深まっていきました」
転職を考えるようになった際、洋上プラントのエンジニアリングの経験を活かせる場所を探す中で、三菱造船の門を叩きました。
「三菱造船を選んだ理由はアンモニアなどの代替燃料への取り組みや、既存燃料のCO2削減技術である船上CO2回収システムの開発を積極的に進めている点です。社会が代替燃料に舵を切っても、これまで通り重油やLNGを使用することになっても、どちらにも対応できるコアとなる技術をしっかりと持っているところに魅力を感じました。
また若手社員も大きなプロジェクトに関わり活躍しているという話を聞いたことが、入社の決め手となりました」
入社前は「お堅い会社」というイメージを持っていましたが、実際に入ってみると印象は大きく異なったと言います。
「上司を含め社員が非常に親切で、私の些細な質問にも丁寧に答えてもらえる環境に感動しました。知識のキャッチアップについても、上司が業務を行うにあたって必要な項目をリスト化してくれて、オンジョブ・オフジョブ両面でサポートしてもらえました。
まだまだ学ぶべきことは多々ありますが、入社当初は先輩方が優しく教えてくれる環境に安心したことを覚えています」
入社からわずか2カ月後には実案件を任されるなど、着実にキャリアを重ねています。
「前職でも船の形をした浮体を持つプラントの設計・建造に関わっていたので、船舶設計や建造の基本的な考え方において活かすことができました。船の設計思想や建造手順の大枠は理解できていたので、新しい環境でも仕事に馴染みやすかったと感じています」
経験豊富な上司に支えられながら挑む「エナジートランジション」の時代
三菱造船に入ってもっとも衝撃を受けたのはプロジェクトの進め方だと伊藤は話します。
「三菱造船では、プロジェクトの初期段階から綿密な計画を立てることを重視している点に感動しました。実績に基づいて必要な作業を洗い出し、時間配分を決め、計画に従って進めていくのです。もし計画からずれが生じた場合は適切に修正を行い、再度計画を立て直します。
前職は『来た仕事を打ち返す』といった印象が強く、状況によってはタスクを取りこぼすこともありました。しかし、三菱造船に入ってからは体系的なアプローチにより、よりスムーズに、かつ漏れなく仕事を進められるようになってきている点で自身も大きく成長したと感じます。
そう聞くと『上司による細かな管理があるのではないか』と懸念する方もいるかもしれませんが、プロジェクトマネージャーや上司はマイクロマネジメントをするのではなく、各自が考えて行動することを求めています。最初の段階で十分に考え、実際の業務を想像することが重要視されています」
ただし、これは放任を意味するわけではありません。伊藤は謙虚にこう語ります。
「上司は豊富な経験を活かして必要な確認や助言をしてくれます。私が何か1つ相談すると、その10倍は想定していなかった観点からアドバイスをいただけるので、本当に心強いです。私が漏れなく仕事をこなせているのは自分の成長もありますが、ほとんどが上司のおかげではないかと思うほどです(笑)。
また、社内は若手社員も大きく活躍しているところが印象的です。私は30歳を過ぎてからのキャリア採用者ですが、新卒入社の20代社員も分け隔てなく大きなプロジェクトに携わっていて、年齢に関係なく様々な人が活躍しています」
現在の仕事の魅力について、伊藤は環境問題への貢献を挙げます。
「エナジートランジションという時代の中で、今後数十年の間で船舶の燃料がどのように変化していくか不確実な状況です。そんな中で三菱造船では、自分たちで考えて最適な設計を追求できることが大きな魅力だと思います。
各社が代替燃料船を開発している中で、三菱造船ならではの新しい技術の開発や設計に若手のうちから携わることができる点にやりがいを感じています」
「技術継承」への使命感──若手社員とベテラン社員をつなぐ架け橋として
三菱造船全体の魅力について、伊藤は以下のように語ります。
「まずは事業の視野の広さですね。前述の通りアンモニア燃料船などの代替燃料船の開発と、既存燃料船のCO2削減の両方に取り組んでおり、社会がどちらの方向に進んでも対応できる技術を持っているところが大きな強みだと考えます。
また働き方の面でも、フレックスタイム制度などワークライフバランスを重視した制度が整っています。私自身も子育てや家事との両立のため、勤務開始時間を早める代わりに定時前に帰る日もあります。また、週に1、2回程度は在宅勤務も可能です」
今後の展望について、伊藤は技術継承の重要性を強調します。
「現在の当部の課題として40代の中堅社員が少なく、若手社員とベテラン社員の二極化が進んでいることが挙げられます。また、ベテラン社員の多くがリソースマネジメントに時間を取られたり、定年退職してしまったりすることで、これまで積み上げてきた知識や経験を若手社員に残す機会が減ってしまっています。
そこで、私自身も上司から学べることはなんでも学ぼうと積極的に知識を吸収することを意識しています。加えて、これから入ってくる若手社員にとって少しでも働きやすい環境を作るために、代替燃料や技術開発について学んだことや自身で考えたことは、マニュアルや設計標準などによって後世に残していきたいと考えています。
日々の業務をこなしながら、考えてきたことを整理するのは大変ですが、少しずつでも前に進めるように頑張っていきたいですね」
最後に、三菱造船でどのような人材が活躍できるか、伊藤は次のように語ります。
「代替燃料船の設計にはまだまだ不明瞭な点や不確実な点が残っています。そのため、様々なインプットから自分なりの設計を追究できる方こそ、三菱造船で活躍できると考えています。他の人の考えをしっかりと聞いて理解し、それを自分の中で咀嚼した上で、自分で考えて仕事をして適切にアウトプットできる人が求められていると感じます。
私自身も他の人の意見を聞いた際はそれを鵜吞みにせず、その背景まで確認したり、話を聞く中でわからないことがあったらその場で確認するよう心掛けています。相手の話に丁寧に耳を傾け、自分で考えて行動できる人なら、きっと活躍できるはずです」