学び続けられる場所を求めて辿り着いた場所──三菱造船で叶える「ものづくりの夢」
※記載内容は2025年11月時点のものです
大学卒業後2024年に三菱造船株式会社(以下、三菱造船)へ入社した淺井 貴優。大学で学んだ船舶海洋工学の知識を活かしつつ、造船に必要なあらゆる知識も貪欲に吸収して日々邁進しています。幼い頃、家族旅行で目にした大きな造船所から、今や造船エンジニアになる夢をかなえた浅井。造船業の面白さ、そして今後の展望について語ります。
スコットランドで広がった視野。多様な専門性との出会いが育んだ造船への想い
幼い頃から好奇心旺盛な性格だったと語る淺井。家族との旅先での思い出がきっかけとなります。
「子供のころ、家族と旅行で訪れた街の大きな造船所で、まるで巨大な建造物のような船と、空高く並び立ついくつものクレーンを目の当たりにしたんです。
そのダイナミックで圧倒的な規模感に、全身に衝撃が走りました。『こんな大規模なものづくりに携わってみたい』という純粋な興奮と憧れが、造船に興味を持つようになった原体験です」
この「大規模なものづくりへの憧れ」から、大学では船舶海洋工学を学ぶことを決意します。
「大学での専門的な学びは、理論と実践が交錯するユニークなものでした。船の流線形デザインを手書きで描き、それを業務で使う設計ソフトで検証するなど、知識が形になっていくプロセスの面白さに夢中になりました。
また大学院では、海を航行する船に加わる力をシミュレーション上で正確に再現・解析する、船体の構造や強度に関する研究に従事しました」
そして淺井の造船への想いを決定づけたのが、修士1年生の時に参加した、スコットランドのサマースクールでの経験です。
「1カ月間スコットランドに滞在するプログラムで、洋上風車ファームや海底油田を掘削する設備など、日本の造船とは違う海洋開発の最先端の知識を学びました。
中でも強烈だったのは、そこで出会った仲間のバックグラウンドの多様さです。造船だけでなく、地質学や掘削工学など専門性がまったく異なる学生と交流し、それぞれの知識や技術観に触れられたのはとても刺激的でした。
一つの大規模プロジェクトが、多様な知識や技術の組み合わせで成立していることを肌で感じたんです。この経験から、幅広い知識を結集させる造船の現場で働きたいという想いが膨らみました」
大型フェリーから研究船まで幅広く手掛ける。多様な船づくりに携わる計画設計の現場
造船業界への就職を志すようになった淺井。その企業選びには、「造船エンジニアとしての夢」と「個人的な喜び」を両立させたいという、明確な軸がありました。
「技術力が高いことはもちろん、常に新しい挑戦をしている企業に入りたいと思っていました。そして、もっとも重視したのは『フェリーを作っている会社』かどうか。
ほとんどの船は引き渡すと乗客として乗る機会がありませんが、国内のフェリーなら、家族や友人を連れて自分が携わった船に乗ることができます。『これは自分が作ったんだよ』と話しながら旅ができたら、最高のモチベーションになると思ったんです。
この軸に合致したのが三菱造船でした。大型のフェリーや海洋調査研究船など、多種多様な船舶を手掛けていて『ものづくりを極めている』という印象に惹かれ、入社を決めました」
大きな期待を胸に入社した淺井でしたが、入社後は周囲のレベルの高さに圧倒されたと言います。
「入社当初は周りの先輩方が非常に優秀で、これから学ぶことが多くあることを痛感しました。船舶海洋工学を専攻していたので専門用語はすぐにキャッチアップできましたが、業務では船の性能や構造だけでなく、機関、電気、艤装品など、船に載せるあらゆる要素を幅広く知る必要があります。『もっと勉強しなければ』と日々危機感を持って業務に励んでいます。
一方で、職場の雰囲気は非常によく、安心した側面もあります。三菱重工グループはとても大きな組織ですが、私のいる下関造船所は従業員数が1,000人に満たない比較的コンパクトな事業所なんです。想像していた以上に柔らかい雰囲気で、温かく優しい人ばかりでした。先輩が積極的に声をかけてフォローしてくれるので、安心して仕事に取り組めています」
現在、淺井が所属するのは、マリンエンジニアリングセンター 造船設計部 計画設計課の計画チームです。ここでは、主に船の基本計画業務を担っています。
「私たちの課では、商談の段階から、船型や船内配置といった基本的な性能に関する設計を行っています。これらは、船の速力や積載量などにつながる重要な要素です。
念願のフェリーはもちろん、車を運ぶRORO船、船員養成のための練習船、各種調査船や研究船など、多岐にわたる種類の船を扱っているのが特徴です」
図面から実物へ──初めての「海上試運転」で感じた船づくりの感動
入社当初感じた自身の知識や経験の不足を補うべく、幅広い知識を得るために、事業所内のさまざまな専門性を持つメンバーのもとへ自ら足を運び、対面で教えてもらうよう心がけている淺井。仕事を進める過程では、周囲だけではなく他部門や専門領域のメンバーからの学びが多いと語ります。
「たとえば船を作る場合、私が所属する計画設計課が船型を決めます。私たちは速く走る船を作るために抵抗の少ない船型にしたいのですが、船の限られたスペースに機関室や居住区など多くの部屋を設ける必要がありますので、他の設計課と調整して船型を決めていくことになります。
多くの設計要素をバランスさせる必要がありますので、船づくりは自分一人の力ではとてもできません。多様な技術や知識を結集させ、最適解を目指してみんなで取り組んでいくことにやりがいを感じています」
さまざまなバックグラウンドや専門知識を持ったメンバーと共に知見を出し合い、つくりあげていく造船という仕事。学びの多い環境の中でもっとも印象深かったのは、初めて「海上試運転」に臨んだことです。
「これまで事務所で図面として見ていたものが、巨大な実物となり、海を走る。その光景には心から感動しました。試運転では、海上を走って船の速力を測ったり、船が真っすぐに走れるか、うまく旋回できるかということを確認したりします。
数日間にわたる日程で計測項目が多く苦労しましたが、実際に乗船することで天候や波が船にどう影響するかといった、机上のシミュレーションでは得られないリアルな手応えと学びが得られます。『自分が設計に関わった船が動いている』という実感がこみ上げる瞬間で、仕事の醍醐味を強く感じました。
私はまだ先輩の補助業務が多く、自身の担当船を持っていませんが、それでも実際に自分が携わった船で海上に出るととてもワクワクします。いつか自分の担当船で海上に出られたらきっと今以上に大きな感動を得られるのではないかと、期待しています」
「造船に携われる喜び」を胸に。探求心と成長意欲で挑む船づくりの道
仕事に向き合う淺井の根底にあるのは、学生時代から変わらない船舶への深い興味と探求心、そして「造船に携われる喜び」です。
「もともと船が好きでこの世界に入ったので、船そのものやさまざまな技術に対する尽きない探求心を大切にしています。船の性能や構造だけでなく、機関や電気など、知らない分野に触れるたびに面白さを感じ、それが日々のモチベーションになっています」
三菱造船で働く魅力は、「船に特化した環境」と「風通しのよい風土」にあると淺井は言います。
「三菱造船は船舶関連の事業を主体としているので、船を作りたい人にとってはたいへん恵まれた環境です。とくに私がいる下関造船所は、規模が大きすぎず小さすぎず、年齢や部署に関係なくさまざまな人とのコミュニケーションが取りやすいのが魅力です。
またフレックス勤務制度、在宅勤務制度、出産・育児関連諸制度なども整っており、無理なく働ける環境だと感じています」
今後のビジョンについて、淺井の目標は明確です。
「一般に、船の建造には基本設計から引き渡しまでに3〜4年ほどかかるのですが、必要なスキルがついたら最初から最後まで一貫して計画・設計に携わってみたいと思っています。
また、入社を決めた理由でもあるフェリーづくりに関わることも、もちろん目標のひとつです。フェリーは内部の構造が複雑で部品が多い船なので、作るのが難しい分、やりがいもひとしおだろうと今から楽しみにしています。2つの目標を達成するために、まずは毎日ひとつずつでもいろんな経験を積み重ねていきたいです」
そして、最終的にめざすのは、船づくりのすべてを見渡せる「統括的なエンジニア」です。
「プロジェクトリーダーを務める先輩方を見ていると、船の性能だけでなく、構造、艤装、機関、電気関係に至るすべてを取りまとめ、造船をリードしています。私も早く幅広い知識を身につけ、多角的な視点で船全体を見られるような、信頼される存在になりたいです」
幼い頃の憧れを現実に変えた淺井。幅広い知見を持つ造船エンジニアをめざす道は、これからも続いていきます。