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昨今の海事産業は、地政学・国際規制・各国の産業政策が複雑に絡み合い、まさに歴史的な転換期を迎えているようです。
昨年4月には、米国のトランプ政権が米海事産業基盤の再建に向けた大統領令を発令し、中国依存を低減する意図で造船能力強化・海事行動計画(MAP)策定の指示が下されました。
港湾設備への関税強化や中国建造船の入港料課徴などが実施され一時は相当な混乱が予想されましたが、その後同措置が1年間停止されたことで足元での混乱は収束しています。
しかし、米国は外国建造船への新たな手数料を検討するなど、国内造船業の振興を目的にした広範な政策を進めておりサプラチェーンに大きな構造変化をもたらす可能性があります。
また、昨年10月に開催されたMEPC臨時会合(*1)では、4月の第83回会合において基本合意していたGHG削減中期対策(NZF(*2))採択の1年延期が決議され、新燃料への転換の勢いが減速するとともに従来以上にお客様の省エネニーズが高まっているように感じます。
国内では、日本政府が2035年までに建造量を現在の約900万総トンから1,800万総トンへ倍増させる国家プロジェクト「造船業再生ロードマップ」を策定し、造船所や舶用機械メーカでの増産に向けた設備投資のニュースをよく耳にするようになりました。
以上のように、世界の海事産業は、脱炭素・供給網再構築・地政学リスク・国際規制の不確実性という前例のない多重変化の中にありますが、当社はこうした変化を“脅威”ではなく“変革の機会”と捉えています。
旺盛な需要に対する製造能力強化や高まる省エネニーズへの提案能力強化ならびに次世代製品の早期商品化を狙い、4月1日付で舵取機などの舶用補機事業を過給機事業部へ、新製品企画機能を有していた事業開発室をエネルギー環境機器事業部へ統合する職制改正を行いました。
詳細は本文をお読みいただければと思いますが、この職制改正により、刻々と変化・複雑化する事業環境においても、より的確にお客様のニーズを掴み、よりスピーディーにお客様のニーズに合った製品やサービスをお届けできるものと考えております。
今後も、良質な製品とサービスの提供を通じ、お客様に必要とされ信頼される会社であり続けることを目指し活動してまいりますので、引き続き三菱重工マリンマシナリの製品をご愛顧いただけますようよろしくお願い申し上げます。
(*1) MEPC臨時会合: 国際海事機関(IMO)の海洋環境保保委員(MEPC=Extraordinary Session of the Marine Environment Protection Committee)が、 通常スケジュール(年1~2回)とは別に、特定の緊急課題や重要な国際ルールの策定を加速させるために開催する特別会合
(*2) NZF:ネット・ゼロフレームワーク(Net-Zero Framework)