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海事産業の脱炭素化に向けた道筋 - Season 4 -

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COP26へ参加

三菱重工は、2021年11月に英国グラスゴーで開催されたCOP26 (国連気候変動枠組条約第26回締約国会議)に参加し、世界的な課題である気候変動対策への取り組みを紹介しました。
COP26では、環境省が主催する「COP26 ジャパン・パビリオン」に出展しました。
日本の最先端環境技術として、当社は「火力発電を脱炭素化する水素ガスタービン技術」および「CO2エコシステム構築への取り組みとCO2回収技術」について紹介しました。
三菱重工グループは、2040年カーボンニュートラル宣言である「MISSION NET ZERO」として、これまで培った技術やリソースを結集してエナジートランジション(低環境負荷エネルギーへの転換)に取り組み、将来のカーボンニュートラル社会実現に向けた挑戦を続けていくことを訴求しました。

三菱重工ブースを視察する岸田総理
MHI-MME 堀社長のCOP26におけるVideo Message

海事産業の脱炭素化に向けた三菱重工グループの取り組みに関して、COP26本会場に併設されたSustainable Innovation Forum 会議場にて、三菱重工マリンマシナリ(MHI-MME)の堀社長 並びに 三菱造船(MHIMSB)の北村社長 双方より、行動喚起 ”Call to Action” のビデオメッセージが紹介されました。
https://www.youtube.com/watch?v=WpGMGcQrXlE 

MHIMSB 北村社長のCOP26におけるVideo Message

ビデオメッセージでは、海事産業におけるカーボンニュートラルの達成に向けた長期的なビジョンと戦略について説明をしました。 CO2削減が待ったなしの状況下での短期的な対応として、すぐに提供可能な施策等を紹介しました。
環境意識が世界的に高まりを見せる中、海事産業では環境負荷が低いLNG燃料船の導入が進められています。LNG燃料はCO2削減効果がある一方で、LNG燃料中にあるCO2に比べて温室効果が高いメタンの一部が未燃のまま大気中に排気されてしまうメタンスリップが課題ですが、GHG削減の観点からメタンスリップ削減対策が進んできており、長期的にはカーボンニュートラル燃料への切り替えというシナリオが現実味を増してきています。
三菱重工グループとして、陸上と同様海事産業においても、世界に貢献してゆくことをアピールしました。

尚、COP26では、海事産業の脱炭素化に関する多くのイベントが行われ、11月8日には、「海事産業においてパリ協定を順守する為に何を成し遂げてゆく必要があるか」をテーマに海事産業並びに脱炭素化技術に携わる企業の代表が出席してパネルディスカッションが行われました。 2050年の目標達成にあたって2030年時点で、代替燃料に関する製造、貯蔵などのインフラ整備や技術導入がどこまで進められるのか、規制の役割は何か、更にはこれらに挑戦する先行者へのインセンティブ等をどう考えるべきかなどが討議されました。当社より欧州・中東・アフリカ三菱重工業株式会社(MHI-EMEA)の細見総代表が出席し、産業クロスセクトリアル及びグローバル的見地より、現時点で出来得る技術・システムの採用の重要性などを紹介しました。

MMMセンター, APM, MAN ES, Yara他とのパネルディスカッション後の記念写真
(左端がMHI-EMEA細見総代表)

Mærsk Mc-Kinney Møller Center for Zero Carbon Shippingに人員派遣

三菱重工グループは2020年より、海事業界の脱炭素化促進のための調査・研究機関「The Mærsk Mc-Kinney Møller Center for Zero Carbon Shipping:MMMセンター」 に設立パートナーとして参画しています。MMMセンターは、コペンハーゲンに本拠を置き、当社ほか戦略的パートナー 19社とナリッジパートナー8社との協業により、代替燃料とそのサプライチェーン並びに船舶搭載システムの新技術開発を中心に進め、2050年までに海事産業の脱炭素化の達成を目指して活動しています。2020年設立時点では15名でスタートしましたが、現在60名を超える組織となっており、来年初めには100名を超える大きな組織となる予定です。三菱重工マリンマシナリは、昨年春にMMMセンターに人員を派遣をすることになっていましたが、Covid-19 の影響でしばらくはリモートでの派遣を余儀なくされていました。Covid-19がやや収束したことを機に昨年11月、当社松下主幹がコペンハーゲン事務所に赴任 (三菱造船からの派遣者 佐藤次長も本年2月より赴任)しましたので、今号では現地の様子や活動を紹介します。

マースクゼロカーボンシッピング研究所

着任のご挨拶: 松下浩市ゼネラルマネージャー

昨年11月にMMMセンター(コペンハーゲン)に着任いたしました。2018年より欧州三菱重工業(株) 本社 General Manager としてロンドン駐在しており、イギリスに続いてデンマークでの海外勤務となりました。今冬は、デンマークでもCovid-19の患者数が著しく増加し、国民当たりの感染者数が欧州一となり、規制もありましたが、今年2月より規制も緩和されて、通常の経済活動が営まれるようになり、MMMセンターの活動も活発になってきました。 MMMセンターでは、燃料の製造から輸送まで、更には船上搭載技術に関する各社の技術者が集まり、脱炭素に向けた各課題に対し、各専門分野の知識を以て貢献するというスタイルで仕事をしています。

通常であれば、客先と供給者、又は競合先、パートナーという関係の各社技術者が集って協議するという光景は非常に不思議な感じですが、それだけ脱炭素という課題は、産業界全体の各分野の技術を集結しないと達成し得ない大事業であると感じます。技術的な課題だけでなく、仕組み作りについても脱炭素の船級も巻き込んで欧州の政府関係者にも働きかけも行っており、本センターには広報も様々な経験をもった人が集まっております。今後、各社と共に、脱炭素に向けたプロジェクトに取り組んでいく共に、当社の技術が脱炭素新事業創生につながるよう新天地での業務に邁進いたします。

MMMセンター内の様子