#22
WORK&
PERSON
INTERVIEW

世界最高峰の造船技術とともに、
さらなる高みへと向かう。

木本 亮
RYO KIMOTO
生産技術・管理
#造船 #交通・輸送
交通・輸送ドメイン
船舶・海洋事業部
下関工作部
船殻課
[2006年入社]
工学研究科海洋システム工学専攻修了
※内容は取材当時のものです

造船業務において、
どのような仕事を担当していますか。

造船の工程は、鋼板からブロックをつくり、それらを組み立てて一隻の船にする船殻と、エンジンや機器を設置する艤装と大きく2つに分けられます。私が担当しているのは船殻で、大きなクレーンでブロックを運びながらの大規模な建造風景はかなりダイナミックです。
建造の手順は、まず真ん中のブロックを船台に設置し、そこにエンジンや駆動系の機器が多い後方のブロックをつなげていきます。次に前方・上方まで船体を完成させると私たちの仕事は一旦区切られ、進水式をして海に浮かべるわけですが、苦労した分、進水式は感無量です。そのあとは岸壁で停泊させ艤装グループが内部の工事や残りの塗装を行い、無事に竣工・引渡しとなります。

水式を迎えるまでには危険な作業も多いと思いますが、
どんなことを大切にしていますか。

最近は新造船の受注が続いており、午前中に進水式を行って船台が空くと、同日午後にはもう次の船の最初のブロックが運び込まれるほどのタイトスケジュール。このため、通常、大型フェリーでは4〜5カ月かかる船殻作業の工期をどうやって短縮していくかが、大きな課題になっています。方法としては作業工程を最適化し、ブロックの搬入をタイミングよく行うとか、必要な技術者を確実に投入できるように無駄のない配置にするとか、工夫すべきポイントはたくさんあります。
ただし、私の仕事で最も大切なのは作業員の安全を守ることですから、この点だけは絶対に手を抜きません。工程上、危険な部分がないか徹底的に確認するだけでなく、一人一人の安全意識を高めるために教育の機会を増やしたり、現場で日々の声掛けをして指導したりするなど、あらゆる方法を駆使することで、事故が起きないよう努めています。

世界的に、三菱重工の造船技術は
どのように評価されているのでしょう。

円安などの影響で日本の造船業は少し息を吹き返していますが、入社2年目に技術支援事業で中国に駐在していた際、技術云々抜きに人海戦術で建造していく様子を目の当たりにし、人件費などのコスト面で中国や韓国に勝っていくのは難しいという思いを強く持ちました。
今後も競争力を維持していくには、やはり技術面における差別化は重要でしょう。特に三菱重工は付加価値とともに技術的な要求レベルの高い船の建造で世界的な評価を受けていますから、この点をもっとアピールしていけるようにしたいですね。

下関造船所で今後、
どのように成長したいと考えていますか。

私は学生時代、アルミ合金製高速艇に関わる研究をしていました。アルミ合金製の船は鉄鋼の船に比べて圧倒的に軽いので高速化が可能ですが、建造するためには溶接などで高い技量が必要なため、どこの造船所でもつくれるというものではありません。下関造船所は高速性が求められる海上保安庁の巡視船などで多くの実績があり、さらに技術を高めていくことで、アルミ船をもっと広く使ってもらえるようになればいいと思っています。
そのためには私自身が経験を積み、事業計画なども提案していけるようにならなければいけません。今後はエンジニアとしてだけでなく、マネージャーとしても成長していけるように頑張りたいと思います。

PERSONAL DATA

高校時代は硬式野球部所属の高校球児だった。大学では硬式ソフトボール部に入り、関西学生リーグで3部だったチームを1部に昇格させた。就職してからはゴルフぐらいしかやっていないが、長くスポーツに取り組んできただけに、「まっすぐ飛ばすにはどうしたらいいか」といった研究には余念がない。
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