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セグメント別事業概況

航空・防衛・
宇宙ドメイン

民間航空機Tier1事業の収益体質の抜本的な改善とMRJ開発スケジュールの履行に注力しながら、
長期視点で事業基盤の育成を進めていきます。

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民間航空機

顧客との長期にわたる関係、長年にわたる航空機製造に係るノウハウ蓄積、国内の航空機産業基盤に基づく部品サプライヤとの関係構築
大型複合材主翼等の構造部材の設計・製造技術
高性能・高信頼性および圧倒的な運航経済性を備えた完成機(MRJ)

防衛・宇宙

防衛・宇宙製品の開発で培った先端技術

  • 防衛

    統合防衛システム提案力
    SM-3ミサイル日米共同開発で培った国際共同事業のノウハウとチャネル

  • 宇宙

    ロケットならびにロケットエンジン開発力
    世界最高水準の信頼性

民間航空機

特定顧客への高い依存度
海外顧客中心のため為替変動への感応度が大きい
完成機開発の経験不足

防衛・宇宙

  • 防衛

    海外案件の経験が少ない

  • 宇宙

    世界市場におけるコスト競争力

民間航空機

今後20年間で約33,000機の新規需要
70 ~ 90席機は今後20年間で3,500機程度の市場規模となる見通し

防衛・宇宙

  • 防衛

    防衛装備移転三原則の閣議決定
    「中期防衛力整備計画」策定により新たな装備品の開発と調達が加速

  • 宇宙

    新興国の衛星打上げニーズ増加
    「宇宙基本計画」により国内市場は今後10年間で5兆円規模に拡大の見通し
    衛星利用ニーズの拡大に伴う打上げ市場の拡大

民間航空機

航空機製造におけるグローバライゼーション(先進国と新興国の分業体制進展)
リージョナル市場における競争の激化

防衛・宇宙

  • 防衛

    国内・海外メーカーとの厳しい競争

  • 宇宙

    海外衛星打上げの米国新興企業参入による価格破壊のおそれ

主要事業別売上高

業績推移のグラフ

事業環境

民間航空機Tier1事業は、2016年度からの顧客の減産と契約価格の漸減という事業環境が当面は続く見通しであり、コスト競争力の強化が不可欠になっています。また、円高の進展は売上高の減少につながります。MRJ事業については、70〜90席機のリージョナルジェットの市場規模が今後20年間で年率4%成長し、3,500機程度になると予想されますが、90席機は競合他社が2021年に次世代機投入を予定しており、優位性維持のためには開発スケジュールの遅れを少しでも取り戻すことが必要になります。70席機ではMRJが唯一の次世代機です。

防衛・宇宙事業は、政府予算によるところが大きく、事業規模は20年以上ほぼ横ばいで推移しており、事業規模拡大が課題の一つです。もう一つの課題は脆弱な利益体質です。防衛事業では防衛装備移転三原則の閣議決定や防衛大綱の見直し、宇宙事業では宇宙基本計画・工程表の改訂、宇宙産業ビジョンの策定などの機会を捉え、事業の成長につなげていきます。

2017年度方針と中長期の重点戦略

民間航空機Tier1事業は、喫緊の課題として収益の早期改善を図ります。第一に、ロボティクス活用による組み立ての自動化や、AI/IoTの活用による管理・間接業務の効率化など、生産プロセスの改善による生産性向上を推進します。また、一貫生産プロセスの構築や、シェアードテクノロジー部門と協力し、新設した「民間機調達センター」による最適発注など、サプライチェーン改革を行います。中長期では、MRJ事業とのシナジーを追求し、軽量化や材料開発などの差別化技術の開発や、機能部品、装備品などの新分野への取り組みを推進します。さらに当社グループの総合力を活かし、交通システム事業における管制システムと関連するシナジー、また防衛・宇宙事業との装備品に関連するシナジーを追求し、柔軟な事業ポートフォリオの構築を目指します。

防衛・宇宙事業は、海外展開、デュアルユース(民需事業)の展開、既存分野の拡大の3つの成長戦略を推し進めます。まず海外展開では、ステルス戦闘機F-35や米国と共同開発中のSM-3 BlockⅡA(弾道ミサイル防衛用能力向上型迎撃ミサイル)等で培った国際共同事業のノウハウとチャネルおよび防衛・宇宙事業で培ったキー技術を活用し、国と連携して国際共同開発事業を推進すると同時に、キーコンポーネントの海外装備品適用に向けた企業間協議を実施しています。なお、今後F-35は国内生産初号機の納入を完了させ、その実績を蓄積するとともにMRO&U(注)の拠点立ち上げ準備を進める方針です。SM-3は政府方針に沿って日米共同での生産体制構築に着手し、両国配備弾向けに構成品を生産・輸出していきます。次にデュアルユース展開では、制御システムに対するサイバーセキュリティ技術を防衛製品へ適用するための具体的な検討を2016年度から開始しており、今後は発電プラントなどの民生事業への適用も検討していきます。既存分野拡大については、将来戦闘機やペトリオットミサイルにおいて先端技術と実績を元に魅力ある事業提案を進めるとともに、打上げ輸送サービスでは価格競争力を備えたH3ロケットの商業向けおよび海外向け打上げの受注拡大を狙っていきます。

MRJの事業戦略は下記「主要子会社の事業方針」をご覧ください。
(注)MRO&U:Maintenance, Repair, Overhaul, and Upgrade

主要子会社の事業方針―三菱航空機(株)―

三菱航空機(株)が担っているMRJ開発は、2019年の型式証明取得、そして2020年半ばの初号機納入に向けて、国内での静強度試験や最終試験機製造、国内および米国での飛行試験、カスタマーサポート体制の構築を進めています。今後は、引き続き競合他社を凌駕する機体性能と充実したカスタマーサポートの実現とともに、開発およびスケジュール維持に対する費用の削減、それ以降の量産機やMRJ70の商品性開発・販売戦略の立案と実施が課題となります。

これに対し、2016年11月にはMRJ事業推進委員会を新設し、その委員長である三菱重工CEOの直轄体制とするとともに、愛知県小牧、米国モーゼスレイクおよびシアトルの開発3拠点の情報交換をシームレスにすることで意思決定と実行を迅速化しました。さらに、従来の日本人主体で外国人をアドバイザーとした体制から、外国人をゼネラルマネージャクラスの中核業務に配置するなど外国人エキスパートを最大限に活用できるよう組織変更を行いました。併せて、市場投入の遅れによる受注済み契約への影響を防ぐため、顧客リレーションを強化しています。これらを「MRJ開発チーム」が推進する一方で、「将来差別化技術開発チーム」が中長期視点でさらなる差別化技術の開発や次世代機コンセプトの技術戦略立案・開発を進行させています。

なお、開発費用は2019年度にピークに達する見込みですが、三菱重工グループ全体で生み出すフリー・キャッシュ・フローにより賄う予定です。投資回収期間は長期化が見込まれるものの、開発費の増加が当社グループ全体の単年度損益に与える影響は軽微な水準にとどまる見込みです。

社会課題の解決

インフラの制御システムを守るサイバーセキュリティ技術

社会課題

インターネットが浸透し、あらゆるシステムや多くのモノがネットワークでつながることで利便性が増す一方で、サイバー攻撃が急増しており、特に重要なインフラではその対策が急務となっています。悪意のあるソフトやコンピューターウィルスなどのマルウェアや巨大なデータリクエストによるシステムダウンを狙うDDoS攻撃のようなサイバー攻撃に対しては、有効なセキュリティ対策が発達してきました。しかし、近年では、攻撃対象機器の動作特性や制御指令を監視し、指令送信のタイミングや指令内容の一部を改変して、対象機器を故障させる高度なマルウェアが確認されており、新たな対応策が求められています。

InteRS ePT®の仕組み・特徴

対象

発電所や交通システムなどのように、可用性(注3)が求められるクリティカルインフラ。

  • ❶インフラ制御システムのネットワークに流れるセンサ情報のパケットを収集・分析して運転状態を把握します。
  • ❷セキュリティ統合管理システムにおいて、リアルタイム検知データを統合的に処理。制御システム全体の挙動を監視し異常を早期発見します。
  • ❸統合されたセキュリティ情報をもとに、適切な制御をさまざまな機器に対して行います。運転状態に応じた通信制御ルール変更指示も対処システムへ反映させます。
  • ❹セキュリティオーケストレーションシステムからの通信変更指示をもとに、運転状態に応じたルールで対処を実施します。

MHIグループのソリューション

サイバーラボ

サイバーラボ

当社は、2016年3月に日本電信電話(株)(以下NTT)と重要なインフラの制御システムなどに適用するサイバーセキュリティ技術の共同研究を行う契約を締結し、同時に開設した「サイバーラボ」を拠点に、発電設備など幅広い分野においてセキュリティ確保に向けた有効性の実証に取り組んできました。そして、当社が防衛・宇宙分野で培った信頼性および安全性の高い制御技術と、NTTがこれまで研究開発を進めてきたセキュリティオーケストレーション技術(注1)の組み合わせを追求してきた結果、同年11月末、未知のサイバー攻撃に対するリアルタイムな異常検知および対処を可能としたサイバーセキュリティ技術「InteRSePT®」(注2)の試作を完成させました。

InteRSePT®は「リアルタイム検知・対処装置」と「セキュリティ統合管理装置」で構成され、ネットワークに流れるリアルタイムのデータを統合的に監視し、従来の技術では対応が困難だった制御指令を悪用したサイバー攻撃に対して、可用性(注3)を重視したリアルタイムセキュリティ対策を実現しています。

今後はサイバーラボで試作の評価、制御システムへの適合性検証を行い、InteRSePT®のさらなる高度化、そして火力発電設備や化学プラントなどの可用性が重視される民需分野を中心としたO&aM(運用およびメンテナンス)ビジネスへの適用拡大を図っていきます。

  • (注1) セキュリティオーケストレーション技術/システム:対象機器/システムの状態や異常発生のイベントなど、攻撃の検知にまつわる情報を収集・分析し、対処装置群を統合制御して多層的な防御を実現する技術/システム
  • (注2) InteRSePT®:Integrated Resilient Security and Proactive Technologyの略で、三菱重工の登録商標
  • (注3) 可用性:システムを停止することなく継続して稼働できること

当ドメインにおけるESGの重要課題への取り組み 重要課題2 グローバルベースの人的資源の活用

外国人エキスパートと一体となったMRJ開発体制

技術系マネージャーとコアエンジニアの推移(シアトル・エンジニアリングセンター、モーゼスレイク・フライドセンターを含む)

MRJ事業では開発スケジュールの立て直しを図るために、2016年後半から完成機事業の経験を積んだ外国人技術者の積極的な採用を進め、組織体制の重要な役職にも就かせています。2017年6月時点でMRJ事業に関わる従業員は3拠点の合計でおよそ2,000人になりますが、そのうち3割の約600人が外国人技術者という構成です。愛知県小牧市の開発拠点でも、外国人が参加する会議では英語を使用しているほか、異文化間コミュニケーション研修や外国人に対する日本式リーダーシップ研修を実施しており、円滑なコミュニケーションと相互理解を促進しています。グローバルに通用する組織体制と風土を形成することで、リーダーシップと権限移譲の強化による意思決定の迅速化と、闊達なコミュニケーションと情報共有によるチームワークの向上を図り、開発活動をスピードアップさせていきます。

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研究開発事例

H3ロケットのコスト低減・信頼性向上に資するエンジン燃焼安定性向上

当社では現行のH-ⅡA/Bロケットのコスト低減と信頼性向上を目的に、H3ロケットを開発しています。中でもエンジンは、信頼性・コスト・性能をとりわけ左右する重要な要素です。推進力を発生させる際に水素・酸素の燃焼ガス温度が3,000℃を超えるロケットエンジンの開発では燃焼安定性の確保は欠かせない条件ですが、2016年度に社内開発の燃焼安定性評価ツールを構築・適用し、噴射器・レゾネータを改良することで燃焼安定性の大幅な向上に成功しました。2017年度は7月までにエンジン全系のシステム燃焼試験を実施し、技術的な成立性を確認しました。当社の打上げ輸送サービスは国際的に高い信頼を獲得していますが、さらなるコスト低減が課題となっています。価格競争力を加えたH3ロケットの開発により、商業向けおよび海外向けの打上げ受注の拡大を図ります。