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高砂製作所のCSR活動

工場調査から始まった固定エネルギーの徹底削減
(事務所ビルの空調・換気設備の省エネ)

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背景

高砂製作所では2004年に審査を受けた工場調査当時の総括票から、常時定常的且つ定量的に消費される、固定エネルギーの削減と変動エネルギーへの移行が全体削減に不可欠であることを観つけた。 固定は変動に比べ改善アピール度が少ないため、対策が先伸ばしになることが多い。このことから、設備の老朽度、法的要求度に現状を照らし、CO2排出量削減を勘案しながら固定エネルギーの削減を省エネ推進の柱とした。
一方、事務所ビルはビル管理法の適用を受け、空気環境測定においての規定値の超過があった。これらは、外気導入量を抑え空調負荷を下げれば空調機の消費電力は抑えられるが、換気量が下がり室内のCO2濃度、気流などビル管理法の規定値が満足できず空気環境の悪化になる。この相反するものの整合が求められていた。

(工場調査時の電気消費区分)

区分 使用量(MWh/年) 比率
固定 照明 1,069 0.7% 36.3%
空調 5,208 3.6%
事務所 45,799 31.9%
変動 試運転 1,571 1.1% 63.7%
工作 51,279 35.7%
実証発電 38,673 26.9%
  合計 143,599    

経緯・目的

このような状況の中、各事務所ビルの機器の仕様・老朽度、能力、室内の空気環境調査を行い、それぞれの設備が要求される「事業者の判断基準」を基に各設備の改善項目をつぎのように整理し、改善仕様書をまとめ設備の老朽更新・増強と適応制御による省エネ運転を進め職場環境改善を行うこととした。

省エネ法、事業者の判断基準

  • 熱需要の変化に対応できる要領と区画毎の分別制御
  • 効率の高い運転が可能となるシステムの採用
  • 空気の状態を計測できる計量機、センサーの設置
  • 換気回数
  • フィルターの目詰まり等の保守点検
  • 熱交換器スケールの除去等の保守点検

今回の省エネ改善実施項目

  • エアハンドリングユニット、全熱交換器の老朽更新増設
  • 空調用冷凍機運転監視システムの老朽更新
  • 空調、換気、加湿設備の連携と適応制御
  • 換気回数
  • 管理標準の改定と年間保守点検の実施
  • 照明の高効率器具への更新と調光機能の追加

改善内容

改善は、改修前の冷凍機のウイークリータイマー的な運転から気温・湿度の季節変動に対応したスケジュール運転に変更し、更に冷凍機及び換気設備の使用エネルギーの見える化から始め、「ファンコイルのスケジュール運転」「エアハンドリングユニット及び加湿器の更新と省エネ運転」「換気設備の増強と省エネ運転」「空調機の間欠運転とスケジュール運転」「ナイトパージ(外気冷房・夜間外気導入による空調負荷の軽減)」「照明の調光制御」などの改善を本館~4号館各事務所ビルの実業に合わせて省エネ改善を行ってきた。更に、工場へ適用拡大すべく、現状を調査中である。今回は、4号館で行った空気調和設備と方式の変更と関連する設備機器の適応制御の実施事例を以下に記す。

(高砂製作所全景)(4号館)
設備名 台数
ターボ冷凍機(350kW) 1
空冷ヒートポンプ(180kW) 3
エアハンドリングユニット 5
ファンコイルユニット 245
全熱交換器 5
熱源のCOP
タービン冷凍機(350kW) 冷房時:5.7
空冷ヒートポンプ 冷房時:4.8
  暖房時:3.85

改善項目と実施年月

改善項目 実施年月
2007/6 2008/1 2009/8 2010/11 2011/9
冷凍機・ファンコイルのスケジュール運転監視と消費エネルギーの見える化      
エアハンドリングユニット及び加湿の更新と省エネ運転        
ナイトパージによる空調負荷の軽減        
ファンコイルの点検・清掃・洗浄        

現状把握と問題点

(1) 空調システム、換気システムにおける問題点

  1. 熱源機器において、中央監視パソコンが設置してあり、自動で台数制御を行っている。
  2. ファンコイルは手元スイッチのみで操作している。運転状態は中央監視盤にて監視している。
  3. 温湿度センサーにて、熱源機器監視パソコンで温湿度監視のみ行っている。
  4. 給排気設備、エアハンドリングユニットにおいて、中央操作盤でのローカル運転を行っている。

改修前システム構成図


改修前システム構成図


具体的には

  1. 熱源機器監視パソコンにて、熱源機器の台数制御を自動で行っているが、スケジュール機能はなく、1台でもファンコイルが運転していれば、熱源機器が運転する。その為、ファンコイルの消し忘れが発生すると、1日中室内外機器が運転し続ける。ファンコイルは手元スイッチでの操作である為、消し忘れが頻繁に発生していた。
    中央制御でファンコイルの運転監視のみ行っているが、監視のみで制御連動(フィードバック)は行っていない。
  2. 1フロアー1空間の大空間事務所で、インテリアゾーンとペリメーターゾーンに1ヶ所ずつ温湿度センサーが設置されている。この温湿度センサーは熱源機器監視パソコンにて温湿度監視を行っているが、監視のみであり制御連動(フィードバック)は行っていない。
  3. 給排気設備は中央制御盤で操作可能でのローカル運転となっており、スケジュール制御等の制御は行っていない。運用において、就業退出後、手元で運転停止は行っていない為、保守メンテナンス時を除いて、24時間365日運転状態が続いている。制御連動(フィードバック)は行っていない。


改修前 空調機運用状態
改修前 空調機運用状態


(2) 設備能力について

換気設備能力

  • 給気/階 エアハンドリングユニット 3,550m3/h + 全熱交換器 3,500m3/h=7,050m3/h
  • 排気/階 全熱交換器 3,500m3/h

(3) 換気方式の問題点

既存換気設備は、南北の機械室に設置されており、南側は全熱交換器、北側は給気のみの加湿器付きエアハンドリングユニットが設置されており、天井チャンバー方式で運用されていた。この方式は天井内も換気するため、ダクト方式と比較して換気能力の高い設備が必要であるが能力が小さい設備が設置されていた。南北の換気方式の違いにより、事務所内北側と空気環境に違いがある為、北側は日によって、ビル管理法で定めるCO2濃度を超え、室内温度にムラがあった。南側においては、湿度が基準値以下となっていた。また、給気口からの風は人にあたり「寒い」と苦情が多く発生していた。
竣工当初に比べ人の増加があった為に、換気不足や冬場でも室内温度が28℃を超える日もあった。


改善前 換気方式
改善前 換気方式


現状分析

(1) 換気回転数の不足

給気口と排気口の風量測定を実施した結果、換気量が不足し換気回転数を満たしていない。

  気積 給気量 排気量 換気回転 良否判定 備考
  m3 m3/h m3/h (排気)   (換気回転)
2階 4,550 4,062 65 0.0 × 1.5
3階 4,550 3,997 1,362 0.3 × 1.5
4階 4,550 4,073 496 0.1 × 1.5
5階 4,550 4,558 1,351 0.3 × 1.5
6階 4,550 2,432 947 0.2 × 1.5

(2) 過度の温度設定

1フロアに1つ温度センサーが設置されているが、状態監視のみの温度センサーであり、室温の制御はファンコイルスイッチのON・OFFのみのため、フロア全体の温度管理がされていない。

(3) 切り忘れ

上記(2)のように、ファンコイルスイッチをOFFしないかぎり、常時運転が続けられていた。

改善目標

換気不足から来る空調機運転の常態化と空気環境の改善を行い

  1. 省エネとCO2排出量をそれぞれ30%低減する。
  2. ビル管理法で規定されている管理値をクリアする。

改善内容

(1) 空調システム、換気システムの改善

  1. 熱源機運転監視パソコンは、氷蓄熱チラーをターボ冷凍機に更新した際に、中央監視パソコンSA1に変更した。
  2. 一定速チラーを、高効率空冷チラーに更新し、新たに制御システムを導入した。また、集中リモコンと中央監視パソコンSA1とを連動させた。
  3. 各ファンコイルは、中央監視パソコンからの指示を受け取る制御BOXを取り付けた。
  4. 温湿度センサーは、フロアー内に増設した。また、屋外にも新設設置した。
  5. 給排気設備は、既設シーケンサを流用し、新設中央監視パソコンSA1に取り込んだ。

改修後システム構成図


改修後システム構成図


具体的には

  1. 熱源機運転監視パソコンから、中央監視パソコンSA1に更新する事で、他の設備機器の制御を可能にした。
  2. 一定速チラーから、高効率空冷チラーに更新し、台数制御等専用集中リモコンを設置した。 その集中リモコンと中央監視パソコンとを連動させ、中央監視パソコンからも制御可能にした。その、制御内容は、スケジュール制御、熱源機器台数制御、台数制御を行ったときに熱源機器の運転時間にバラツキが生じてしまうので、そのバラつきをなくす熱源機器サイクリック制御を行っている。
  3. 各ファンコイルにおいて、中央監視パソコンから制御を可能にするために、制御ボックスを取付けた。消し忘れ防止によるスケジュール制御、後述する温湿度監視による温度制御を行っている。
  4. フロアーに2台設置の温湿度センサーを増設する事で、温湿度監視エリアゾーンを細分化した。ファンコイルは、その温湿度監視に基づいて、運転停止制御を行い、細かなファンコイル運転を行っている。
  5. ファンコイルの運転を減少させる事で、熱源機器への負荷も減少する。また、屋外に設置した温湿度センサーは、中間期など外気温度が平年より高い日、低い日を監視し、外気温度が低い日に熱源機器が運転するのを抑制する。
    新設中央監視装置に取り込み、スケジュール制御を行う。平日の深夜や、休日に運転しないようにする。


改修後 空調機運用状態
改修後 空調機運用状態


(2) 外気冷房システムによる省エネルギー対策

省エネルギー改善 ステップ1

換気方式をチャンバー方式からダクト方式に変更し、南側全熱交換器にインバータ制御を採用した。北側に排気専用シロッコファンを増設、南側には加湿器を増設、給気口はVHSよりアネモ型に変更した。天井内換気が不必要になり、南側全熱交換器モーターの周波数制御を行い、排気量を適正にし、省エネルギーを図った。北側に排気口を増設する事で、室内温度ムラが解消され空調設備の運転時間が削減され省エネルギーとなった。南側は加湿器を増設した。
そうする事で、北側はCO2濃度、南側は湿度において、ビル管理法の基準値を満たす事ができた。結果として、設備の増設を行い増エネルギーとなったが、排気方式の変更及び換気設備のインバータ化による省エネルギー効果が大きい為、省エネルギーとなった。また、職場環境改善も図れた。


ステップ1 換気方式(ダクト方式)


省エネルギー改善 ステップ2

季節に応じて室内に残った熱だまりを夜間に排気する【ナイトパージ制御】を行い、中間期においては、外気導入を行う事で空調負荷削減による省エネルギーを図った。又、各設備機器の運用を見直し、月・曜日・時間に応じたスケジュール運用を行い、平日の深夜、休日の運転を停止した。更に、時間別にインバータ制御にて必要な風量調整を行った。ナイトパージ・外気導入・設備機器の運用を見直す事で非常に大きな省エネルギー効果が得られた。


改修後 換気設備状態及び簡易システム構成図
改修後 換気設備状態及び簡易システム構成図


外気冷房システム構成図


外気冷房システム改修後システム構成図
外気冷房システム改修後システム構成図


  • 1加湿器用集中リモコンを設置し、その集中リモコンと中央監視装置SA1とを連動させる。 制御方法は、湿度制御、スケジュール制御台数制御を行っている。
    湿度を監視し、加湿器のサイクリック運転を行う。
  • 2全熱交換器において、全熱交換換気普通換気を中央監視装置SA1で自動切替えを行う。
    切替えタイミングは、月、曜日、時間に応じてスケジュール制御を行う。

効果確認と評価

2007年度比 原油換算100kl約12%削減を目標に掲げ、空調設備の省エネ対策は、2007年に第1期熱源機器更新をはじめに、温湿度監視、ファンコイル制御、給排気制御を実施した。
2009年に外気温湿度センサーを設置し、外気温度制御を実施した。
2011年に第2期熱源機器を更新し、熱源機器用集中リモコンを設置した。
外気冷房システムにおいては、2010年度より実施している。
2008年度は、2007年度に熱源機の更新と省エネルギー制御を実施したが、年間消費電力量が前年より20,100kWh増加した。原因としては、設備の管理標準と管理体制が不明確のため、従業員の「熱い・寒い」の苦情に対して熱源機の管理会社が、室温の温度設定を変更・省エネルギー制御の解除・熱源機の冷温水温度設定の変更などを、管理者の確認を取らずに実施したため増エネルギーになった。
2009年度は、管理標準と管理体制の見直しと、従業員の省エネルギーへの意識向上により省エネルギー制御の効果が表れた。

2009年度の年間消費電力量削減効果は、前年より8.9%少ない、268,017kWh削減となった。
2010年度は、例年と比較し夏は暑く冬は寒かった。気候影響により、関西電力殿の販売電力量実績も2010年度は多年度と比較し高かったが、2009年度に導入したナイトパージと外気冷房で熱源設備の負荷が低減され消費電力量が大幅に削減された。

2010年度の年間消費電力量削減効果は、前年より15.3%少ない、422,556kWh削減となった。
2011年度は、一定速チラーの三菱電機製コンパクトキューブへの更新と集中リモコンによる熱源台数制御の効果と気温が例年並みになり、ナイトパージと外気冷房の省エネルギー効果がよりでた事により年間消費電力量が削減された。

2011年度の年間消費電力量削減効果は、前年より15.1%少ない、351,475kWh削減となった。
2007年度と比較した、2011年度の原油換算量削減効果を下記に示す。


原油換算量削減効果


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